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2005.05.31
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カテゴリ:サッカー
ラグビーでも、サッカーでも、試合のたびに、よく問題になるのがレフリー。
うまくできて当たり前、少しでもミスをしようものなら「諸悪の根源」の如き罵詈雑言を浴びせかけられる宿命を背負った、割に合わない損な役回り。
かく言うワタクシも、タッチラグビーのレフリー資格を持っていて(最低ランクのだけど)、実際に試合で笛を吹いたこともあるので、その大変さは身に沁みてよく分かるつもりだ(つもってるだけか)。

だから、なるべくならレフリーに文句は言いたくないし、実際、不利な判定を受けても勝つチームは勝つのだから、勝ちきれなかったり負けたりしたウサをレフリーにぶつけるような、みっともないことはしたくない。
でも、そうは思っても、レフリーに対する不満が残る試合は後を絶たず、明らかにレベルが低い笛の吹き方をするレフリーが存在しているのも確かだ。

「ラグビー・ルネッサンス」日本ラグビー狂会・編・著(双葉社)によれば、スポーツにおける審判の呼び方は大きく3つに分かれる。レフリー(refree)、アンパイア(umpire)、ジャッジ(judge)である。
ラグビーやサッカー、バスケットボール、ボクシング等はレフリー。野球、テニス等はアンパイア、体操、フィギュアスケート等はジャッジと呼ばれるが、その違いは、英語の語源でも分かるように、アンパイアやジャッジが「ボールかストライクか」「アウトかセーフか」を決める「判定人」である一方で、レフリーは試合の流れがスムーズにいくことを任された「仲裁員」である、ということなのだそうだ。

つまり、ラグビーやサッカーのレフリーとは、ルールの見張り番であるよりも、試合の流れをよくして、選手が気持ちよくプレーできる手助けをする、「試合の演出家」の役割が大きい、ということなのだ。
国内の試合を見ていて、しょっちゅうレフリーに対してストレスを感じてしまうのは、この「試合の演出家」としての役割を果たしていないレフリーが多いからなんじゃないか、と思ったりする。意識が「レフリー」というよりも「アンパイア」「ジャッジ」的、とでも言おうか。だから、ちょっとしたことですぐ笛を吹いて、試合の流れをぶつ切りにしてしまう。


これに大きく関わる問題として、日本ではどうも、「アドバンテージ・ルール」の取り方が上手なレフリーが少ない、というのが、常日頃感じているところだ。

「アドバンテージ・ルール」とは、
反則があったとき、それが悪質なものでなかった等で、レフリーの判断によりプレーを続行する場合、反則された側の展開が不利にならないように考慮されたもので、反則された側のチャンスになっていれば、そのままプレーは続行されるし、もし、反則した側がボールを奪い返したりした場合、レフリーはここで初めて笛を吹き、反則があった時点にプレーを戻す、というルール。
これはラグビーもサッカーも同じで、アドバンテージを取っているのかどうかは、レフリーのジェスチャーで分かる(ラグビーではレフリーが右腕を横に広げたとき、サッカーでは手のひらを上にして両腕を前に差し出すようにしたときが、アドバンテージの合図)。

実際にレフリーをやってみると一番難しさを感じるのがこの「アドバンテージ」の取り方で、優秀なレフリーほどこれがとても上手いし、そういう人が笛を吹いている試合は、観ていても気持ちがいいくらいスムーズに流れていく。
逆に「アドバンテージ」の取り方がヘタなレフリーだと、笛を鳴らせて試合を止めてしまうことが増え、せっかくの好ゲームが台なしになってしまうこともしばしばだ。

特にサッカーは、この「アドバンテージ・ルール」が活かされているとは言えないことが多いようで、実際に試合を観ていても、「ああ、レフリーが笛吹かなければあのままシュート打てたのに」「なんでアドバンテージ取らないんだ」と思ってしまうことがよくある。
ラグビーには「ルールよりゲーム」という言葉があり、ルールを厳格に遵守することよりも、試合の流れの継続を重視するので、より「アドバンテージ・ルール」の重要性が高い。これはサッカーにも通じている部分だと思うのだけれど、日本ではそれがあまり感じられないような気がする。


試合後、レフリーがどんな笛を吹いたか、なんてことを反芻せずに済む試合は、それだけレフリーが上手く試合をコントロールしていた、ということ。上手いレフリーほど、ムダ笛が少なく、決して目立ったりしない。
そういう試合が少しでも増えれば、選手にとっても観客にとっても、この上もなくハッピーなことなんだけれど。
そのためにも、もっともっと日本の競技レベルそのものが上がって、いいレフリーが育つ環境を作っていかなくてはいけないってことなのかもしれない。





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最終更新日  2005.05.31 18:01:29
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