057889 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

里見八犬士☆犬坂毛野の夢

里見八犬士☆犬坂毛野の夢

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

里見八犬士☆犬坂毛野

里見八犬士☆犬坂毛野

日記/記事の投稿

カテゴリ

コメント新着

カズ姫1@ Re:生後半月の娘への叫び~尾崎豊の命日に記す(04/25) 私の浮遊する時間の中で 陰鬱な顔をして…
里見八犬士☆犬坂毛野@ 覚えていてくださって有難うございます ああお久しぶりです!!! 覚えていて…
カズ姫1@ Re:生後半月の娘への叫び~尾崎豊の命日に記す(04/25) 何故か偶然、いや、この世に偶然はない。…
里見八犬士☆犬坂毛野@ よくぞ訊いて下さいました☆ そう、僕とあまりにもそっくりなので 僕…
天の字@ Re:生後半月の娘への叫び~尾崎豊の命日に記す(04/25) ウヒヒ、もはや娘ちゃんにメロメロですね…
里見八犬士☆犬坂毛野@ 御叱咤心から感謝です!! 天の字様御言葉心から感謝致します!! …
里見八犬士☆犬塚信乃@ Re:城内の衆は後生までの友達たるべく候(12/25) 毛野ちゃん、メリークリスマス☆ 夫婦で初…
里見八犬士☆犬坂毛野@ 夫婦でクリスマス楽しもうねvv マイハニー信乃ちゃん、今朝は寒いねぇ(…

フリーページ

お気に入りブログ

奇跡のイメージング… 奇跡のイメージングさん
英語はダジャレで覚… Super源さんさん
ベトナムコーヒーと… Schutt maniaさん
ハイビー★のスローラ… 八愛美位ー★chibiさん
☆幸せ風船のちょっと… バルーンsuzukiさん

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2005.08.03
XML
 僕に物心がつきはじめたある日、ピアノが唯一の支えだった僕は1枚のCDに出会いました。一般にショパンのエチュードと言われている不朽の最高傑作「12の練習曲作品10,作品25」です。作品10はF・リストに、作品25はダグール伯爵夫人に献呈されました。またこの作品はただの練習曲では無く余りの音色の素晴らしさと熱情に魂が震えます。残念なのは演奏者の名前を失念してしまった事。でも余りの卓越した技巧に幼き僕は時が経つのを忘れる程聴き入り、身体が震える程の感動に酔い痴れたのを今でも覚えています。

 そして後にに楽譜も手に入れ、俗に言う「耳コピー」の様な事も欠かさなかった僕は、勇気を出して練習を開始しました。でも最初は中々指が回らなくてとても悔しい思いをしました。特に第2番のイ短調。右手親指と人差し指で和音を押さえ、他の指で半音階をAllegro(速く)で弾かなければいけない.....。また“別れの曲”と呼ばれる第三番ホ長調。あの有名な主題とは何の関係も無さそうな中間部以降の複雑な和音。副題の“悲しみ”というより叫びと言った方が相応しいアグレッシブな上行。「嗚呼、どうしたら弾けるようになんのかなあ」と、いつも溜息ばかりついていました。でも負けず嫌いだったこの少年は、大人に訊くのがキライでした。そう、学校の音楽の先生もピアノの先生も、この孤独な少年にとっては冷たいばかりか、いつもしかめっ面で、何か「教えてやっているんだ」という感じがして「教えを請う」以前に話すらも出来ませんでした。そう、普通のひとならば音楽嫌いに成ってしまう筈。また子供がある科目(算数でも)を嫌うのは冷たい教師に原因があるとも言われます。然し、この少年が唯一誇れるのは、人一倍の負けん気の強さ。それ故彼等教師を見返すべく、“試行錯誤の迷宮”へと、深い孤独そしてピアノ弾きの夢を持って迷い込みました。


 然し幾ら勇気があっても、矢張りひとりでは限界があります。また更に深い迷宮に踏み込む日々。「嗚呼、僕は一生エチュードは弾けないのかなあ」と、湘南の青い海、そして広い空をボーっと眺めながら、今思えば信じられない程深刻に悩みました.....。

 ただ僕は病弱で他にすることも無かったのも幸いし、日々鍵盤を触る事そして身体に沁み込む程何度も聴く事は続けました。正にこれこそ「人間万事塞翁が馬」です。もしも僕が健康であったならば恐らくピアノは無論バンド活動とは無縁だった筈。それは音楽とは無縁な家庭に生まれ、しかも音楽が義務では無かった子にとっては当然の事かも知れません。また、少しずつ“迷宮からの出口”が見え始めました。子供の終わりを告げる秒針が速く成ってくるのを感じそれが焦りに変わった頃、遂に自然と指が回りだしたのです。

 「嗚呼、やっと弾けるようになったんだ!」これが僕自身初めて“生きている喜び”を感じた瞬間でした。そう、自力で成し遂げた喜びこそ、少年を大人に成長させると、僕は信じています。

 そして何時しか思春期に於いてバンドも始め、ロック、テクノ、Jazzと僕自身の表現の場が広がって行きました。それを可能にさせたのは、あの日のピアノ少年孤独な体験、そして、周りの冷たい大人達です。そう若しも周りの音楽教師が天使の様に優しく親切であったならば、孤独な少年故べったり甘え、少年には厳しい修羅の道に進む事は無くクラシックの小品を弾くに留まったでしょう。それに病弱であった事に少しは感謝出来るように成りました。

 そんな僕が大人に成って気付いた事。実はある19世紀のピアニストが複雑な転調を非芸術と言い、またある評論家は、指がおかしくなるから弾くなと言ったそうです。ただ僕が思うに若しも彼等が一生懸命練習して弾けた成らば、決してこんな愚痴はこぼさなかったでしょう。

 また後に僕はマウリツィオ・ポリーニの録音に出会うのですが、何と彼は18歳でショパンコンクールに優勝した後、何と再び8年も練習だけの生活をしたそうです。僕はこれを聞いた時は衝撃でした。そう、己の能力に妥協しない点にです。ただ名声を得るのでは無く、飽く迄己の技巧を高めるために生きる。そして彼が再び世に現れた時、技巧、表現力、そして音色は聴衆を驚嘆させました。

 これ等の事は、僕に音楽を含め総ての事に終わりは無いと教えてくれました。無論、現状に妥協したら成長は終わりを迎えます。

 そして大事なのが99%の努力です。あとは燃え盛る程の熱情!この両者があれば、きっとあらゆる壁は打破出きる筈です。そう、誰が何と言おうとやめない事!ずっと続ければ必ず道は開けます!

 今、音楽でもスポーツでも何かを目指している若いひとへ!
決してやめないで下さい!最低10年は貫徹して下さい!そうすれば技巧は無論、貴方の能力を認める師や仲間が必ず出現します。そして、何時の間にか貴方よりも若い子を教える日が必ず来ます!

 嗚呼、僕はこの10年、本当に無駄では無かったなあ...。
嗚呼、途中で演奏やめないで、本当に良かったなあ...。

 あの少年の日に、僕はショパンと出会えてとても幸せでした。
 孤独にも、そして病気にも、有難うと言いたい気持ちです。
 無論、ショパン、貴方にも....。

 今僕はあの日の少年に、こんな言葉を贈ろう。
 決して誰も言ってくれなかった、この言葉を.....。
 
 「良く頑張ったね!そう、その調子、きっとキミは成功するよ!」と。


 
 To be continued.....




 

 
 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005.09.02 12:42:00



© Rakuten Group, Inc.
X