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里見八犬士☆犬坂毛野の夢

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里見八犬士☆犬坂毛野

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2005.08.23
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~最高の演奏をしたい。たった独りの、そして生まれて初めてのリサイタルのために、また、僕のファン第1号の“あいつ”のために.......。

 だから僕はあいつに聴かせるために、僕は死に物狂いで練習した。

そう、あいつを失望させないために、心から感動して貰うために、

 僕をあの日誘ってくれた恩返しを心からするために.......。

 そして、人前で初めて弾く曲を僕は必死で探した。

 遂に見つかった。それはベートーヴェン「ムーンライトソナタ」だった。~

 
 たった一人の掛替えの無い観客のあいつのためのピアノリサイタル。
 そして会場は僕の日差しが殆ど当たらない薄暗い部屋......。

 あいつに感動して貰うために、そして僕を“一番の親友”と認めて貰うために必死で選んだ、ベートーヴェン・ピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27-2“月光”。そう、第一楽章の嬰ハ短調の物悲しくも“夜半の西欧の湖の静寂”を想わせるゆったりとした主題。また、第二楽章のメヌエット風三拍子の優雅さを漂わせる変二長調は“夜半の湖”から突如“19世紀のオーストリアに於ける舞踏会”へと瞬間移動させてくれる!そして、第三楽章!炎の如き嬰ハ短調の“吹き荒れる分散和音の嵐”!この猛烈な勢いの、孤独な魂を鼓舞する主題は、突如あの優雅な舞踏会場から、正に闇夜の突風吹き荒れる“シュバルツ・バルト(ドイツ南部にある黒き森)”へと容赦無く吹き飛ばす!

 今想えば僕はきっとこの第三楽章に、RPGゲームの少年勇者の成長、そして勇躍に感情移入する程の“ヒロイズム”をあいつに感じて欲しかったのだろう。特に第三楽章は当時FMで聴いていた洋楽、そう所謂ヘビメタには決して負けない破壊力があると感じた。そして幼き僕は幾度想った事だろう。この第三楽章をRPGゲームのゲーム音楽として使用されたならば、もっとRPGに於ける少年主人公が格好良く戦える筈なのに、と。また“Presto agitato(急速に激しく)”の速さをメトロノームで体感した。また僕はこの時想った。正にこの疾風の如き速さこそ、RPG好きなあいつが胸躍らせる速さだと!

 そして遂に僕は観客の存在を意識しての練習を開始した。またこの初めての体験こそ、僕が好き好んで得たのではない宿命という重苦しい拘束から解放される戦いでもあった。そう、あの月光の第一楽章のあのゆったりとした三連符こそ、僕の“自由への逃走”開始を告げる魂から声に成らない叫び、また年端も行かぬ少年が決めた閉塞的状況への訣別の主題だったのだろう.....。

 嗚呼、今更乍ら僕は想う!この“自由への逃走”という響きは何て切ないのだろうと....。あの思春期の入り口に立つ少年のもどかしさ、そして彼を取り巻く大人のエゴ。また個性をスポイルするかの如き大人の言行!

「もう、こんな所にいたら(=現状に立ち止まっていたら)ダメに成る!」

 だから僕は必死で“精神の自由”を勝ち取るために、また僕を唯一慕ってくれる親友のあいつに感動し認めて貰うために必死で鍵盤と格闘した。そう、正に格闘技だと想った。僕のアップライトの鍵盤は子供には固く重かった。然し不幸中の幸いだろう、僕の指は長かった。だからあの“総ての指を駆使する和音”は難なくクリア出来た。この一瞬、僕は親に初めて感謝出来たのだろう。

 然しこの少年にとって、“自由への逃走”はまた、“自由への闘争”の始まりでもあった。そう周囲が僕のピアノに悉くケチを付けてきたからだ!そう、当然僕はなるべく誰もいない時間に練習したのだけれど、それでも消音を使ったり電子ピアノでヘッドフォーンを付けて練習してもそれでも何かとケチを付けた。そして「お前のピアノを聴くとおかしくなる.....。」。この残酷な言葉は幼き僕の心に致命傷とも言える傷を残した。もうこの段階に成ると正に闘争だった。然し肉親でも何でもない僕を心から慕ってくれるあいつのために弾き続ける事が僕の唯一の生甲斐だったから、協力者ゼロの中、幼き僕はそんな冷酷な周囲に徹底抗戦した。無論、シカトである。それも過激な迄の!

 今この状態を分析すれば、褒める事をせずに貶す一方という教育は最悪であり、正に「貶されて育った子供は、人を貶すように成る」だろうと想う。そして、子供が心からやりたいと想う事。また夢を叶えるために強制では無く好奇心で打ち込んでいる事。そう、ピアノでも、絵画でも、サッカーでも、大人は絶対に、この子供の唯一の救いを取り上げてはいけないし、過干渉をしてはいけない。何故ならばそれをすれば“硝子細工の如く脆い少年の心”は一瞬の内にして壊れ、決して消えない心の傷として残ってしまうかも知れないから。

 また子供は勿論、過干渉は誰だってイヤだ。そう、老若男女問わず、誰にだって行動の自由は守られなければならない!そう、親からメシを食わして貰ってもである。特に子供と言ってももう物心が付けば、大人の理不尽な過干渉をストレスと受け止め時に拒絶反応を起こす筈!また大人同士ならば尚更!無論憲法にだって「文化的な最低限度の生活」はハッキリ規定されている。だから生存権を脅かすものこそ、この過干渉という、“負の感情”、そうエゴが引き起こす人間の我侭な行動なのだろうと僕は心からそう想う.......。


 でもこの少年にとって、そんな事はどうでも良かった。


 そう、この少年はきっとこう言って欲しかったのだろう。

 「キミのピアノ、上手くなっているね!もっとガンバレ!」

 また、今の僕なら、夢のために頑張る孤独な少年に向かってこういう筈。

 「キミはきっと成功するよ!」
 
 この言葉こそ子供の潜在能力を伸ばす“魔法の言葉”の筈だから!


 でも“あの少年”はどうしてこんな悪条件で練習できたのだろう?

 きっと、あの日のあの一言が僕を支えたのだろう.......。

 「・・・の弾くピアノ聴いてみたいよ!」

 この僕の胸を熱くしてくれた言葉が唯一の救いだったんだ!

 そして僕の“自由への逃走”の唯一の協力者の彼の言葉は、
 正に宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の“ジョバンニの切符”だった。

 また“あいつの言葉”こそ、僕の自由への闘争の原動力に成った。

 そして嬉しさで胸一杯だった僕があいつに言った言葉。

 「・・・、いいよ!最高の曲聴かせてあげる!」

 
 19XX年の春の温かい日差しが身に沁みたあの日の夕方、

 未だ幼さの残る表情の二人は、公園で西陽を一身に受け、

 眩しさに戸惑いながら、互いの夢をずっと語り合った。


 RPG好きの僕は、あいつが僕の騎士に想え、

 とても嬉しかった......。


 そう、“自由への逃走”を開始した勇者志望の少年にとって、

 “本物のナイト”だったんだ.....。
 

 To be continued.....

 

 

 
 
 







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最終更新日  2005.08.23 08:16:46



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