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里見八犬士☆犬坂毛野の夢

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2006.06.04
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僕がエヴァンスに成りたいと想って幾星霜。
気の遠く成る程の孤独の時
夕空の彼方へと響いていた。

そう、僕のピアノの慟哭のメロディーが.....。

嗚呼、僕が生まれて良かったと想える事。
ひとつは、今、最愛の人信乃と愛し合っている事。
そしてもうひとつは、
僕の感情を鍵盤に表現出来る事。

僕がピアノの鍵盤で奏でられた
僕の心の色たち。

茨の運命に縛られる
孤独の日々の慟哭の色。

寂しさの色
苦しみの色

たった独りの夜の終わり
見出せない絶望の色

男の子の本能に眠る
暗闇や理不尽な運命に立ち向かう
自由と解放を勝ち取るための野生の色

暗闇の中の一縷の希望、
夢.....見る薔薇色
そう、
僕がエヴァンスに成る夢の色

僕が孤独の日々
遠い未来に出逢う
愛する人を想う色

恋しさの色.....。

みんな流星の如き流れて行ったんだ。
僕の狭い部屋で彩られた音色たちは
夕闇の彼方へと。

僕の魂の分身たちは
未だ見ぬあなたを追い求めて。

それでも僕の孤独のスパイラルの果ては
決して見えなかったなぁ。

嗚呼、幾重にも重なる昼と夜。
僕の感情の結晶たちの音色だけを
華奢な僕の指先で叫び続けたんだ。

時には余りの孤独の闇が深くて
僕の胸を射抜く毒矢の攻撃が凄まじかった。
僕はピアノで立ち向かえなく成った日には。

それでも、僕の過酷で虚無の運命を破壊して
暗闇からの解放を叫ぶ唯一の手段のピアノと共に
僕の有りの侭の感情を自由に叫べたのさ。

嗚呼、あの時僕は幸せを夢見て幸せだったけど、
でも、幸せを感じた事の無い僕は
あの日、幸せだとは
到底、そう、一度も想えなかった.....。
それは、余りにも独りの夜が辛過ぎたから.....。

そう、僕が残酷な運命を殲滅するための野生の音色
遂に力尽きた日に、僕は、
僕の胸から響かなくなったんだ。
野生の音色、
僕の心の音色たちは。

どうしてだろう?
僕の胸から何も響かないのは?

今迄あれだけ想う存分
僕の心の色、奏でられたのに。

気がつけば僕は
無機質な楽譜の字面ばかり追っていたのさ。

コード進行が解らなければ
到底本質は奏でられないのは当然だ。
然し僕は縛られてしまったんだ。

音楽界の常識という
僕の音楽人生をスポイルする
虚しい幻にさ。

音大に行かなければ
ピアノは語れないなんて。

ナンセンスだよ。

燦然と輝くJAZZの巨星たちは
下町の片隅で生きるために弾いてきたのさ。
あらゆる差別や偏見と闘い、
生活苦と闘いながら。

ある日、権威に虜にされかかった僕は
完璧なクラシック音楽のコピーも試みた。

でも、何かが違うんだ。
指が自由に動かせない、
楽譜に従うだけじゃん。
そう、僕っていう孤独な青年の
自由を求める叫び声
魂の慟哭
暗闇からの解放の音色、

クラシックでは響かないんだ。

だから僕は
エヴァンスに成るしかない、
そう想い願い続け

僕からピアノを奪おうとする
暗闇の力と
僕は鍵盤で闘うしかない。

そう信じて弾き続けたんだ。

然しそれでも僕の音楽人生を虚しくする常識は
僕の鍵盤上の指を攻撃し続けたんだ。

やっぱり権威主義だった。
音楽は教育されるものという固定観念。
僕のような下町の繁華街の野良猫とは
無縁なお題目のような音楽用語、
そして、CDの模範演奏。

世の中、そう、音楽の世界でも
これだけが答えというのは
殆ど無い筈なのさ。

でも数学的なクラシックでは
僕の心の色を出せる余地は殆ど無いから。

嗚呼、無視すれば良かったのに
少し僕は焦っちまったよ。
音大に行かなかった僕は。
あの孤独な日々の真っ只中。
柄にも無く、下町っ子がドイツ語を学んでさ。
西欧音楽は西欧の音楽教育が一番だと
思い込んでしまったんだ。

やがて、ドイツ語を学ぶのを止めて幾星霜。
僕が権威の虜に成る度に
僕の心の音色から野生は失われたんだ。
そう、JAZZの巨星たちのような
差別や生活苦と闘う
心の叫びの音色が.....。

そして僕から僕の声の鍵盤を奪おうとする闇の力は
実は権威主義と根は同じなのさ。
教育されなければ音楽は出来ないと。
だから趣味程度でいいと。

嗚呼、僕は趣味程度なら
僕はピアノに青春を賭けるような事はしなかった。
だから僕は一生独りでもいいから、
病気を抱えていたし、
JAZZに生きようと想ったのさ。

勿論、僕はエヴァンスに成るためにね。

でも、愛の無い僕は
愛の無い人生が苦痛に成った。
そう、僕から魂の慟哭の音色、
野生の叫び声の演奏が聴かれなくなったある日、
僕の野生に火をつけてくれた、
掛け替えのないあなたと出逢い、
愛し合ったんだ。

最愛のあなた、信乃は苦しみに呻く僕に、
有りの侭に生きていいと
教えてくれたのさ。
そう、僕が暗闇から自由に成り
過酷な運命からの解放を願ってくれて、
僕を愛してくれたのさ。
だから僕に自由と解放を求める情念の焔が
苛烈に、際限なく熱く蘇ったのさ。
そして信乃は僕が自由にピアノ弾けるように
僕がピアノを弾く自由を与えてくれたのさ。

だから僕に、
楽譜を自由に弾く勇気が燃え盛ったのさ。
あの日、孤独な闘いをたった独りで展開していた
凄まじき勢いのある音色が
僕の胸に溢れて来たのさ。

嗚呼、蘇ったんだ。
僕の魂の音色が。
僕の愛する信乃の優しい救いの手が
僕の胸を抱き締めてくれたからさ。

今迄僕を締め付けていたもの総ては
ただ幻に過ぎなかったんだ。

そして僕の野生の心ぼろぼろにした者も
僕にはもはや無関係なのさ。

だから僕は今日、僕の愛する信乃への想い、
暗闇からの解放を試みる野生、
みんな鍵盤に曝け出したのさ。
僕が身に着けるもの総て取り去って
熱きシャワー浴びるように僕は
僕の想いの総てを曝け出したのさ。
僕の人生をつまらなくするもの
みんな洗い流すためにさ。
自由に僕の熱き魂表現する
情念の焔の音色で。

今、僕の胸から溢れた煌く夢の音色、
愛する信乃を抱き締めたんだ。
そうさ、僕はもう独りじゃないのさ。
僕の野生の音色だけだったあの日の音色。
孤独と絶望と闘い、
エバンスに成る夢の色の旋律奏で続けた
孤独な日々の夢のまた夢、

僕が愛される色。

今、僕の胸を抱き締めてくれたのさ。

有りの侭の僕は
僕の想い
自由に鍵盤に曝け出すからさ。

愛する信乃から
愛される音色の
真っ赤な薔薇色の音色の花束あげるよ。

愛する信乃
あなただけに.....。

僕の自由と解放の音色
僕は奏で続けるよ。

青春を賭けて
人生を賭けて
命を賭けてね。

愛する信乃への鬼気迫る演奏、
信乃の胸に響いて
僕のステージに立つ姿
信乃の瞳に映るその日のために。

僕と信乃が
夢を叶え続け
幸せに生きるために。

僕は鍵盤に
裸の僕を曝け出し
僕の声色
永久に弾き続けよう。



























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最終更新日  2006.06.05 00:43:16
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