≪はぎうだちづこ≫の夢～公式ブログ

左が佐々木武次郎氏、真ん中が文子夫人、右はムッシュ



昨夜、古くからの付き合いのある友人からひょっこり電話がかかってきた。
「明日、そっちに用事があるんだけど、明日はいるかな？」と。
何と、数日前に、必死に探していた友人からだった。
「えーッ！生きてたのお？」と、あまりにも驚いて思わず叫んでしまった。
このところ随分ご無沙汰してしまっているなあ……と、ふと気になり、
久し振りにご機嫌伺いをしようと電話を掛けたのだが、ところが、どうした訳か
「現在使われておりません」というアナウンス。
携帯にも掛けたが、これ又同じアナウンス！
「えーッ！嘘でしょう？」と不安になりながら、何度も何度も掛けてみたのだが
やっぱり返事は同じ！
ネットで彼ら夫婦の経営するギャラリーを探してみたが、ネットの上には
以前のままの住所と電話番号が……。
関係先や関連のありそうな所をあちこち探したが、結局は拉致開かず。
ムッシュと、「何処に消えちゃったんだろ……。生きてるのかなあ……」と、
不謹慎な言葉を吐きながら(この年齢になると、これが一番気がかりなこと)、
気にかかったまま三、四日が過ぎていた。
そこに掛かって来た電話だったのだから、驚いたのなんの……。
勿論、私は、「居ますとも！」と大きな声で返事！
そして今日、ムッシュと一緒に、数年ぶりの再会を果たした。
『動物会議』のリハーサルが、たまたまお休みだったこともラッキーだった。

彼らは、伊豆高原のアトリエ＆ギャラリーを処分して、半年ほど前に熱海に
ギャラリーをオープンしたということだった。
「一言いってくれればいいのにい……ブツブツ」「ごめん、ごめん」
元気そのものの二人に会えて、本当にホッとした。以心伝心……。
杞憂に終わって何より！ヤレヤレ、フウ……。

彼は、日本より海外で数々の賞を取っていて有名な銅板の画家、佐々木武次郎氏。
銅板を少しずつ叩きながら凹凸をつけ、色を掛けて絵に仕上げていく日本でも
数人しかいないアーティストの一人！
海外ではアートとして、絵と並んでコンクールされるのだが、日本では彫金と
して工芸に分類されてしまうのが私としては残念で仕方がない！
海外で有名になるのも良いのだが、日本で、もっと知られても良い画家だと思う
からだ。
実物を見ると、あの固い銅の板とは思えない柔らかさで、それでいて暖かくて、
涙が出る。
もし、ご興味や関心のおありになる方がいらっしゃれば、熱海でなくても、
取りあえずネットで検索して作品を見て戴きたい！

又、彼女は手編みのセーターやコート、ドレスなどを作るニットの専門家。
毛糸は殆どが輸入物で、やはり日本の色とは趣が違う。
色の好き好きもあるだろうが、輸入物の毛糸は鮮やかなのに色合いが深い。
多分、彼女の糸の組み合わせ方かもしれないが、モダンでお洒落で私は好きだ。
彼女の手編みのセーターを三点持っているが、20年近く着ていても、一向に色褪せず、
毛玉も出来ず、柔らかく何よりも古くならない。
現物を手に取るとよくわかるが、着る以前に一度抱き締めたくなるのが不思議だ。
《fumiko》のニットはいい。

そんな友人夫婦と出会ってから40数年になるが、当 時と何も変わっていないのが
何とも嬉しい。
数年ぶりに旧交を暖めた後の秋空が、いつもより鮮やかに見えた。