≪はぎうだちづこ≫の夢～公式ブログ

娘の愛たちから届いた、何ともシャレた花束

朝、ピン〜ポ〜ンとチャイムの音。
ドアを開けると、可愛い花束が……。

「ムッシュ！父の日のお花だって‼」
「あ〜、悪いねえ……」
と言いながらもまんざらでもない顔。

ふと、10年前に91歳で亡くなった父の顔を思い出した！
そういえば、こんなお花を上げたことないなあ……
酒好きの父へのプレゼントは、当然の如くお酒🍺🎶🍺🎶🍺だった！

普段は、みんなで口うるさく、
「お酒をやめた方がいいよ。体に良くないよ。おじいちゃんも、
お酒で体を壊したんでしょ？」
祖母や母、妹と、がーが〰ピーピー言っていたのに……。

何のことはない！体を壊す手伝いをしてしまった！
でも、でも、でも、だからと言ってお花なんて上げても、“絶対”と
言っていいほど喜ばなかったと思う。

お酒を上げた時のあの顔。
顔の真ん中に全てのシワを寄せて、この上もない最上級の笑顔を
見せていた。
これを見たら、お酒以外のプレゼント✨🎁✨は考えられなかった。

結局、お酒で体を壊したが、ベッドにいる時も、
「ああ、一杯やりたいなあ……ちょっとだけダメかねえ……」
「ダメ！」
と母や私たち。
「一杯だけでいいんだよ……」
「ダ〜メ！良いわけないでしょう！」
「じゃあ、半分でも……」
「ダメったらダ〜メ！」

そして何年か経った。
「お父さん、今日は“父の日”だから、ちょっとだけ呑んでみる？」
「ううん……いらないよ」
「少しだけ呑んでみたらいいじゃない？」
「もういい……。私は、一生分呑んだからねえ……。もういいよ」
静かに天井を見ながら寝ている父の姿が、何だか意地らしく思えて
妹が、梅酒の小さな缶(200ml位だろうか)を夕食の時に出した。
「ああ、旨いなあ……」
美味しそうに、本当に美味しそうに、わずかばかりの梅酒を
口にして、父は満足そうな顔して笑っていた。
「もう少し呑む？」
「ううん、十分呑んだから、もういいよ」

大酒呑んで、母や祖母や私たちを散々困らせて、いろんな所に
迷惑かけて、今の時代なら許されないようなへべれけになって、
生徒たちから担がれて帰って来たりした学校の先生！
宿直の晩など宿直室は呑兵衛先生たちの宴会の場！
夕飯のお弁当を持って届けに行くと、5、6人の呑兵衛先生たちが
集まって、既に一升瓶が一本横に転がっている。
今だから言えるが、時に校長先生もいたような……。
父の昼のお弁当のから箱を抱え、その光景を当然のように眺めて
小学生の私は、それでも少々の心配をしながら家に帰った。

寝ながら考えていた。
”お父さん、今頃どうしているかなあ……。見回りは済んだかなあ……。
泥棒は入ってないかなあ……“
それでも、学校で事件が起きたことは一度もない！
今思えば、何てのどかでのんびりとした、そして緩な時代だったの
だろうか……と。
人も、キリキリギスギスしてなくて、時間がゆっくり動いていた。

人間とは勝手なものだ。
大変だったけど、あの頃の父が懐かしく思えた。
ドラマがあった！キラキラしていた！賑やかだった！

お父さん、ずるいなあ……。
私たちにドッタンバッタンの思い出を残し、最後は良い人になって、
静かに旅立って行った。

父がよく言っていた。
「あの世とやらは、素晴らしくて楽しい所らしい。その証拠に、
帰って来た人がいない！」

父もそうなのだろうか。楽しい所にいるのだろう。
10年も待っているが、いまだに帰っては来ない。

お父さん、ありがとう😉👍🎶！