清香-chinshan-

能力者はどうして追いやられるのでしょう？

赤い羽根をもったかの方は、手のひらで花を咲かせたのです。

そうしたらかの方は村から追い出されました。

仕方なく、山に雨露をしのげる程度の小屋を建てて山のものを食み細々と暮らしておりました。

あるひ仲のよかった友人が尋ねてきました。

「久しいな」とその人は言いました。

友人が帰ってその明けた日、赤い翼のかの方は周りの騒がしさに驚きました。

自分を追い出した村のものと、どうしたのでしょう？武のものどもがおのおの武器になるものを持って集っていたのです。

「お前がいるから農作物があらされるんだ！」
「この干からびた田はお前のせいだ！」

次々と赤い羽根の方には見に覚えの無いことを言うのです。

「あいつは手のひらで花を咲かせた！きっとここいらの土地神の力を吸ってああいうことをしていたんだ！」

赤い羽根のかの方は驚きました。

昨日、たずねてきていた友人がそのようなことを言ったのです。

涙が自然とこぼれました。


・・・赤い羽根のかの方は村人や武の者に殴られたり斬られたりして殺されました。

見るも無残なその姿はもう、人の形をとどめてはいなかったそうな。


赤い羽根のかの方は何よりも心に深い傷を負ったままこの場へ来ました。
どうしてでしょうか？
人は、信じられないもの、得体の知れないものを拒否する傾向があります。
それはどんなえらいことを言う人でも、どんなすごいことを成し遂げた人でも持っているのです。
そして、その力は恐ろしく、一度思ったら同じ人間としてはいられないようにしてしまうのです。

このお話は別に事実ではございませんが、日本の歴史の中には近代、まれに見る能力者が無実の罪を着せられて秘密的な裁判により処刑されました。
惑わしたから？
信じられないから？
確認できないものだから？
邪魔だったから？
同じ人とは思いたくなかったから？
酷いですよね。人間って。
弱いくせに威張り腐っていて自らの手で自分の首を絞める哀れな生き物。

道徳で習うもの。
でもさ、もともとの日本の道徳が間違っていたとしたらどうよ？
北朝鮮みたいにさ。


能力者を否定するのはきっと自分ができないから。
ひがみだよね。ジェラシーだよね？
実は、日本の道徳にはこれが強くあるのです。

知りなさい。

と、かの人は言っていたのです。