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テーマ:きもの姿増えますように(507)
カテゴリ:着物ミニ知識
花がたみ着付教室のお弟子さん達の質問で、「一昔前のお婆さん世代の人々は、なぜ高価な着物を持っていたのだろう?自分が職業を持っていたわけでもない人でも一通りの着物や帯を持っているのだが、今の時代では働いているのになかなか揃えられないのはどうして?」
というお話がでたので、色々な人の話をお聞きしたり、明治から昭和初期の小説や雑誌の記事などを見たりして以下のようなことではなかったのかと思います。 一昔前の女性(現在80代くらいから上)は、現在の女性のように様々な習い事をしたり、クラブ活動やスポーツなどを特殊な才能がある方は別ですが、一般的には盛んに行うという習慣が無かったので、14歳くらいから何となく家の中で縫い物を手伝ったり、自分の身の回りの物を手作りしたりする機会が多かったのです。 又、女性でも大学に進学しなければ。。。という時代ではありませんでしたから義務教育や高校卒業後は、お裁縫学校に行ったり、花嫁修業的なことをしながら家事手伝いをして過ごすという方が多かったのです。 ですから、多くの女性が自分で着物を仕立てることが大人になるまでには出来るようになっていたので、反物さえ手に入れば仕立て代がかからず、普段着の着物は日常的に数多く持っていました。 着物ばかりでなく、長襦袢や帯、羽織、人によっては帯締めも絹の布を細く縫って中に真綿を入れた「丸」の帯締めというのを自分で作っていました。 はんてん、前掛け、座布団、寝具なども自分で作っている方も多かったようです。 自分で作れるので、年頃になるとお嫁に行く時に持っていけるようにと周りの方も何かの折には反物や帯地をプレゼントすることもありましたし、お母さんや親戚の着物を自分で仕立て直して着たり、結婚して家族が増え、人前に出ることが多くなっても着る物に困らないようにと少しずつ着物を揃えていたのです。 現在のように女性を中心に写真を撮るということも少なかったので、一度写真に撮ったから次回は別の着物を着なくては。。。ということもあまり考えませんでした。 留袖や訪問着などフォーマルな着物は10年でも20年でも大切に何度も着用したので、当時も着物は高価だったとは思いますが、着用する機会を考えると現在ほど贅沢品という感覚ではなかったようです。 女性の生活がドンドン変化して様々な分野に進出し、活躍し、例えばレスリングのような格闘技の世界でも日本女性が世界に先んじた技術を披露する時代になりました。 家の中で着物を仕立てるばかりが女性の生き方ではなくなったのです。どんな仕事でも才能があれば、それを活かして生きて行く選択肢が広がった素晴らしい社会になりました。 しかし、そこで私たちが忘れてはならないのは「思いやり」や「心」の問題です。 昔は着物を通して、言葉が少なくても、それを持たせてくれた両親の気持ち、プレゼントしてくれた人の気持ち、お母さんやおばあちゃんの着物を引き継いでお祝い事に出席する気持ちなどを自然に学び取る機会が多くありました。 簡単な服装や既製品の洋服は便利で手軽ですが、そういった物を着て「思いやり」を感じたり「心」を感じる機会は少ないわけです。反対に「安かったから汚れてもいいや。」「どうせTシャツだからいいや。」くらいに思ってしまい、心が乱暴になってしまいがちではないでしょうか? 着物に携わる者として、着方を教える、着物を着せるという仕事も大切に思っていますが、その着物の奥にある「心」を皆さんに感じて欲しいと常に思っています。 そして、着物を着ていない時でも「心」を感じられるような女性になれたら。。。そう思っています。 群馬県高崎市飯塚町1766 花がたみ着付教室 電話027-361-5696 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年01月16日 18時52分14秒
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