またあした

　今日はいい天気ですね。
ベッドに寝転ぶと頭上の窓から気持ちのいい風が入ってきます。
この窓から風が入る時は北寄りの風。
カーテンが揺れて、その裾から見える空。

快晴。

青い空。

流れる雲。

今日はきっとウインドサーフィン日和。

居ても立っても居られない気持ちになってしまいます。
コンディションが良い日に乗れないなんて辛いですね。
頭の中がおかしくなりそうなループを繰り返します。


頭の中では何でも出来るし、今日のライディングイメージもしっかりと出来る。


じゃあやろう、いや…やりたくって仕方がない抑えがたい衝動に駆られる。


でも体が思うようには動かない。
それは解っているけど、それに気が付かず無意識に忘れようとしている事を強く感じる。


そして現実を思い知らされる。


それは解っている。
動かないから動くようにするしかない。


でも、すぐに…ちょっとやったぐらいで動くようになるわけない。
間違いなく今日は間に合わない。


じゃあ、どれだけ？
何千回？
９０００回だとしても、日に１００回で９０日。
そんな程度で麻痺が回復したら、不全麻痺か奇跡だ。
やはりひとつの関節、ひとつの動作を何万回とやって、きっと治せるんだろう。
しかもそれは絶対的、１００％を保障しない。
方法を間違えれば何万回やっても望む結果は出ないだろう。


だったら止めるのか？


やらなければ絶対結果は付いてこない。
万が一の、奇跡と言われる現象も絶対起こらない。


その先の目標も絶対達成できない。




『もしここで何もかも止めたらどうなるんだろう？』

そう考える事はよくある。


腐って生きながらえる自分を想像できない、認められない。

世話になっている人達に対しても、恩を仇で返すことになる。

自分の知る限り、ママちゃんほどの素晴らしい人間に出会った事が無いし、自分から裏切ることは出来ない。

未来の有る子供に、希望の無い父親の姿を見せる訳にはいかない。


『自分で自分を愛せる生き方を出来る自分にならなくてはならない』


その信念は曲げられない。

自分で自分を好きだとすら、未だに思っていない。

それに、


『周りの目が怖い』


色々な意味で…。




結局それら全ては立ち歩く事の向こう、それよりも遠い先に有る。


その遠い最終目標は、自分の人生の最終日に達成できたならば、自分を愛し逝く事が出来るだろう。


それまでかかわってくれた人に対してお礼を出来たと自分を認めるだろう。


しかしそれまでの時間はそう長くはない。


辛いからと、その一日を、その一瞬を、無駄に生きる事は許さない。


『今、お前に出来る事は何なんだ！』




　浮き沈みする気持ちをひとつひとつ考え消し去り、闇から拾い上げていく。


カーテンが揺れて、その裾から見える空。


流れる雲は自由でいいなぁ。


風に吹かれて追いやられているともいえるだろう。


でも、俺は風が吹こうが何が有ろうがベッドからひとりで動き出せない…。


目線を移すと、腕に巻きつけてあった錘が視界に入る。


いま自分に出来る事はこれ。




長い時間をかけて、今やるべき事と気持ちを合わせる事ができました。