歌 と こころ と 心 の さんぽ

2015/02/02(月)09:41

 ◆ テロと貧困、差別と資本主義

一日一首(550)

♪ 男とは今を浮遊の根なし草 過去と未来の夢幻に生きる ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  男という生き物は、今を生きようとする女性と違って、過去に固執しながら生きている。その過去が素晴らしいものであればある程その度合いが大きくなる。現役を引退した後でもその過去を振り回し、今の自分を誇示することで支えようとする。リセットしてしまうという事が出来ないのが男のサガなのだ。  過去の経験が惨めで悲惨であればあるほど、その原因となったもの(ほとんどが外部からの迫害や貧困など)を根にもって、その憎悪が生きるためのエネルギーとなる。憎悪の対象が個人の場合は単純だが、飢えとか貧困とかの場合は怒りを向ける対象が曖昧になる。そうなると必然的に対象は社会全体となり、無差別テロのようなものになりやすい。それは、個人でする場合も有れば、集団でする場合も出てくる。  イランの映画監督マフマルバフ氏が、「(アフガンなどの)タリバーンは遠くから見れば危険なイスラム原理主義だが、近くで個々を見れば飢えた孤児である。」と述べていた、という話が今朝の天声人語にあった。  民族紛争の根源にあるものは、生存競争からくる領地と食糧の争奪に関わっている。肥沃で豊かな土地に在ってはそんな事など起こらない。たとえ起こっても、民族を根絶やしにするという発想には至らないでしょう。  ♪ 来たるべきその幻想のユートピア想いて今日も殺戮の中  現在に幸福を見いだせない以上、それを未来に求めるのは理知ある人間の得意とするところ。夢の王国を作らむとして世界中から同じ思想を持った人間を集めて、何が何でもやり通そうとする。その明確な目的のためには、現在行っている事はすべて正当化され、罪の意識も加害者としての認識も湧いては来ない。  ポル・ポトもアミンもヒットラーも何ら変わらない。今の先進国も、かつては侵略戦争で殺戮を繰り返して領土を広げた張本人でもある。移民に仕事や富を奪われることを嫌って、スラムに押し込んで差別の限りを尽くしているのが現状でもある。  50年、100年単位で繰り返されるこれら人間の愚行は、男という生物の何とも仕様の無い野蛮な習性からくるもの。文明や文化が未熟であればあるほど、それらははっきりとした形で現れる。地球上の人類全てが同じ文明と教養を持てるようになるまで、一体あとどの位の時間が必要なのだろうか。  砂漠の不毛地帯に住むムスリムたちがただ野蛮だと言っている限り、世界が一つになることなど有りえない。金が金を生むような、不自然極まりないエコノミック・ソサイティー。資本主義社会が行き詰って貧富の差がますます酷くなっていく中で、EUもアメリカも中国も日本も、これらのテロとは無縁とはなり得ない。  恐ろしい時代がやって来た。 ◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。 ◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。 ★ 「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月) ☆短歌集「ミソヒトモジ症候群」円居短歌会第四歌集2012年12月発行 ●「手軽で簡単絞り染め」

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