歌 と こころ と 心 の さんぽ

2023/12/20(水)15:57

☆ リニア新幹線と今後のテクノロジーの変化 パート1

問題、意見(13)

 FBでコメントのやり取りをしていて、内容が多く長々と書くわけにもいかないので、ブログに書いて読んでいただくことに。先ずは経緯を説明してから、私の意見を述べることにします。  元になったのがこの投稿。 為政者が一番気付くべきこと。既存の権力に群がる無知な連中の価値観を、完全に変えない限り、またこの価値観が社会の50%を超えない限り、世の中は変わらない。  これに対して、こんなコメントが寄せられた。 「この方は、『ランチェスターの法則』を知らないようです。明治維新は、僅かな「命懸けの志士」が基になり、起こりました。命懸けの志士が1%居れば、世の中は変わります。 赤川次郎さん、リニア新幹線と、飢えた子供を無くす事を比べる事は、いかがなものでしょう?日本が、世界に誇る新技術のリニア新幹線。これを開発しているのは、JR東海という企業です。企業が、上を目指すのは当然の事であり、もし、このリニアが完成すれば、世界の鉄道事業に対して、大きな影響を与えます。これを輸出し、日本のGDPを高める事は、貧困層を救う一因になると思います。」  それに対して私がこんなことをコメントしました。 「リニアが完成すれば、世界の鉄道事業に対して、大きな影響を与えます。これを輸出し、日本のGDPを高める事は、貧困層を救う一因になると思います。」貴殿がおっしゃる、この下りに疑問を感じるわけです。同じ論理で大阪万博もやろうとしているのだろうと思います(カジノを作るための踏み台にしようとしているという面もあり)。  今後のテクノロジーの変化と、環境に対する考え方、思想や価値観などが今までとは全く違う世の中に世界が生ろうとしている時に、果たしてかつてのような論理が通用するとは思われません。  古い価値観に縛られてかつての成功体験が忘れられず、しがみついて変革できなかったから今の日本があるのではないでしょうか。世界からどんどん後れを取って降進国に成り下がっているところから脱却するには、護送船団方式のようなものは通用しません。  そして以下の反論がありました。 「世界に先んじた技術であるリニア新幹線を活かす事のどこが古く、どこが護送船団方式なのでしょうか? 資源が少ない日本が、世界と方を並べるには、その技術力や開発力を活かす事が大切だと思います。 では、質問しますが、今後のテクノロジーの変化とは?環境に対する考え方とは?思想や価値観などが全く違う世の中とは?どんなものなのか? また、日本が、かつての隆盛を取り戻す為には、どこをどう変えたら良いのか? また、子供達を貧困から救うにはどうしたら良いのか?を、具体的にお示し下さい。」  以下に、私が思っていることを述べていきたいと思います。20年~30年先のことを予測してのものです。  先ずは「リニア新幹線」について、私見を述べていきたいと思います。  巨額の費用・9兆円(財政投融資3兆円。安倍主導により低金利--30年元本返済据え置き・金利0.8%)、高価なヘリウムを使い、大量の電力を消費(原発1基~3基の電力量)する。(液体ヘリウム・液体窒素を使わない高温超電導磁石を開発中で、実用できるようになれば10%削減できるとしている)  2042年に65歳以上の高齢者数はピークを迎えるし、2040年ごろには全国の自治体の半数が消滅の危機であるともいわれています。また、2065年中ごろには人口が8千万人台まで減少するのは確実です。 内閣府 平成29年版高齢社会白書  少子高齢化のもとで、経済は過去のような高度成長はあり得ないと思われる。人口が減れば新幹線の利用者も減る(JR東海は、半数がリニアに流れると予測し、インバウンドが増えて日本での定住人口も増えていくという見通し。)    新幹線の開通は東京オリンピックとセットで、高度経済成長(1955年頃から1973年頃)の真っただ中のこと。年功序列、終身雇用の旗の下で消費が美徳でもあった。今後、少子高齢化のもとで、消費の伸びは期待できないし、金で時間を買うという価値観が今後も続くかどうか疑問。リニアを作って、高速で移動する必要性が強まるとは思えない。  料金は、のぞみプラス700円、新大阪までプラス1000円でという案が出ているが、あくまでも過程の話であって、もっと高くなる可能性を否定できない。 JR東海 コロナ禍以降戻ってきてはいるが・・  コンコルドはスピードばかりを追求したが、コストが高く、騒音や排気ガスをまき散らした。赤字続きで技術改良もままならず、事故を起こして廃止になった。その轍は踏まないだろうが、利便性を追求するばかりの世の中、失って来たものの大きさに、コロナ禍を経てようやく気づき始めている。 ☆  リニアは東京(品川)-名古屋間・全長286キロのうち、トンネルが9割近い。地震に強いというが、中央構造線断層帯や多くの活断層がネック。貨物列車がなくて、モノが運べないリニアは、災害時に役に立たない。 「品川-名古屋」間が2027年に開業したあと、大阪まで延伸して2037年に全線開業の予定。しかし、静岡工区の地下水問題でストップしている影響から、「難しい」との見方を示している。  JR東海は、新幹線のバイパスの位置づけとしてリニアを走らせるという。東海・東南海地震も危惧されていて、国がやらないならとJR東海が手を挙げた。そのこと自体は評価できる。しかし、東海道本線も含めて12の在来線全部が赤字で、新幹線でもっている状況。民営化した87年はバブル期の初期で、その波に乗って利益を上げて来られた。  今後、そのようなプラス要件はないとは言えないが、世界情勢からしてもマイナス要因があまりにも多い。 ☆  現状、ロシア-ウクライナ紛争で資材不足、人手も不足して経費は増える一方だし、コロナ禍以降、価値観の転換の必要性を考える社会になっ来ている。 クリックでブログページへ  永久凍土が溶け続けていて、メタンガスが大量に放出されている。その勢いはもう止められないところまで来ている。凍土が溶けると日光を吸収しやすくなり、ますますその速度を増して幾何級数的に進むと思われている。研究者はおそらく、北極圏では数十年の間に、表面近くの永久凍土の30%~70%が失われると予想している。  CO2排出大国の中国とアメリカは、今のところ頬かむりしてやり過ごしているが、急速に悪化していく環境変化を無視できなくなる時がすぐそこまで来ている。  日本は今年、国際的な環境NGOから4回連続で「化石賞」に選ばれ、風当たりは今後ますます厳しくなっていくと思われる。原発を増設する方向に向かっていくしかなくなる中で、核のゴミが大きな問題となり、経済優先と地球保全との板挟みとなっていく。  MRJ(三菱リージョナルジェット)は巨額の投資をした挙句に頓挫している。社内の意思決定過程に問題があり、スムーズに事が運ばない。「グローバルエキスパート」を導入するも、改革に慎重すぎて軋轢が生じ、結局それもうまくいかなかった。 ☆  過去の実績に囚われ目先の事象に拘泥し、保身のための虚偽を重ね大企業の、いわゆる不祥事の数々が露見して見苦しいお詫び会見が続いた。今の日本は旧弊と改革の確執の中で、大企業優先の施策に十分に応えられる状況にない。  嘗ての貿易輸出国としての矜持も実力も無く、第三勢力の後塵を拝するばかり。そこから脱出する見通しは果たしてあるのだろうか。  リニアの技術を輸出して外貨を稼ぐというのは、日本にとっては大きな魅力だが、鉄道の役割が、アフリカ、インド、欧州、米国、日本、それぞれの路線によって全く違う。リニアが輸出が可能とされるのは、ワシントン⇔ニューヨークを運行している「アムトラック(アセラ・エクスプレス )」ぐらいと言われている。 ☆  多額の開発費が掛かり、運営にも多量の電気(原発1~3機)を必要とする。地球温暖化の問題がますますシビアになって行く中で、果たして今後そんなものに投資するような国があるのかどうか。  ドイツは、中国・上海でリニア鉄道を実現しながら、08年に国がリニアから撤退している。技術的に時期尚早だったようだが、メカに故障はつきもの。もしそんなことがあれば、今までとは考えられない問題が起こる可能性もある。  JR東日本の子会社が、インド(ムンバイとアーメダバードを結ぶ高速鉄道)に新幹線方式での建設を契約。2017年9月に起工され、2023年中に全線開業することになってたが、2023年も半分が過ぎたというのに、開業に関する声が聞こえてこなかったという。 インドで建設中の新幹線 大半が高架橋  コロナ禍で遅れていた土地取得率が100%に近づいて、今は「遅々として進んでいる」状態らしい。数々の設計変更により事業費増は避けられそうもなく、事業費約1兆ルピー(約1.8兆円の大半は円借款で賄われる)が、当初予想よりも多額となれば、経営リスクは大きく膨らむことが危惧されているという。  アフリカはまだまだ先のこと。ヨーロッパは19世紀の鉄道を生かしながら、20世紀と19世紀が同居するという形の鉄道を理想と考えている。  それよりも果たして、JR東海がリニア輸出を視野に入れているのだろうか。 ☆ 「護送船団方式」とはもともとは軍事用語で、さまざまな不測の事態が予測される海上運航において、護衛艦で輸送船を囲い護衛することで、船に積まれた重要な物資や要人を目的地まで無事に送り届けることを目的としている。  そこから、「行政が私企業の経営を保護しながら監視・監督することで安定的に運営させる」という意味合いを持つようになった。  JR東日本の子会社・日本コンサルタンツ(JIC)がインドへ新幹線進出するにあたって、オールジャパン態勢でやっているのは、まさに「護送船団方式」といえる。  鉄道を含むインフラ輸出は、安倍晋三政権が2013年に成長戦略に盛り込んで以降、その柱として位置づけられてきた。今はもうそんなことを出来る状況でもない。 パート1パート2パート3パート4

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