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最果ての世界

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春時

春時

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December 17, 2004
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テーマ:小説日記(233)
カテゴリ:プチ小説
ある広い広い空のような野原に、ひとりの少女がいました。
そして、その隣に少女よりも幼い少年がいました。

その少女は、自分の記憶のない代わりに。人とは違う力をひとつだけ、持っていました。
それは、時間を旅することの出来る力でした。
少女は、その力で過去から未来へ。未来から過去へと旅をしていました。

この場所も、この時も、少女にとっては通過点でしかありません。


少年は、聞きました。『どんな時間へも行ったの?』
少女は、答えました。『どんな時間へも行ったの。』

少年は、聞きました。『大人の僕にも会った?』
少女は、答えました。『大人の君にも会ったよ。』

少年は、聞きました。『子供の僕にも会った?』
少女は、答えました。『子供の君にも会ったよ。』

少年は、聞きました。『どうして旅してるの?』
少女は、答えました。『自分の欠片を探しているの。』

少年は、聞きました。『自分の欠片?』
少女は、答えました。『そう。私を作る記憶の欠片。』

少年は、聞きました。『大切な人は、出来なかったの?』
少女は、答えました。『大切な人は、出来たよ。』

少年は、聞きました。『大切なものは、出来なかったの?』
少女は、答えました。『大切なものは、出来たよ。』

少年は、聞きました。『それでも、旅を続けるの?』
少女は、答えました。『それでも、旅を続けるの。』

そして、少女は高い空を見上げて言いました。
『大切な人も、大切なものも出来たよ。それでも、それは欠片だから。』
『その欠片は、まだ足りないから。残りの欠片を探して、旅をするの。』


そこで、少年は目を覚ましました。そして、それが夢だと気が付くのです。
そして、そのまま、着替えて。いつものように出かけます。
いつも行く、自分のお姉さんの入院している病院に。
そこで、少年はお姉さんに話かけます。
いつまでも、いつまでも、目を覚まさない眠ったままのお姉さんに。
『ねぇ、まだ欠片は見付からないの?』
そのお姉さんは、夢で見た記憶のない少女でした。
『僕、ずっと待ってるよ。』
夢と違い、答えてくれない少女に声をかけます。
『だから、たくさんの人の時を旅して。』
『早くお姉ちゃんの欠片を見つけてね。』

*************************************************
今日は、絵本のようなお話にして見ました。
植物のように眠るヒトは、たくさんの夢を旅する。
そして、自分の欠片を集めている。
欠片を全部見付けることが出来れば、きっと目が覚める。

なんだか、そんな物語です。不思議な夢を見て。
それを元に、こんなストーリーに仕立て上げてみました。





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Last updated  December 17, 2004 06:04:25 PM
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