2020/11/27(金)21:56
コロナ禍と吟詠『奥の細道』『初恋』など
3月に入ってから、公民館が休館となり、
公民館での詩吟教室が休みとなりました。
それで、どうしようかな~と思いながら
これまでのファイルを眺めているうちに
新体詩のプリントが 目に留まりました。
私が 公民館の詩吟教室に入って 二回目の
夏季温習会で先生が詠われた『奥の細道』
その時の録音テープと配られたプリントが
あったので、吟詠用のコンダクターを弾き
ながら練習を 始めました。初めのうちは、
なかなか音取りも、節回しも上手く行かず
でも 一週間ほど練習したら、何となく音が
取れるようになり詠えるようになりました。
『奥の細道』(平泉の一節) 松尾芭蕉
さても 義臣 すぐって この城に こもり
功名 一時の 叢(くさむら)となる
国 破れて 山河あり
城 春にして 草 青みたりと
笠 打ち敷きて 時の移るまで
涙を 落としはべりぬ
夏草や なつくさや
兵(つわもの)どもが 夢のあと
兵どもが 夢のあと
その次には、私が三回目の夏季温習会で やはり
先生が詠われた『枕の草子』の練習をしました。
これは清少納言の『枕の草子』を現代になって
から、新体詩としてまとめられたものです。
『枕の草子』 角光瀟堂
春はあけぼの 山の色 白雲 流れ
紫の雲 棚引き 渡る
夏の夕べ 蛍 飛び 星 空に浮かぶ
秋の夕暮れ 月 山の端(は)にかかり
雁の 飛ぶ 見ゆ
冬の朝(あした)埋もれ火を かき起こしつつ
格子戸を 開き
香炉峰の雪 いかが ならんと
四季のいろいろ 思い 廻らす
春のあけぼの花桜 夏は夕べの花ハチス
秋はもみじの綾錦 冬は朝(あした)の雪景色
その次には、昨年の夏季温習会で先生が詠われた
『冑山の歌』これは 頼 山陽 の漢詩を訳したものです。
『冑山の歌』 頼 山陽 作、水野豊洲 訳
冑山(かぶとやま) 昨日は 我れを 見送りぬ
冑山 今日は 我れをば 出で迎う
山陽の道 往き返る
十度(とたび)となりぬ 指 折れば
山の緑は 変わらねど 道行く我れは
白(とし)髪(おい)ぬ
故郷に在ます 母上は 衰え給う 更に 亦
明年(つぐとし)誠(まこと)この道を
母を 訪うべく 下らなん
その次には、島崎藤村の『初恋』を 先生に
節付けをお願いして それを練習しました。
『 初 恋 』 島崎藤村
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
その次には、吟詠仲間が親族の結婚式で詠いたいと
いうので一緒に『結婚式を祝す』を 練習しました。
『結婚式を祝す』 本宮三香
さしかわす 枝むつまじく 栄ゆらん
千歳(ちとせ)を契る 相生の松
四海 波 しずかにして 瑞色 ひらく
相生の松は 茂りて 枝を 鳴らさず
天の戸の 真澄(ますみ)にならぶ 二つ星
百千(ももち)の世まで 添いてゆくらん
高砂の 一曲 喜び 極まり 無し
契りは 固し 三三九度の 卮(さかずき)
いつもの教室では漢詩がほとんどですが、
教室が休みだったため、四苦八苦しながらも
新体詩の練習が出来て良かったと思います。
来月からまた通常の教室が再開となり
律詩・古詩の稽古となり、それはまた
新たな気分で 練習ができそうです
【公民館の詩吟】
詩吟もえ子さん と はてなのゆりさん