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カテゴリ:ジャズ
ロバート・グラスパーがマイルスの音楽を材料に、イマジネーションの赴くままに表現したアルバム。 ベースの曲があって、そこにマイルスのいろいろな曲がサンプリングされている。 ヒップホップやR&B系の音楽が殆どで、ヴォーカル入りのダンス音楽と言ってもいいほどだが、このスタイルがマイルスの音楽にしっくりとはまっているのには驚いた。 それだけマイルスの音楽が進んでいたというべきなのだろうか。 何しろ、取り上げられているのは1970年代の音楽なのだから、ヒップホップの影も形もないころだ。 前半に何回も入る女性ヴォーカルはあまり好きではない。 特にエリカ・バドゥの歌った「Maiysha」は歌に品がなくて気に入らなかった。 ヴォーカルといえば「Silence is The Way」でのローラ・マヴーラの歌も感心しない。 kingをフィーチャーした「song for selim miles」は、コーラスも入り、なかなかムーディーな仕上がりだった。 一番気に入ったのは、最後の「Right On Brotha」。 ショーターの「ネフェルティティ」が取り上げられている。 スティービー・ワンダーがハーモニカで参加している。 メロディーが素直に流れるわけではないし、ハーモニカも全編演奏しているわけではない。 ただ、ストリングスを模したシンセのサウンドが聞こえてくる部分は、実にシュールで、ぞくぞくする瞬間だ。 好みの問題もあると思うが、ベースの音が大きく、うるさく感じる。 このアルバムを聞いていたら、マイルスの演奏が無性に聞きたくなった。 ネフェルティティをきいたが、オリジナルはストレートな表現で、今回はより洗練された表現になっている。 オリジナルは暗い感じだと思っていたが、力強い表現だったのは意外だった。 「Milestones」はメロディがそのまままでて来て、グラスパーの換骨奪胎ぶりが良くわかる面白い演奏だった。 「I'm leaving you」はソウル色の強いノリのいいコーラスが、楽しめる。 結局、ここで演奏されているナンバーをよく知らないと、グラスパーの狙いが良く理解できない。 原曲がクレジットされているが、一つの曲に何曲もサンプリングされているために、どこがマイルスの音楽かわからなくなる。 まあ、そういう聴き方をする人はあまりいないだろう。 難しいことを考えないで、ダンス音楽として楽しめばいいのかもしれない。 Robert Glasper:Everything's Beautiful (Sony Legacy 88875 7812) 1.Talking Shit 2.Ghetto Walkin 3.They Can't Hold Me Down 4.Maiysha (So Long) 5.Violets 6.Little Church 7.Silence Is The Way 8.Song For Selim 9.Milestones 10.I'm Leaving You 11.Right On Brotha お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022年05月03日 07時27分33秒
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