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小松亮太のデビュー20周年記念アルバムで、昨年の7月に東京オペラシティで行われたコンサートのライブ録音。 小松亮太は名前は知っていたが音を聴くのは初めて。 きっかけは「レコード芸術」9月号で取り上げられていたからだ。 イ・ムジチとの共演と知った時に、何故と思ったのだが、イタリアにはタンゴが盛んのようだ。 もっとも、初期のアルゼンチン・タンゴはイタリアからの移民が始めたらしいので、本家といってもおかしくない。 タンゴはクレーメルをはじめとして、これまでもレコード芸術で何回か取り上げられていた。 ただ、リーダーがクラシックの演奏家でないミュージシャンのアルバムが取り上げられたことは当ブログの記憶にはない。 今のところ購入する気はないので、様子見でTSUTAYAからこのCDと「ブエノス・アイレスのマリア」をレンタル。 イ・ムジチとの共演ということで、軽い感じの仕上がりかと思ったら、まるで違っていた。 タンゴとは思えないほど重厚で、これがイムジチと思うほど分厚い響きで圧倒される。 特にソロ・ヴァイオリンの凄みったらない。 タンゴのヴァイオリンとは次元の違うクラシックの演奏家の凄みを認識させられた。 小松亮太のアコーディオンは暗めの音色で、腰を割った表現がイ・ムジチのサウンドとマッチしている。 どの曲もテンポは若干遅めで、じっくりと演奏しているのが分かる。 ライブということもあるのかメンバーの意気込みがダイレクトに伝わってくるのが、よくわかる。 特に「ブエノスアイレスの四季」がこれほどの迫力と圧倒的な説得力で迫ってくる演奏は、聞いたことがない。 決して華やかな演奏ではなく、むしろ荒々しい迫力さえ感じられる。 バンドネオン、ソロ・ヴァイオリンとも、これでもかというほど熱気あふれる演奏。 それは抒情的な「冬」でも変わらず、雪も溶けるかと思わせるような熱い演奏が続く。 「レコード芸術」で特選になったのも頷けるが、「冬」と「春」は曲順を入れ替えたほうがより感度てきだインパクトが強かった気がする。 「リベルタンゴ」も斬新な編曲で、弦、バンドネオンともに熱気あふれるというか、鬼気迫る音楽に聞き手はたじたじとなるばかりだ。 「オブリヴィオン」も普通の静かに進行していくという感じよりは、もう少し突っ込んだ表現で、Bメロの濃厚な表情もちょっとした驚きがあった。 バンドネオンのソロがアグレッシブで実に素晴らしかった。 小松亮太のオリジナル「夢幻鉄道」はとてもいい曲だった。 鉄道を思い起させるリズムに乗って、大空にはばたくようなメロディが流れていく。 まるで映画の一場面をどきどきしながら見ているような瞬間が味わえる。 ガルデルの「首の差で」はピアソラの曲に比べると、新しさがあまり感じられないし、出来も最も平凡。 当日はこれらのほかに、ピアソラの「ピアノと室内オーケストラのための3つの」から 「フーガ」、それにヴィバルディの「四季」が演奏されている。 「四季」はいいとしても「フーガ」は収録してほしかった。 ピアソラ:ブエノスアイレスの四季 他 with イ・ムジチ合奏団(SONY MUSIC SICC-30485) 1.ブエノスアイレスの夏 2.ブエノスアイレスの秋 3.ブエノスアイレスの冬 4.ブエノスアイレスの春 5.首の差で 6.夢幻鉄道 7.リベルタンゴ 8.オブリヴィオン 小松亮太(バンドネオン) イ・ムジチ合奏団 2017年7月7日東京オペラシティ タケミツメモリアルにてライブ収録 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018年09月17日 17時49分11秒
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