2988620 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Profile

bunakishike

bunakishike

Recent Posts

Category

Archives

2024年10月28日
XML
カテゴリ:ジャズ

この季節に恒例の山中千尋の新作を聴く。
今回はいつものPresto Musicからのリリースがなかったため、次に安い ProStudioMasters から税抜きC$13.49で入手した。
彼女自身のコメントや演奏については、ユニバーサルのサイトにアップされているので、参考にしてみてはいかがだろうか。

今回のテーマはピアニストのバド・パウエル(1924-1966)の生誕100周年と同じ年に生まれた作曲家のヘンリー・マンシーニ(1924-1994)の特集だ。
マンシーニが亡くなったのはつい最近のことのように感じていたが、実際にはもう30年も経っているとは驚きだ。
月日の経つ速さに、自分が年を取ったことを実感する。

彼女のコメントによると、「最初は全編バド・パウエル作品集にすることも考えましたが、それならプレイリストやコンピレーションでパウエル本人の演奏を聴いたほうが良い。より自分らしさを打ち出すアルバムにしたいと考えた結果、この構成になりました」とのこと。
また、パウエルを聴くようになったきっかけは、「私はイリアーヌが演奏する『Hallucinations』(アルバム『クロスカレンツ』)やジェリ・アレンが演奏する『Oblivion』(アルバム『イン・ザ・イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』)を通じてパウエルの曲作りに関心を持ち、晩年の演奏も含めて聴くようになりました」とのこと。
多くのジャズファンがブルーノートやヴァーヴの作品から入る中、彼女のアプローチは非常にユニークだ。

プログラムは、パウエルの曲が4曲、マンシーニの曲が2曲、オリジナルが3曲、そして坂本龍一の曲が1曲という構成だ。
パウエルはブルーノートの代表的な2曲と、ヴァーヴの『The Genius Of Bud Powell』からのもので、後者は筆者には馴染みが薄い。
「Tempus Fugit」と「Un Poco Loco」は、どちらも快速調でダイナミックな演奏ながら、重量感も感じられる。
「Un Poco Loco」ではデイヴィスがカウベルを多用していて、少しうざいと感じる場面もある。

「Hallucinations」はテンポを落とし、ニューオーリンズの喧騒を思い起こさせる陽気なマーチに変身していて、踊りだしたくなるような演奏だ。
中間部ではそれまでのムードを引き継いだドシャメシャなドラムソロが入る。
「Oblivion」も速いテンポで一気呵成に進む。
バップ・イディオムの息もつかせぬピアノ・ソロが見事で、カーターのドラム・ソロも曲調に合わせたエネルギッシュなものだ。

坂本龍一の「Ai Shiteru, Ai Shitenai」は、坂本の追悼のために入れたのだろうか。
愁いを帯びたメロディーがエレクトリック・ピアノの上で進行するスタイリッシュな曲で、こうしたポップな曲を演奏させたらジャズ界では彼女の右に出る者はいないだろう。

オリジナルの「Carry On」は、『今回が26枚目のアルバムということで、クオーター(25)という節目を終えて、新たなフェーズに入るという決意を込めて書きました』とのこと。
バックでシンセが鳴っており、本来は中間部の3拍子のメロディーがメインテーマだったそうだ。スタイリッシュなメロディーがなかなか良いのに、出来上がったテーマがいまいちでスイッチした理由を知りたいところだ。

「Horizon」はブラジル音楽の影響を受けたリズミックかつ抒情的な曲で、暗いところから夜が明けていく情景を描写している。
騒がしい曲が多い中で、爽やかな気分を感じさせる1曲だ。
マンシーニの「ムーン・リバー」と「ひまわり」は彼の代表作で、聴き手がよく知っているだけに、演奏者にとってはやりにくいのではないかと感じたが、山中の演奏は一切のてらいがなく、重量感がある堂々たるジャズに仕上がっていた。

ドラムスの激しい打ち込みから始まる「ムーン・リバー」は、曲のイメージとは異なる硬質でエネルギッシュな演奏で、ハードなピアノのアドリブもぐいぐい進む。
「ひまわり」ではテーマの一部音を変えているが、その理由は不明だ。
ドラムが忙しなく、ラッセル・カーターは少し叩きすぎている印象がある。

録音は先鋭さには欠けるが、厚みと重量感のあるサウンドで悪くはない。オーバーレンジ気味で、ところどころピアノの歪みが聞こえるが、その理由は不明だ。

山中千尋:Carry On(Universal Music)24bit 96kHz Flac

1.Chihiro Yamanaka:Carry On
2. Henry Mancini:Moon River
3. Bud Powell:Tempus Fugit
4. Ryuichi Sakamoto:Ai Shiteru, Ai Shitenai
5. Bud Powell:Hallucinations
6. Chihiro Yamanaka:The Horizon
7. Bud Powell:Un Poco Loco
8. Henry Mancini:Sunflower
9. Chihiro Yamanaka:Stride
10. Bud Powell:Oblivion

Chihiro Yamanaka(p,key)
Yoshi Waki(b)
John Davis(ds except track 1,10) )
Russell Carter(ds track 1,10)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024年10月28日 17時02分34秒
コメント(0) | コメントを書く
[ジャズ] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X