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カテゴリ:ジャズ
今月号のジャズ批評を見ていたら、寺島レコードからヘンリック・グンデ(Henrik Gunde Pedersen)(1969-)というピアニストのアルバムが2枚リリースされていることを知った。 ジャズ批評では大きく取り上げられていたが、Jaz.Inでは新譜紹介で触れられているだけだった。 ふたつの雑誌の編集方針の違いが伺える、とても興味深い扱いだと思う。 CDはリリースされていなくて、寺島さんが、どうしてもということでリリースされたようだ。 念のため配信されていないかチェックしたところ、spotifydeで聞くことが出来た。 なかなかいい演奏だったのでダウンロードできないかチェックしたところ7 degitalとQobuzでリリースされていることが分かった。 それで、Qobuz usからハイレゾをダウンロードした。 ジャズ批評の豊嶋淳志氏の記事によると、「Moods」(2022)は各種配信で数か月のうちに500万回を超える再生回数に達したという。 この結果続編の「Moods,vol.2」がリリースされたとのこと。 ベースはイェスパー・ボーディルセン(1970-)、ドラムスがモーテン・ルンド(1972-)という布陣。 どちらもデンマーク生まれで、3人とも50代半ばの脂の乘りきったミュージシャンだ。 彼らは90年代から本格的に活動し、今回のアルバムの前には「Corner Love」(2008)と来日した際に残した「Dark Eyas」(2009)がある。 グンデの演奏は聞いたことがなかったが、リリカルで粒立ちのよい透明なピアノが実に心地よい。 曲の解釈にはが感じられる。 スタンダードを中心にした選曲で、最後にオリジナルを演奏している。 特に新奇な解釈は見られないが、キース・ジャレットの影響がかなり感じられる。 また、かなり斬新なアレンジが施されている曲があり、スタンダードの演奏としては尖ったものだろう。 最初の「Blame It on My Youth」はオーソドックスな解釈で遅めのテンポでじっくりと歌いあげている。 目についたのはグリーグの「ソルヴェイグの歌」。 原曲はペールの帰りを待つソルベーグの気持ちを歌ったものだが、原曲の静かな佇まいとは異なるアグレッシブなアレンジ。 ピアノのメロディーは感情の高まりを抑えた静かなものだが、今回の演奏はベースとドラムスが激しいプレイで、(良い意味で)原曲のイメージから大きく離れている。 こういう解釈もありか、という目から鱗の演奏だと思う。 「My Funny Valentine」はやや速いミディアム・テンポのリズミカルな解釈でピアノのアドリブも躍動的だ。 ぐいぐいと突っ込んでくるベースとドラムスのプッシュも強力だ。 「Kärlekens ögon」はスウェーデンのバリトンサックス奏者で作曲家のラーシュ・グリン(1928 – 1976)の作品。 穏やかな叙情に満ちた曲で、癒される。 イントロに短いドラムソロが入るルグランの「シャルブールの雨傘」は速いテンポで進む、スタイリッシュな演奏。 歯切れのいいドラムスが印象的だ。 「バイバイ・ブラック・バード」もテンポが速く、スピーディーな進行で、ノリのいい演奏。 「Softly as in a Morning Sunrise」は前乗りの素っ気ない感じの風変わりなテイストが感じられるアレンジ。 通常の陽気な感じではなく、乾いた感じになっているところが面白い。 最後はグンデのオリジナル「Fanølyng」。 Fanølyngはデンマークのファン島に生えているヒース(低木の一種)を指す様だ。 ファン島の自然の景観を表しているのだろうか。 カントリー・テイストの穏やかな曲調で、まったりできる。 全曲を通じて、重心が低く美しいサウンドのベースと、多彩なドラムのプレイが、トリオの厚みとスケール感のある演奏を生み出している。 「Mood,vol.2」も同じような傾向の演奏で甲乙つけがたい。 録音は骨太のサウンドで、どちらも優れているが、Mood2のほうが鮮度が高く、高音の抜けもいい。 特にシンバルの澄み切ったサウンドが実に心地よい。 ヴォリュームを上げてもうるさくならない。 ということで、今まではCDのベストセラーにばかり関心を持っていたが、配信のみの音源にも目を向ける必要があることを痛感させられた。 Henlik Gunde:Moods(Mingus Records )24bit 96kHz Flac 1.Oscar Levant:Blame It on My Youth 2.Richard Rodgers:My Funny Valentine 3.Edvard Grieg:Solveigs Sang 4.Lars Gullin:Kärlekens ögon 5.Michel Legrand:I Will Wait for You 6.Ray Henderson:Bye Bye Blackbird 7.Henry Mancini:Moon River 8.Sigmund Romberg:Softly as in a Morning Sunrise 9.Henrik Gunde:Fanølyng Henrik Gunde(p) Jesper Bodilsen(b) Morten Lund(ds) Recorded 2020 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年11月02日 18時04分21秒
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