カテゴリ:古典文学
『延慶本 平家物語』原文版 巻九 三十の16
三位中将ト云人生取ニセ ラレテ上ルト聞給ケレバ、「少キ者共ノ恋シサニ忍ガタシ。イカヾシテ此 P3183(九二オ) 世ニテ相見ズラム」ト返々云タリシカバ、「同都ノ内ニ入タラバナド思テ、態ト 被取テ上ルヤラム」トサヘ、一方ナラズ思乱テ、臥沈ミ給ヘバ、若君、姫君モ 同枕ニ泣臥給ヘリ。「首共ノ中ニモオワセズ。三位中将ト申ハ本三位 中将ノ御事ナリ」ト人ナグサメケレドモ、猶誠トモ思給ワデ、ヲキ モアガリ給ワズ。若君ハ、「父ノ御事ニテハアラヌト申ゾ。御湯ヅケナレ。 我モ食ム」トヲトナシク宣ヘバ、ソレニ付テモ哀ニテ、「今度ハヅレタリトモ、 終ニイカヾ聞ナサムズラムト思ヘバ、ナグサム心地モセヌゾ」ト宣ヘバ、若君心ノ 中ニモ、ゲニモトヤオボサレケム、又ハラ<ト泣給ヘバ、御前ナル女房共、 涙ヲゾ流シケル。 以上で、巻九 三十は完了です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年12月23日 20時38分41秒
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