コーヒーは飲めません

　


石川恐怖症（仮称）になったのは、
ノーマルコースにいる時です。

ノーマルコースは
やっぱり平均年齢１０歳くらいだから、
そのくらいの年齢の男の子が３人以上集まったら、
きゃーきゃー騒いだりするわけでしょ？


それのふざけてる度が過ぎると、
石川コーチ（仮名ですから）が怒るわけです。

女のコーチとかだと、
「ほらぁー、もう走るなー。あっぶないぞぉー。」
程度だけど、石川コーチ（仮名なの）は、
「何やってんだぁ！！ヾ(▼ヘ▼;)」
とくるわけです。


でね、また屋内のプールって
よく声が響くじゃないですか。
プール中に怒鳴り声が響くわけです。


あたし自身は怒鳴られたことってありません。
だけど、毎回聞く、あの怒鳴り声のせいで
「石川コーチ（仮名ってば）はこわい」
と頭に刷り込まれてしまってるわけです。


小学生の頃なんて、想像力たくましく、
１つの情報でも、妄想突っ走りますから、
もう、あたしの頭の中では、
石川コーチ（仮名・・・）は、
ほぼヤクザのように仕上がってるわけです。

ええ、妄想の暴走は今でもですが・・・


それはともかく、
何があっても石川コーチにだけは、
担当されたくない、と思っていても、
そこはほら、そうもいくはずがなく、
ノーマルコース１０級くらいの時に、
石川コーチに当たってしまったわけです。


お金払って習いに来てるのに、
なんで、こんな嫌な思いをせねばいけないのか。
とまでは、小学生の頭では思い着きませんが、
ただでさえ、嫌いなスイミングが、
石川コーチとなったら生き地獄なのです。

毎週毎週びびりながらスイミングにいってました。


でもね、担当だったときに、
怒られたことなんてないんですよ。

というかむしろ優しかった。
でも、子供の思い込みってすごいですから。
それでもあたしの頭の中の
「石川像」は崩れないのです。


いやなのです。
こわいのです。


ノーマルコースじゃその後、
担当されることはなかったけど、
選手コースでまたお目見えなわけです。


もうね、困った困った。


４級のコーチには
「兎、なんで上行かないの？」
って言われて、
「石川コーチが嫌だから！」
なんて言えるはずもなく。

「んー・・・・３級かあ・・」
なんて誤魔化したら、
コーチは自信がなくて悩んでるんだと思って
「なあ、兎。確かに試験は緊張するよ。
　でもさ、上を目指すっていうのはさ・・」
なんて小５のあたし相手に語りだすし。


大体ね、３級ってバック（背泳）だったんですよ。
バックってね、苦手なんです。
泳いでるとき、上しか見えないじゃないですか。

周りの状況とか分からないでしょ？
何かあって周りの人が、
みんな泳ぐのやめてたとしても
あたしは気づかずに、
泳ぎ続けてるかもしれない。

そういうのが嫌。


あと、バックって泳いでると曲がるんです。
いつの間にかレーンに手がぶつかってる。


まっすぐスタートしたはずなのに、
がしっ・・・
左手がレーンにぶつかる。

あれ・・・
曲がったと思って軌道修正するわけです。


ところが、今度はすぐに
がしっ・・・
右手がレーンにぶつかる。
軌道修正しすぎ。

で、直すと、またすぐに左手が・・


頼んでないのに、ジグザグ走行。
いや、ジグザグ泳法か。

もうね、ゴールまでに
すんごい時間かかっちゃうわけです。

そんな嫌いなバックを
石川コーチの元でタイムアタックとか
絶対考えられない。


あたしはずっと平泳ぎの選手でした。
平が好きだったんです。
でも、平は２級。

飛び級制度はない。
っつーことは、
石川コーチを超えなきゃ、
平にはいけないのです。


石川＋バック＝無理
無理・・・

なのに、当の石川コーチ自体が、
もうあたしが３級行ける、ってこと知ってるから、
「兎、もう大丈夫なんだろ？
　早く来いよ、待ってるから。」
と言い出す始末。

「あなたが嫌で３級行けないんです！」
は、絶対言えないから
「んー・・・・まあ・・・えへ。」
とか言って切り抜けてました。


結局、あたしはずーっと４級に居座って、
４級のボスと化し、
４級ボスのまま、スイミングはやめました。



ちなみに、あたしの通っていた
スイミングスクールですが、
けっこう前に潰れたようです。

どうも、何かの菌がプールから検出されたらしく、
そのまま経営不振になって、
潰れたそうな。

あたしの時は大丈夫だったんだろうか・・・


そして、石川コーチの
身の振り方を心配してしまう
兎であります。