やっぱりいらないもの vol.3
「あたしは、じーじの記憶がなくなったとしても、 あたしのことをもう一回好きにしてみせる。」「俺にはそんな自信はないよ。」「あたしだって自信はない。 でも、そうなって欲しいから、最大限の努力はするよ。 そういう気持ちがないんだね、じーじは。」「だってさ、兎は当時、つきあってる男いただろ?」あ・・・・・・・・・・・・・・・・・忘れてた・・・・・・・・「で、でも、他にいたって、じーじが来たら、 あたしじーじのこと選ぶよ! キット。」「婚約してたんだろ? その時の相手と。」「してたけど、じーじには関係ないことでしょ。」「相手の男は俺の知り合いではないけどな。」「あたしは、友達のパートナーじゃない限り、 好きになった相手に彼女がいても、 がんがん突き進むね!」「当時婚約してた、って状態とさ、 今の俺達の状態って何が違うの?」「・・・・・一緒だね。 今も婚約中だね。」「だろ? 俺は、されたら嫌なことはしたくないんだ。」あ・・・そういうことか・・・そう。今、もしも横から他の男性が出てきて、あたしにちょっかい出されたら・・・それがじーじには、どうしようもなく嫌なのです。「だし、兎がそういう人だと思ってないから。」なるほどね。つまり、婚約してる身でありながら、他の男に簡単についていっちゃうような、そんな女だとは、俺は思ってないよ、と。「それが信じられなかったら、やっていけないだろ?」当時、婚約者がいたなら、俺がちょっかい出しても無駄でしょ?と。当時はその人のことが好きだったでしょ?と。同じように、今誰かきたとしても、他の人のとこには行かないだろう、って俺は信じてるよ。そう言いたいのです。じーじは。んー。愛されてるわあ。納得してしまった。「じゃあ、あたしのことはあきらめて、 さっさと青森帰るんだね。」「うーん・・・」「あたしは他の人と結婚して幸せにやってくよ。」「・・・」「それがじーじの望みなんだもんね。」「・・・ もしかしたら、ちょっと茨城に残るかも。」「青森帰るんじゃないの?」「帰るけどー、ちょっとだけ様子見てくかも。」「そうなの?」「横取りしちゃおう、とかは思わないけど、 でも、とおーーーーーーくの方から、 じーーーーーーーーーーって見てるかも。」「見てるだけじゃ、あたし気がつかないと思うよ。」「とおーーーーーーーーくの方で、 うろうろうろうろ、兎のこと見てるかも。」「ほら、あたしのことだから、それでもきっと分からないよ。」「とおーーーーーーーーくの方から、 ちっちゃーーーーーーい声で、 『兎ー、兎ー。』 ってこっそり呼んでるかも。」じーじの精一杯。かわいいので許す。ちなみに後日、またこの話になって、「でも、あたしじーじのことなんかぜんっぜん知らなくて、 あたしの周りうろうろしてるじーじ見て、 『なんかあの人ちょっときもーい。』 とか言ってんのかもねー。 ≧(´▽`)≦アハハハ」なんて言ったら、じーじに本気で泣かれました。冗談でもだめだったか。やっぱり、タイムマシンはいらないね。