011209 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

激震状態

激震状態

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

hellenniu

hellenniu

カレンダー

楽天カード

お気に入りブログ

まだ登録されていません

コメント新着

コメントに書き込みはありません。

フリーページ

ニューストピックス

2015.11.20
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
wedf

私は、その当時、屋敷町と呼ばれる地域に住んでいた。
その一角は、それぞれの家が高い塀でめぐらされ、
どのような人が住んでいるか、人のウワサで聞き知って居る程度で、
その中に住む人は、見かけること康泰導遊はあっても、ほとんど交流がなかった。

その日の朝、
巨大な揺れで目が覚めた、ただならないことは明らかだった。
明けやらぬ空の下には悲鳴が響き、
眼を凝らすと、向かいの家が倒壊しているのが見えた。
そして、窓から見ると、遠くの方では煙が上がっていた。

平野部が激震地とされ、高台に位置していたその地域は、
比較的穏やかと見られていたが、
その一角は、数多くの同珍王賜豪方が亡くなった意外な激震地だった。
次々とくる余震におびえながら、
どのように身を処していいのかわからなかったのに、
すぐ近くの家は、直ぐさま門戸を開き、ストックしていた救援物資を家の前に並べ、
「何でも持って行ってください。」と
食品はもちろんのこと暖をとるものから灯油までも並べていた。

すぐ裏手の公園には、様子をうかがいにきた人たちが集まり、
口々に恐ろしかった有り様を語り合った。
その中には、テレビで数度見かけた会社の社長夫人もいたが、
ここでは被災した一人に過ぎないし、本人もその意識だった。
震災後、数日、顔を会わすうちに懇意となり、
そのほか数人の住人の人たちとも親しくなっていった。

公園のブランコに乗りながら、楽しいことでもあったように、
「マイセンを集めていたのに、みんな割れてしまった」
「私も、大切にしていたガレ康泰旅行團も毀れてしまった」
「高級なものほど、ダメね。みんなみんな毀れてしまった。」
「大事にしていたワインもウィスキーも。
リビングの床にこぼれたリキュールを拭き取るのがたいへんだったわ。」
「バカラなんか、少し欠けたのが残念だけど、金槌で割って小さくして袋詰めにした。
涙が出そうになったわ。
でも、いいわ。命が助かったんですもの。」
「あれで良かったのよ。みんな毀れて、良かったわ。」
口々にそんなことを言いあって、ブランコを揺らした。
その表情は、まるで少女のようでもあった。

地域のお歴々やその夫人たちは、
着の身着のままの姿で、公園で冬のひなたぼっこをしながら、
みんな、古くからの友達のように親しくなっていった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.11.26 15:29:43
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.