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カテゴリ:ヘンリーの人生論あるいは日常生活
9th Aug
忘れていたんだけど、僕は熱くなる。 英国に来て以来、相手の方が正解だったり、反論しても相手が大人でさっと説得されちゃう事が多かった為に忘れていた。 でも、一概に「正しい」とか「間違っている」とかで括れない事で、「流石にこれは僕が正しいだろう」なんて思ったら、如何に相手の論理よりも優れているかを必至になって説得しなきゃならない。これがしんどい。 で、ついついヒートアップしちゃう。 そういう訳で、今日の日記では「議論の扱い方」について私論を述べてみようかなと思います。 月曜日の今日、金曜日のプレゼンの内容について、グループ男4人(中国2人、台湾1人と僕)で話し合いをしました。 で、相手が「こうだ!!」って言ったきり聞かなくて、僕が「そんなはずがない!こうだ!!」と反論した訳です。 具体的に言うと、「携帯電話の不必要性」を語る為のプレゼンの資料にするアンケートで 「面白い事があって、携帯電話で友達に電話しようとして、繋がらなかったら何度も電話しますか?」 「このアンケート結果によって、携帯電話が如何に我々から忍耐力を奪うかを証明する」なんて言うんですから、反論したくもなるってもんですよ。 「例えYesと答えたって、これは性格の問題で携帯電話の影響じゃない」って言ったんですが聞きません。 もうテンパっててんやわんやです。 もう、「ムキー!!」となって食って掛かったりしました。 これが昼ごはん中の話し合いの時。 そして午後の授業をはさむのですが、その授業の合間に日記帳に自分の気持ちを書いてみて、ようやく冷静になりました。 (文字にすると冷静に自己分析できますねぇ) まず見えてきたのは「『正論』を主張する事への抵抗感」 自分が正しい事を相手に伝えて、正当化しないといけないのはヒジョーにしんどい。 と言うのは、「自分が正しい」と「相手が間違っている」という事を同時に伝えないといけないからです。 よほどでない限り「相手が間違っている」と断言できないし、 確実に自分が正解であるという確信をもって、それを証明しなければならないので、精神的に疲れます。 何より、それが自分の間違いに盲目になり、正当性の確保だけに注意してしまい、頑固になって、妥協やトランセンド(超越)ができなくなる可能性があり、僕はそれが大っ嫌いです。 「相手を全否定」が前提になるのも嫌いです。 「正しい」は形容詞で、誰かにとっては「正しい」でも、それが常に、何処でも成立するはずがありません。 「『正論を述べる』なんて、自惚れが過ぎるんじゃないのか」ってのが僕の持論です。 でも、そうばかりは言ってられません。話し合いはあるのですから。 という訳で、もう1つ見えてきたもの、それは「『熱い魂と冷静な頭』の必要性」です。 今回の僕に特に足りなかったのは冷静な頭でした。 相手の意見と自分の意見の違いを冷静に分析し、争点を明確にして、「主張の押し付け合い」から「議論」に発展させるという作業を怠っていました。 まず、僕は相手の言い分をしっかりと聞き、 自分との相違点は何かをちゃんと把握し、Talking Pointを設定し、 その上で議論をし、自分の方が正しいと思える根拠を説明し、説得すべきだったと思うのですが、 自分との相違点が何処にあるのか、などの分析・説明が不足していて、 「君が間違ってて、僕があっている」とういった主張を、ただ声を大きくしてまくしたてるだけだったのです。 これでは幾ら自分の主張が正しくとも相手には届きません。声のデカさ対決じゃないんですから。 まぁ、それで説得できなくも無いでしょうが、説得された側にはわだかまりは残るでしょう。 そういう訳で、「熱い魂と冷静な頭」が重要なわけです。 自分の言いたい事を明確に持ち、そのしっかりとした根拠を持ってそれを信じる「熱い魂」 自分の信念と相手との争点を分析できる「冷静な頭」が議論の上では大切なのです。 それの前提となるのは「自分の意見」と「聞く耳」です。 「自分の意見」が無いまま発言をしても、どうもその場しのぎなコトをいってしまい、中身が無い。 そんなんでは「熱い魂」なんて持てません。 「聞く耳」が重要なのは、相手がいるのにも関わらず、「オレが思うに」「オレが信じるに」と言うだけでは、 議論が平行線を辿るのみだからです。 まず、相手の話を聞き、冷静な頭でそれを分析する事で、初めて自分と相手の意見の争点が見えてくるはずです。 そして「聞く耳」にはもう1つ、意味があります。 相手の言い分に妥協したり、柔軟にその意見を取り入れてトランセンドする等、「自分の意見に固執しない」という事です。 「自分の意見」をしっかり持つ一方で、それに固執しない。 かなり面倒な表現ですが、これが今までダラダラと話してきた事の結論です。 明日の日記も似たような事を書いてみますので、これに関してはこの辺で。 <本紹介> ヨハン・ガルトゥング、藤田明史、編著『ガルトゥング平和学入門』法律文化社、2003年。 文中で出てきましたが、「トランセンド(超越)」ってのが、僕が大好きな言葉であり、物事に対する姿勢なのです。 そういった考えは、ガルトゥングという平和学者の書物とワークショップの経験によって身に着きました。 よかったら、この本を読んでみて下さい。トランセンド法ってのが具体例と共に書かれています。 僕としては、本を読むよりも、この人のワークショップに参加するのをオススメしますけどね。 奥さんが日本人なので、ガルトゥングさんは世界的に有名ですが、日本で会えます。 『TRANSCEND-Japan』 http://www.transcendjapan.org/ <今日のおまけ> 中国人の女性は、結婚後も苗字を変えません。 <今日のまとめ> 1. 「正論」の前提は「相手が間違っている」ということ 2. 熱い魂 :自分の言いたい事を持つ、そしてそれを信じる 冷静な頭:自分と相手の意見の争点を発見・分析する 3. 「自分の意見」:信念を持った、その場しのぎではない意見 「聞く耳」 :相手の言い分を聞く事/自分の意見を固執しない柔軟性 4. オススメ本 『ガルトゥング平和学入門』 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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