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ヘンリーの国際関係学

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April 2, 2006
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2006年3月、僕はACCEというNGOが催したスタディツアーに参加した。


<ACCEについて>
ACCEは、フィリピンの都市スラムや貧しい農・漁村で、住民が抱える様々な問題は住民自身が解決できる力をつけるよう支援活動を行っているNGOである。

フィリピンの現地事務所ではローカルスタッフを雇い、日本人のボランティアスタッフとともに奨学金や養豚プログラムなどの活動を行っている。

また、日本でも学生が主体的に行動して、フェアトレードや学校での講演会などの活動も行ない、社会人になっても続ける者も少なくない。

活動の詳細や、どのように参加することができるかなどの質問については、僕宛でも良いが、ACCEホームページ、あるいは事務所に訪ねたほうが正確な解答が得られると思われる。
ACCEは今年の夏も、2回のスタディツアーを企画している。
漠然と「国際協力に興味がある」と考えている人には、ぜひ参加して欲しいと思う。

僕はこのツアーを通じて、支援といった時に思い浮かべていた「どこか遠い国の可哀想な人たち」程度だった認識が、「実際に自分が出会った笑顔の素敵な人たち」「楽しく喋り、優しく迎え入れてくれた人たち」へと変わった。
私は未だ何もできていない。が、それだけでも大きな変化だったと思う。
「これから」を考えた上でも。

僕の似顔絵。一緒に踊って、いっぱい髭で遊んで、似顔絵やらメッセージやらをたくさんもらって、いっぱい抱きついてきて、そして抱きしめて。こういった経験が、「誰かさん」から「あの子達」に変わるきっかけだったと思います。



<情報源について>
ツアーではインタビューと民泊(支援を受けている住民の家で宿泊をする)を行なった。
形式的なインタビューとしては、直接的に5回。それに加え、他の参加者が聞いた住民の声も間接的に聞いている。
また、民泊は3回、都市型スラム・ピナツボ火山・漁村で滞在した。
ツアー中には、日本人・フィリピン人スタッフからも数多くの情報を聞かせていただいた。

一人旅では、ホテルの従業員と、偶然訪れた小学校で先生から話を聞き、支援とは無関係の人々の声も聞くことができた。

これだけの情報源では勿論、不足な点が多いだろう。
だが、一部分だけでもフィリピンの状況を感じていただけたら幸いである。


なお、フィリピンを訪れる前に『現代フィリピンを知る60章』(大野拓司・寺田勇文編、明石書店、2002年)を読んだ。
この記事を書くにあたっても参考にしている点も少なからずあることを断っておく。



<訪問地区>
ツアーで4ヶ所、一人旅で1ヶ所を訪れた。

(1)ゴミ山(トンド地区)
ゴミ山周辺に都市の中でも最も貧しい人々が住む地区。
彼らの多くはゴミの中から再生可能なものを見つけ出し、換金することで生計を立てている。
サリサリストア(雑貨店)や食べ物屋もある。
ゴミ山は「スモーキーマウンテン」として有名である。その理由はゴミからメタンが発生し、それが燃えて煙を出しているからだ。
「誰が好んで、このような場所に住みたいと思うか」という言葉が印象的だった。彼らがここの住まざるを得ない現実がある。
スカベンジング




(2)都市型スラム(アペロクルス)
首都マニラに400以上あるといわれる都市貧困地区。
密集して住居が建てられているため、火事の際に延焼しやすい(訪れた地区も2005年末に火事が発生して大きな被害が出た)。
狭い部屋に大家族が住み、見ただけではどのように全員が眠れるのか検討もつかないほどである。
「夢?就きたい仕事がある。でも、もう学校に行けないから」という言葉が印象的だった。この地区に限らずフィリピンでは、子供になって欲しい職業を尋ねても、「とにかく学校に行って欲しい」という答えが必ず返ってきた。
アペロ





(3)ピナツボ火山(パンパンガ)
1991年にピナツボ火山が噴火し、その被災にあった元フィリピン有数の穀倉地帯。
27万人が被災し、住居や農地が火山灰に埋まった。
政府は被災者に再定住地を用意したが、そこでは仕事が不足しているためにマニラのスラムなど他の場所に行く者も少なくない。
僅かだが帰ってきた者もいるが、火山灰の上では、農業も以前のようには出来ていない。だが、「故郷だから」と戻ってきたのである。しかし子供はほとんど居ない。学校がないためである。
家が埋まる




(4)漁村(ペレーズ)
マニラ南東150kmにあるフィリピンの典型的な貧しい農漁村。リゾートと見間違うような美しい自然に隠された貧困がここにはある。
海には、ダイナマイト漁で死んでしまったサンゴ礁がある。海外の船による近代漁法で、現地漁師の漁獲高が激減し、違法なダイナマイト漁に走らざるを得なかったのだ。だが、魚の巣でもあるサンゴ礁が死滅したことで漁獲高は更に減るという悪循環にある。
土地は、少数の地主が所有しているものである。住民が生産した米のうち8割が、実際には住んでいない地主の元に行く。ココナッツを取る仕事もあるが、ここでも僅かな収入しか与えられない。
「貯金がないことを不安に感じる」と言っていた。家族が病気になったとき、どうしようもないからだ。安定的な収入を得る術がない。そのことが農漁村から都市スラム(あるいは海外就労)へと向かう動機となるのである。だが、彼らが向かう先によりよい生活があることは滅多にないのである。
ペレーズ港



(5)棚田(バナウェ・ボントック・マイニット)
一人旅で訪れた、世界遺産である棚田がある地域。ルソン島中央部の山奥にある。
「貧困地区」ではないが、そこに住む人から聞いた声には、フィリピンにある問題をうかがい知ることができた。
棚田



それでは、僕がツアー、そしてツアー後に行なった3日ほどの一人旅で見知ったこと、感じたことを書いていこうと思う。
客観的事実は、できる限りその場で見聞きしたことをそのまま書いていくが、間違いなどがあれば遠慮なく指摘して欲しい。



<Contents>
その1「笑顔の理由 ~見えない貧困~」
その2「それでもフィリピン人は日本が好き ~許された国~」(前篇)

その3 選択肢がない ~贅沢とは何か~


To be continued…





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Last updated  April 16, 2006 10:12:21 AM
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