カテゴリ:自転車ペダリング
そういえば、買っておいた「ロードバイクの科学」という本をつまみ読みしていた。
この本ですよー。 意外と安くて1400円ですね。 今日はパワーについて再考してみようかと。 で、パワーって? というところから。 パワー=力×速度 ってこと。ここで力はトルクと言った方がイメージが沸くんだな。 ペダルを思い切り踏めばパワーが出てそうだが、それはわからない、トルクは確かに出ているだろう。 パワーは仕事という概念のことなので、速度(単位時間当たりの移動距離)にもよるのである。 トルクって、モーメントのこと、回す力のこと。 機械系はトルクを使い、建築系はモーメントを使うってどこかに書いてたゎ。 確かに建築ではモーメントだったなぁ。(遠くを見る目) 回るもの(クランクとかボルトとか)に対してはトルク、回らないもの(柱とか梁とか)にはモーメントっていう勝手な想像。。 話を自転車のペダルに戻してと。 トルクも速度も両方とも大きくすればパワーも大きくなるのだが、ペダルを踏むのは人間なのでそんなに上手くは世の中できてないのだ。 人間様の脚は以下のような特性を持っているらしい。 すいません、「ロードバイクの科学」P43より引用しました。 ケイデンス(回転数)を上げれば、トルクは低下する。 トルクを大きくすれば、ケイデンスは下がる。 という関係(制約)が見てとれる。 ケイデンスがゼロの場合は、パワー=トルク×0 となりパワーはゼロとなる。 つまり、錆び付いて回らないクランクをいくら踏んでも仕事(パワー)はしていないということ。 トルクがゼロの場合は、パワー=0×速度 となりパワーはやはりゼロとなる。 つまり、最大ケイデンスで回しているときはペダルに力は掛かっていないということ。 グラフでは最大ケイデンスに近づくと急激にトルクが落ちているんですが、実際の人間の脚の特性を表しているのはグラフの直線部分ということで、この直線を延長してケイデンスの軸と交わったとこを仮想的な最大ケイデンスと見なすことにして。 この特性を持つ脚では、ケイデンスがいくつのときにパワーは最大になるのだろうか? この本では、以下のグラフを示して、仮想的な最大ケイデンスの半分のとこが最大パワーになると言っている。 すいません、「ロードバイクの科学」P44より引用しました。 で本当に半分のとこで最大になるか、ちと検算してみます。 (頭のケイデンスが速い人はこんなことしなくてもわかるんでしょうが) グラフの曲線は2次曲線でパワーを表しています。 トルクをx, 速度をy, パワーをf(x,y)とすると、パワーの定義より f(x, y) = xy と書ける。但し、x、yはケイデンス-トルク直線上の値しか取れない。 ケイデンス-トルク直線(制約)は以下のように書ける。 y = -ax + b, 但し、a > 0, b > 0 f(x, y) = xy = x (-ax + b) = -ax^2 + bx = -a{ x^2 - x b/a } = -a{ x^2 - 2xb/a + b^2/(4a^2) - b^2/(4a^2)} = -a{(x - b/2a)^2 - b^2/(4a^2)} この2次曲線が最大値を取るのは、x = b/(2a) となります。 ここで、ケイデンス-トルク直線とx軸の交点(仮想的な最大ケイデンス)は、 y = -ax + b , y = 0 より x = b/a と求められます。 2次曲線が最大値を取るのは x = b/(2a) = (1/2)(b/a) なので、 確かに、仮想的な最大ケイデンス b/a の半分となりますな。 高校生であれば、式の平方展開なんかせずに微分して、 df/dx = -2ax + b で df/dx = 0 とすれば、 x = b/(2a) と速攻で求まります。 注)単位とか係数とかは省略してますのであしからず。 かたい話はこの辺にして、最大パワー(最大仕事)は、やみくもにケイデンスを上げればいいわけでもなく、力強く踏み込めばいいわけでもないということになりますね。 頭とからだの両方でこれを理解していれば、高速巡航時などのケイデンスの参考になるのでは、と思ったりしました。最大パワーだと持続性に問題がありそうなので、実際は最大パワーのケイデンスより少し下のケイデンスで巡航することになるんでしょうか。 自分の脚のパワーバンドをこの2次曲線で記憶しておくのは有効なのではと思ったりしたんです。 (そんな測定器、普通の人はもってませんが。。) 今はパワーメーターが売られていますが、やっぱ高いもんねぇ。 でも、この2次曲線はその人その人によって異なると理解していれば、90rpmじゃなきゃダメとかいう話も自分に当てはめて考えられるようになりそうだ。 この本は他にも興味のある話題が書かれていますので、また書きたくなったら書きます。 ところで、このパワー、実際の仕事についても同じようなことが言えそうな気がするのは私だけだろうか。 力を入れすぎても、抜きすぎても、たいして仕事してないという、いい感じ(パワーバンド)のときが最大の仕事ができているという。 この歳になって振り返ると、いやー、思い当たるわぁー、、この本は20代に読みたかったなぁぁぁ。 ん、酒でも同じようなことが言えるな。 飲みすぎても、飲まなくても面白くなく、ちょうどいい感じ(適量)が一番楽しいと。 お、ここまで来ると、孔子の教えに近くなってるんではないか。 極端はよくなく、中道を行けと。 (あれ?孔子だっけ、釈迦か?) パワーについて考えていたら、なんか人生が見えてきたじゃないかぁぁ。 今頃見えてきてももう遅いよって言われそうだが。。 --
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最終更新日
2023.07.19 10:56:24
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