楽天・日記 by はやし浩司

2007/06/19(火)07:09

●女性的マゾヒズム

心の問題(261)

●女性的マゾヒズム ++++++++++ 自分の肉体や心を わざと痛めつけて、 それを楽しむ人は 少なくない。 そういうのを、マゾヒズム という。 ++++++++++  ときとして、夫や家族に対して、異常といえるほどまでに、献身的な女性がいる。このタイプの女性は、まさに身を粉々にして夫や子どもに仕える。仕えるだけではない。夫の暴力や、不倫、さらに貧困であることにも、一言も不平をもらすことなく、朝から晩まで、懸命に働く。  Hさん(60歳女性)が、そうである。2人の子どもはそれぞれ独立し、結婚している。孫も3人、いる。そのHさんは、いつもこう言う。「私は、夫や子どもが、幸福になればそれでいいのです」と。昔は、こういう女性を、理想の女性とした。女性のカガミとした。しかしその心理は、そんな単純なものではない。  マゾヒズムという言葉がある。「肉体的、精神的苦痛を与えられることに、性的満足を見いだす異常性欲の一種」(日本語大辞典)のことをいう。もともとは、オーストリアの作家のザッヘル・マゾッホの名に由来する。わかりやすく言えば、自分の肉体や、精神をわざと苦しめながら、そこに性的な快感を覚えることをいう。ふつうは、性的な意味で、肉体的な苦痛を楽しむことをいう。しかし肉体ばかりではない。  こんな例がある。  A子(25歳)は、B男(30歳)と、恋愛関係にあった。しかしたび重なる婚約の申し込み対して、A子は、それをかたくなに拒みつづけていた。 B男が理由を聞くと、「私には、学歴もないし、貧しい家の娘。あなたの結婚相手としてふさわしくない」と。そしてA子は、ある日突然、B男に一通の手紙を残し、そのままひとり、イギリスへ旅立ってしまった。その手紙には、こうあった。 「私は、あなたのことを忘れるため、イギリスに行きます。向こうで英語の勉強をして、ソーシャルワーカーになります。あなたは、あなたにふさわしい女性を見つけて、どうか幸せになってください」と。  B男は、こう言う。「別れる理由などないし、なぜA子が、好んで、自らより困難な道を選ぶのか、わからない。A子は、いつも自分で自分を、悲劇の主人公にしてしまうようなところがある」と。  これがここでいう「女性的マゾヒズム」である。もう少しわかりやすい例では、映画『タイタニック』を、10回も見たという若い女性がいた。あの映画は、アカデミー賞を総ナメにしたすばらしい映画だが、しかし10回とは!   実は、その若い女性は、その映画がすばらしかったから、10回も見たのではない。自分の精神を痛め、涙を流すという快感を味わうために、その映画を、繰りかえし見たのである。「何度も見ても、涙が出る」、「涙を流す場面が決まっていて、そこで思いっきり泣くと、そのあと気分がスッキリする」と。  こうした女性的マゾヒズムは、多かれ少なかれ、ほとんどの女性にあるとみてよい。そしてそれが高じて、異常なまでに、夫や子どもに献身的になることがある。冒頭にあげたHさんは、ほかにたとえば、自分の衣類はほとんど買ったことがない。いつも粗末なものばかりを食べている。しかし異常心理は、異常心理。「今どき……」という言い方は適切ではないかもしれないが、今どき、こういう生き方は、サマにならない。  問題は、なぜ女性には、女性的マゾヒズムがあるかということ。(もちろん男性にも、似たような症状を示す人はいる。)フロイトは、「無意識的罪悪感に起因する、自己処罰心理」が、原因であると説明する。つまり自分では気づいていないが、心のどこかに大きな心的外傷があって、自ら「私は幸福であってはいけない」と、決めつけてしまうことによるというのだ。  実はHさんは、自分の不注意で、実の妹を、交通事故でなくしている。(本当は、不注意でも何でもなく、Hさんが、そう思い込んでいるだけだが……。)Hさんが、5歳のとき、妹が、4歳のときのことだった。で、Hさんは、ずっとそのことを心のどこかで負い目に思っていたのかもしれない。 それ以後、ことあるごとに、自らより困難な道、より不幸な道ばかりを選ぶようになった。美しい人だったが、結婚した相手は、酒グセがわるく、定職をもたない男だった。その男は、女性関係も、だらしなかった。  さて、あなたはどうだろうか。あなたは「私は、幸福になるべき人間だ」「みなは、私を幸福になって当然と考えている」と思っているだろうか。もしそうなら、それでよし。しかし心のどこかで、幸福になることを、自ら避けているようなら、一度、ここに書いたことを参考に、自分の心の中をのぞいてみるとよい。それが何であるにせよ、自分で自分を痛めつけても意味はない。当然のことだが、ここでいう女性的マゾヒズムなるものは、ないならないで、そのほうがよいに決まっている。 (はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 女性的マゾヒズム マゾ)

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