今日は、「魔法使いかも?」と思える人に出会った。
とあるビルの受付の女性だ。
その人は、たった3秒で、私の心にきれいな花を咲かせてしまった。
彼女が私に放ってくれた言葉は、これだけ。
「お疲れさまです」
その3秒のうち、目が合っていたのは、わずか1秒にも
満たないはず。
それなのに、その声の響きと素敵な笑顔が、私の心から離れない。
今日の私は、オーラが「かたくな」だったはずなのである(笑)
今日は金曜日だ。平日の睡眠不足がピークに蓄積している。
おまけに現在、実は私は内心、会社に不満を抱えており
仕事中である私の足取りも、表情も、軽いものではなかったはず。
そう、これは、普通の人間にはできない仕業なのである。
これは、魔法だ。
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そのビルからの帰り道、私の心の中には、一房のきれいな
黄色い花が咲いていた。
彼女が私にくれたものだ。
歩きながら考えた。
ビルの受付という仕事が、どれほど楽しい仕事かはわからない。
もちろんそれは、個人の心が決めることだ。
しかし、現在私が自分の仕事に抱える不満
(毎日同じ、誰にでもできる、等…)
と同じ要素が、そこにはなくもないように見える。
しかも、彼女は一日、一人でそこに座っているのだ。
その彼女が、あんなに素敵なオーラを私にくれた。
不思議だ。
たった3秒でも、その人がどんなに強く清らかな心を
持っているか、私にはわかってしまったのだ。
しかし私の心は、まだちょっと未熟だ。
会社に近づくにつれて、また心が重くなってくる。
とても自分の心の中から、あんなオーラを誰かに放てるとは思えない。
そこでふと考えたのである。
そうか。自分で放つのは無理だとしても、彼女がくれたこの
素敵な黄色い心の花を、そのまま誰かにあげることなら
できるんじゃないだろうか…
もともと、いただいたものなのだから。
そんなことなら、私にもできるかも知れない…と。
人に、目に見えない素敵なものをもらったとき、
これからそんなふうにしていけたら、いいと思う。
その黄色い花は、誰かにあげたあとも、多分私の心から
なくなることはないだろう。
むしろ、誰かにあげるたびに、花はどんどん増えていき、
いつしか私の心はお花畑で満たされて、もらったものではない
自分自身の花も、誰かに差し出すことができるようになるだろう。