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むか~し、むかしの話じゃ。 高山陣屋の代官様にひとり娘がおってな、遊び相手の子猫と毎日じゃれあっていたんじゃと。 ある日、いつものように娘と猫は庭先で遊んでおってな、暑うなってきたんで松の木陰で遊んでおってんじゃ。 すると突然猫がうなり声をあげると、狂ったように娘の裾を引っ張ってなぁ、驚いた娘は「なにするんじゃ。」と言って追い払おうとしたが、毛を逆立てて離れようとせん。 殺気だった猫の目を見ると、娘は急に恐ろしゅうなって 「助けてー」 と叫んだんじゃ。 娘の声に駆けつけた大代官様は様子を知るなり力を抜くと、 「おのれっあれほどかわいがってやったのに、どういうつもりじゃ。主人を忘れたのか。この畜生が!」 言うが早いか猫の首を切りつけた。 「ええぃ!」 ところが不思議なことに猫の首はひょうと飛ぶと、松の枝に巻きついた大蛇の首に 「ガブッ」 とかみついた。 その大蛇は今にも娘に飛び掛りそうな格好をしておってな、猫は目をカッと開いたまま、ギリギリと食いついておる。 やがて大蛇の力が尽きると、石の上にどさっと落ちてきたんじゃと。 これを見た大代官様は、猫にすがると、すまんことをした、許してくれ成仏してくれと謝ってなあ、娘は声も立てずに涙を流すばかりじゃった。 するとな、猫は大蛇から離れて石の上で静かに静かに目を閉じたんだと。 大代官様は、この忠義の猫を手厚く葬ると、最後に縁の石の上に乗せてやったんじゃ。 今でもこの石は 「ねこ石」 と呼ばれて祀ってあるということじゃ。 おしまい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.06.29 12:09:18
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