内部被曝の危険性【2】
≪原発は稼働しているだけで危険なのです(シカゴ)≫続いて取材班はアメリカのイリノイ州・シカゴ郊外に向かいました。周辺に3つの原発が集中している地域です。ここではより影響を受けやすい子供たちに深刻な問題が起きていました。原発から排出される汚水には、放射性トリチウムが含まれていますが、アメリカ政府(NRC)は『国際基準以下』なので影響はないとしていました。しかし近くの街では、子供たちがガンなどの難病で亡くなっていました。6年前に建てられた慰霊碑↑、足元のレンガにはこれまでに亡くなった100人の名前が刻まれています。住民を代表し、被害を訴えている親子がいます。シンシヤ・ソウヤーさんとその娘セーラさんです。セーラさんは10年前、突然脳腫瘍を患いました。治療の後遺症で18才になった今も身長は140cmほどしかありません。セーラ「みんな死んでしまったのに、私だけが生きていて悲しいです。」セーラさんが脳腫瘍になったのは、この街に引っ越してきて4年目のことでした。母:「セーラはあの↑井戸の水を撒いて遊び、食事をしていたのです。病気になってからはシカゴから水を取り寄せるようになりました。怖かったのでその水で料理をし皿を洗い、歯を磨かせていました。」 ソウヤーさん夫妻は、ガンと原発との関係を証明するため、州政府からあるデータを取り寄せました。過去20年間全住民1200万人が、どんな病気にかかったかを記した記録です。小児科医の夫・ジョセフさんが分析したところ、原発周辺の地域だけが脳腫瘍や白血病が30%以上増加。中でも小児がんはおよそ2倍に増えていました。ソウヤーさん夫妻は全住民の徹底した健康調査を求めました。しかし国は、井戸水による被曝量は年間1μSvと微量で、健康を脅かすことはないと回答してきました。母:「あまりに多くのものがセーラから奪われてゆきました。低線量被曝が何をもたらすのか知って欲しいのです。」(セーラの被曝量は計測されていない)セーラさんは治療の後遺症で右手が麻痺し、今も思うように動かすことができません。被曝から健康を守るための基準があるのに、自分のような被害があとを絶たないことに、やりきれない思いを感じています。セーラ:「科学者には私たちが単なる統計の数値ではないことを知って欲しい。私たちは生きています。空気と水をきれいにしてください。たくさんの苦しみを味わいました。誰にも同じ思いをして欲しくはありません。」さて、これで低染量の内部被曝がもたらす危険性を2回見てきましたが、そもそも安全性を示すはずのICRP(国際放射線防護委員会)の国際基準がなぜ有効に機能していないのでしょうか。一体その基準を設定した根拠はどこにあるのか、その恐るべき実態を第3話でお届けすることにいたしましょう。続く・・・【送料無料】空気と食べ物の放射能汚染価格:1,260円(税込、送料別) 【送料無料】 ヒバクシャ ドキュメンタリー映画の現場から / 鎌仲ひとみ 【単行本】価格:2,310円(税込、送料込)