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それでもなお平穏な日々

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Jan 23, 2006
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カテゴリ:mixi
 楽天のブログなのにmixiの話題が続いて恐縮だが、何しろ読んでも読んでも尽きぬまさに「ネタの泉」としか言いようが無い状態なのだ。どうかご容赦願いたい。

 今回の話題は仮称「反政府自衛官代弁事件」とでもしておこうかと思う。

 ことの起こりは1/19にmixi内某コミュに立った一つのトピックである。(掲示板等で言うところのスレッドと考えていただきたい)
そこにおいて大元の発言者(A氏とする)が「エリート自衛官(B氏とする)の声」として書いた内容を概略まとめると以下のようになる。(カッコ内は私が付けた仮名。固有名詞等は極力伏せ字とした)

0 タイトル「あるエリート自衛官の言葉より」
1 C会のような連中の言説は迷惑である
  (C会とは左翼系運動を批評・観察するコミュニティであり、左翼系論者からはウヨクの巣窟という評価のようだ)
2 自衛隊と旧軍を一緒にされると困る。
3 だから靖国は俺は参拝反対。
4 でも公の場では言えない。
5 改憲論議のエスカレートを懸念。
6 理由は国外へ出て戦闘に加わる可能性があるから。
7 でも命令があれば行く。
8 だが、皆に伝えておいて欲しいことがある
9 いつの時代でも、歯止めの利かない感情的な世論の道具になって兵士たちは死ぬのだ、と。

 書き込まれた直後から多くの人から様々な批評・意見が書き込まれた。
「個人の意見だろう」「実在するのか」「エリートが言ったから何?」
それらに対してA氏は「特定されないように曖昧にした。それなりに地位がある人だ。作り話ではない。」とコメントした。
これに続いて「文民統制」「内心の自由」「職業選択の自由」「公務員の倫理」「守秘義務」「自衛隊法違反」と様々な方向へ話題が続いていくことになる。

 そういった議論の合間に「本発言は別人物のmixi日記からの引用である。」とのコメントが書き込まれ、そのコメント内において「B氏の階級が3佐」と元の日記では書かれていたことが明らかにされる。
そしてC会に対するA氏の継続的なスタンス(A氏はC会批判のトピックを立てたりしていた)から、「A氏はC会批判のためだけにこれを引用しわざわざトピックを立てたのだろう」という批判の後、A氏から驚愕のコメントが付けられる。

「当人はC会とは直接言ってませんでした。」

 そしてこの同コメント内で、以前に彼を非難していたとあるコメントに
「誤解されるような書き込みは止めていただけますか? 」
と発言しているのである。誤解も何も「自ら大元の発言を改竄」しているのにである。

 さらに大元を読んだ方から
「引用元の記述者は、小林よしのり、藤岡信勝,上坂冬子の名前を挙げて、彼らみたいな連中、と述べていたはずです。」
「防衛大出身で、三等陸佐を自称する、しかし現在は閑職にいる、という人物とコンタクトを取ったらしい」
 この段階でC会批判の部分は否定され、続いてタイトルの「エリート自衛官」さえも疑わしいことが明らかになった。
エリートが閑職に就くのは失脚した場合であることは、自衛隊だろうと民間企業だろうと変わらない。
当然早速に「ぢゃあエリート自衛官ってスレタイが嘘ぢゃん」というコメントが付くことになる。

 しかしこれだけでは終わらなかった。
なんと大元の日記を精読した方から「だが、皆に伝えておいて欲しいことがある」なる記述が存在しないと示されたのである。

 ここで最初に書いた個条書きをそれぞれ確認する。

× 0項
× 1項
○ 2項
○ 3項
△ 4項
○ 5項
○ 6項
○ 7項
× 8項
○ 9項

 行頭に付加した×はトピック中で虚偽又は創作と判明した部分、△は前後矛盾の部分である。
以下、各項の真偽等からトピックを立てたA氏の思惑等を推察していくことにする。

 まず0項のエリートという記述が「虚偽」であることは興味深い。
このタイトルはこれを付加することで自己の発言に権威付けをすることを求めていたか、あるいは3佐という階級に関する無知・先入観があったと推察される。しかし発言本文に対する改竄状況を考慮すれば、単純な誤解によるものとは考えにくい。
何らかの悪意に基づく意図があったと判断するのが妥当であると考える。

 第1項の改竄は論外である。
明らかに「B3佐」の発言とは違っており、仮にB3佐が実在したとしてもこのような特定団体への誹謗中傷は認めないだろう。(そもそもB3佐がC会の存在を知っているかどうかすら怪しい)
この項はB3佐というよりも、A氏個人の意志か思惑なのだろうが、それがいかなるものであれ他者の日記・発言を「改竄して引用する」という行為は極めて卑劣であることを忘れてはならない。
なにしろ当のA氏は何があってもその責を「エリート自衛官B3佐」に負わせることが出来る(はずだった)のだから。

 第2、3項についてはそれが個人的なものであると考えれば何ら違法性はない。
これらは政治的な行為とは言い難く、後述する「反戦自衛官裁判判例」(以下D判例とする)に照らし合わせても何ら抵触しない。

 第4項はB3佐の発言として考えれば「公にはしたくない」という意思表示である。
仮にこれが事実であった場合、本発言は個人的交友の範囲でのプライベートなものでありB3佐自身は公表される類の物ではないと考えていたことが伺われる。
しかるにA氏は(自己の恣意的な思想をB3佐のものであるかのように捏造して付け加えた上で)これをmixi内で公開(少なくとも公開した日記から転載)し、その意思に反した行動を行っている。
法的な問題はさておき倫理上極めて不誠実な行動であり、発言者たるA氏の人間性に大きな疑いを投げかける部分である。
この捏造を付け加えることが自己を保身しB3佐に全ての責を負わせるという行為に繋がっていることは言うまでもない。

 第5、6項についてはいささか微妙な問題を含んでいる。
もしB3佐当人が4項の発言とは矛盾するものの本発言の公開を了承していたと仮定すると、B3佐はD判例に照らして自衛隊法による処罰が行われる可能性が高い。
 なぜか?
この2項目については政治的要素を多分に含んでいる。自衛官は属する組織の性質上、一般国民、一般公務員よりも人権が制約されるものであると判例ではされている。特にその政治的言論が政府の政策・立場に反する、干渉する場合は自衛官がこれを公にすることは「文民統制」に反することになり、これらの行動は国民の自衛隊への政治的信頼性を損なうこととなりかねない。よって自衛隊法58条の1または52条に抵触したと判断され懲戒処分の対象となるのだ。
 仮にも3佐がこういった事項(過去の事例)を無視する、忘却するとは考えにくい。
すなわちこの発言は「B3佐は非エリート出身」であるか「発言自体が捏造」である可能性を高めるものであることがわかる。
もちろん捏造であればその責はB3佐ではなくA氏に帰することになる。

 第7項は自衛官として当然の事柄であるので問題は全くない。
たとえ個人的にどう思おうと、命令には従うのが自衛官なのだ。

 第8項はトピックにおいて「捏造」が明らかになった部分である。
ちなみにこれが事実であった場合、4項との明白な矛盾が生じる。わずか数行の文章内において相互に矛盾する箇所が3カ所というのは、仮にもエリート(?)自衛官の作成する文章ではない。
むしろ複数の人物によって書かれたと考える方が自然である。
この相互矛盾から推察される「これは一人の人物では書き難い」ということは、コメントによって提起された「捏造である」ことを証明していることになろう。

 第9項も問題がある。
ニュアンスからしてB3佐はそれに対して不満があるようだ。当然ではあるが個人として内心不満に思うのは何ら問題はない。
D判例においても個人の内心の自由までは規制されていない。
しかし自衛官しかも幹部自衛官が「立場を公にして政府・国民を否定する」ようなことを言うのは論外である。
それは日本という議会制民主主義国家において「国民の選挙によって選ばれた政府(とその指揮下の自衛隊)」の否定に繋がる重大発言であり、自衛官としての資格を問われかねない内容であると判断される。

 本稿において述べたようにこのような愚かな発言をする自衛官がもし「実在する」というのであれば、明確な証拠をもって示していただく必要がある。理由は簡単、本事例は「自衛官としてふさわしくない人間」が武器をふるう可能性を示唆しているからだ。

 もちろんB3佐が実在しないと言うのならば話は別である。
その場合はA氏が「デマをもって自衛隊に対して何らかの思想活動を目論んだ」か「虚偽の言論で当該コミュ参加者間に対して不信感・不安感の醸成を企んだ」という単純な回答に帰結するからである。

以上についてのA氏の説明・釈明をmixiにおいて希望するものである。

 さて。
文中でD判例として述べた「反戦自衛官裁判」を簡単に説明させていただく。
まずは一連の流れから。

S47.4.27
 陸上自衛官Yは制服を着用したまま報道関係者を同道の上、防衛庁前で以下の要求書を読み上げた
 ・立川強行移駐反対
 ・自衛隊沖縄配備反対
同4.28
 Y、芝公園で制服のまま「4.28沖縄返還協定反対、自衛隊沖縄派兵阻止、日帝の釣魚台略奪阻止、入管二法粉砕中央総決起集会」に参加、壇上で同趣旨の声明文読み上げに加え以下の主張を行った
 ・閣議決定済み各種計画への反対
 ・自衛官の人権保障
 ・幹部、曹・士の差別撤廃
 (以上各事項の法改正)
上記の各行動から陸上自衛隊は隊法58条1項などに反するとして懲戒処分、同懲戒処分に対してY、取り消し訴訟を提起した。

・・・改めて書き出すと頭痛がするような事件である。「馬鹿?」というところか。
ちなみに1審、控訴審、最高裁まで一貫して判決は「懲戒処分は適法」であった。

それらから興味を引く物の概要をまとめてみると以下のようになる。

・著しく歪曲又は誇張した事実を前提にして自衛隊を誹謗中傷した
・有事に行動する武力集団としての自衛隊は、不断から一糸乱れぬ厳正な規律と強固な団結を保持することが不可欠である
・これは実力組織としての性質に由来する本質的な要請である
・故に文民統制の原則は当然として、内部においては所掌する者の判断と決定が最大限に尊重される必要がある
・一般市民から志願してなった自衛官は市民と同じ権利自由が保障されなければならないわけではない
・志願してかかる立場になったのであるから、立場の範囲内において権利自由が制約されても憲法問題は生じない
【第1審】

・表現の自由は公務員の地位にある者の発言が無制約であることを示すものではない
・国民の信頼を損なう発言は慎むべきである、国民の信頼があってこそ行政が成り立つ
・自衛隊の場合、その性質上、自衛隊員相互の信頼がその活動に不可欠であることは論じるまでもない
【控訴審】

・自衛官が制服や官職を利用して公然と政府を批判することは、本来政治的中立を保ちつつ一体となって国民全体に奉仕すべき責務を負う自衛隊の内部に深刻な政治的対立を醸成し、そのため職務の能率的で安定した運営が阻害され、ひいては議会制民主主義の政治過程を経て決定された国の政策の遂行にも重大な支障を来すおそれがある
【最高裁】

 以上で私がなぜB3佐の実在にこだわるかおわかりいただけたと思う。
私はB3佐が存在するのならば、彼の発言は本当かを任務に対する阻害要因として確認する義務があるのである。
しかし現段階になってもmixiにおいてA氏は沈黙を守ったままである。

 私としてはA氏が正真正銘の卑劣漢で全ての発言は捏造であり、B3佐なぞ実在しないことを望んでいる。
だがそう望むからと言って真実を確認しないわけにはいかない。
なぜならB3佐が実在することは自衛隊にとってひいては日本にとって極めて危険な因子を内在させていることになるからである。

(なお本トピックは一応未だに継続している。A氏は姿すら見せず雲隠れしているようだが)





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Last updated  Jan 23, 2006 07:59:32 PM
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