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「西院MUSIC FESTIVAL」のイベント仲間、イベントの準備の 2月から、イベントの終了、そしてその後の打ち上げの8月、この間約半年 ほど、ことイベントを成功させる事だけにおいて、スタッフ同士が密度の濃 い時間を過ごす事になる、それがもう5年間も続いている、しかしイベント を通じて親しくなっている、又はイベントがあるから親しくなっているだけ であって、いったんイベントから離れると、特にオレはスタッフ仲間とは年 齢が大きく離れているセイで、完全に別の世界で生活をし、何一つ接点の無 いところでそれぞれの人生を歩んでいる。 このベントにかかわる事が楽しくて、このイベントを通じてお互いに係わ り合いを持っている、お互いにどういう人間であるとか、どういう経歴の人 間であるとか、どういう職業の、どういう地位の人間であるとか、極端な話、 その人の前歴、前科があるとか無いとか、そういったことは全く関係が無い、 ただ職業だけはイベントの担当するそれぞれの得意の分野、例えばイベント のチラシやポスターやパンフレットの作成のスタッフはその業界の人間、イ ベントの公式サイトを担当する人はIT業界の人間、職業がわかるといって もその程度である、イベントを楽しみながら自分の得意な地道な事に汗を流 し、熱中する事が出来るか、それを出来る者同士の、言葉とか話し合いとか 議論とかの知的な部分で結びついた関係でなく、むしろそういったものでは 不可能なような結びつき、親密さ、これはもっと人間の持つ原始的な部分、 感情とか情熱、イベントにかける熱意とか気持、いやそれよりも、もっと原 始的で本能的な、このイベントを中心にして、「群れる」、という感覚に近 いようなお互いの結びつきである、オレは戦前生まれではあるが戦争体験は 無い、だから、実際には、「戦友」、というのは知らない、だがオレのイメ ージの世界では、このイベント仲間達は、「戦友」、に限りなく近いもので あると思っている。 そのイベント仲間、第1回からのスタッフ、自らもドラムをしていたが、 バンドを組みメンバーもいず音楽活動は停止中、最近は時折スコーンなどを 叩いたりしている、背の高い、笑うとタレ目の優しい、30代後半の大男、 この彼が結構、ハードな仕事の設備メンテナンス関係の仕事をしていたが、 この4月頃に失業、次の仕事を探すまでに、自分がもう一度何がしたいか暫 くの間考えるといって、失業保険をもらいながらぶらぶらと遊んでいた、昼 ごろからパチンコやスロット、遊んでいる途中に休憩や小腹が空いた時に溜 まり場のカフェで時間つぶし、そこで平日の昼間に良く見かけるようになっ た、短時間でしこたま負けた日には、ビールやラムコーク、オレと同じでお 酒が顔に出る、見かけるときには赤い顔、ゴールデンウイークが済んだ頃か ら再就職のリクルート活動、オレより後で素面でしかもネクタイ姿、「今日 は面接?」、「ハイ、そうです」、「どうだった?」、「話も繋がったし、 手ごたえがあります」、「採用の発表は?」、「来週の初めです」。 そして次の週になると同じようにカフェのカウンターで少し赤い顔、オレ が訊く前に、「不採用でした」、明日また別のところへ面接に行きます、そ の後も、「手ごたえがありました、就職できそうです。」、「そーかァ」、 以来そんな同じような状態が約1ケ月ほど続いた、相変わらず昼間からカフ ェのカウンタで赤い顔をしている、変わったのは面接の後、「今回もダメか もしれません」、と最初に比べて面接の後、随分と弱気になっている事であ る、早く就職先を決めたいという焦りのようなものが出始めてきた、こうい う時、還暦もとっくに過ぎたオレの事、実の無い、無責任な慰めの言葉をか ける事ぐらいはたやすい事、しかし彼の状況と気持を考えると、なかなか言 葉をかけられない、しばし沈黙、「平日の昼間に、赤い顔してここにいなく なれば、就職祝いやなァ」、いつもの優しいタレ目の笑顔で、「早く、そう なるようにします、お先に」、といって彼のほうが先に店を後に。 カウンターの後片付けを終わったカフェのマスターが、「今さっきの感じ、 以前、映画で見た覚えがある、何だったかなァ、ストリーと関係ないんだけ ど、その映画のラストシーン、思い出せない、気分が悪い」、「そういう時 にトイレでも行くと思い出すよ」、「ではお言葉に甘えてトイレに行ってき ます」、ニコニコ顔でトイレから出てきて、「思い出しました、『グッド・ ウイル・ハンチング』のラストシーン!」、オレもこの映画は見ている、ス トーリーははっきり覚えていないが幼い頃の虐待で自己否定をしてしか生き られない心に深い傷を持った、数学で天才的な頭脳の持ち主の青年、マット ・ディモンがカウンセラーと彼の才能を肌感じ取り、同じ虐待経験を持つワ ル友達のベン・アフッレクのお陰で自分を見つめなおす事が出来、新たな旅 立ちを決心、彼の優秀な頭脳に目を着けたシンク・タンクからの誘いを断っ て、愛を告白できなかった彼女の元への旅立ち、ワル友達のベン・アフレッ クが、自分を取り戻し、旅立ちの決意を仕掛けていたマット・ディモンに、 「毎朝仕事に行く前に、お前を誘いに行く、顔を見るとホッとするが、いつ かお前がいなくなっている、それはそれでさびしいけれど、お前はいつまで もここににいるような人間ではない」、といっていた。 ある日の朝いつものようにマット・デイモンを誘いに寄ったワル友達のベ ン・アフレックと仲間達、仲間でプレゼントをした車と彼の姿がない、あっ たのは置手紙だけ、その瞬間彼は、友達がいなくなった寂しさと心から望ん でいた彼の新しい旅立ちの喜び、この気持ちを見事に演じ切ったベン・アフ レックの感動の、ジーンと来るラストシーンの事、カフェのマスターの言っ た事はあたっていた、実はオレが、「平日の昼間に赤い顔をしているのを、 ここのカウンターで見かけなくなったら、再就職やなァ」、と言ったのも、 このラストシーンの事が頭の中にあった。 ■「今日の言葉」■ 「 人生の目的が確立していないと 毎日の働きが生きてこない 」 (自然社・平成18年・新生活標語より) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 24, 2006 11:14:19 PM
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