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Jul 14, 2009
カテゴリ：「西院」の事（今、住んでいる所）
四国の高知の安芸に約２０年間ほど世話になった縫製工場があっ て、台風にシーズンになると、台風が発生して北上、四国に接近中、 こういう時には気象台の台風の進路予想よりもこの工場の親父さん に聞く、「今度の台風はどう？」、「今の雲の流れから行くと、室 戸岬に近づいてくると、和歌山方面にそれていく、京都は影響がな いわ」、とか、「今度のは太いぞ、まともに室戸岬に上陸して、真 直ぐ四国山脈を越すかも知れん」、とか、「昨日は、あ、あ～、い うたけど、室戸岬の手前でお辞儀して、潮岬を掠めていきそうや、 京都は影響がないわ」、克って京都に大きな被害をもたらした台風、 昭和９年（１９３４年）の室戸台風とその後の同じ様なコースを辿 った第２室戸台風がある、室戸岬を真直ぐに上陸し、真直ぐに四国 山脈を乗り越えると、そこから先は京都を直撃する風の道があると いわれている、その工場のオヤジさん曰く、室戸岬に接近しても余 程勢いのある台風でないと、室戸岬の向うの聳える険しい四国山脈 に怖気づいて、急に進路を変えていく、ところが室戸岬を真直ぐ上 陸して、四国山脈を真直ぐに乗り越えていく勢いのある台風は、四 国山脈でその勢いが衰えることなく、逆に勢いを増して、四国山脈 を通り越した後はスピードアップをして真直ぐに京都へ向かう、と いう事だった、幸いにして、その縫製工場と取引のあった約２０年 間には、そこまで勢いのある台風の接近はなかった。 昭和９年（１９３４年）の室戸台風、京都に大きな被害をもたら し、西院にも大きな被害、西院春日神社の建物崩壊、大きな樹木が 倒れ、隣の西院小学校（当時は淳和小学校）の校舎の一部が倒壊、 生徒と教職員に多くの死者と怪我人が出た、オレもこの小学校に６ 年間通っていて、木造の長い２階建て校舎、その校舎の真ん中辺り に、４教室分だけ鉄筋コンクリートつくりの教室があって、この教 室が室と台風のときに倒壊した校舎の部分であった、当時は現在ほ ど気象情報が発達していず、また台風の進路にあたる地域での台風 のために休校という事も行われていなかった、勢いが衰える事無く、 スピードアップした勢力の強い室戸台風が接近中の中、小学生達は 登校し、授業が始まる、ますます雨風が強くなりだし、心配した父 兄たちが学校へ集まりだす、その目の前で校舎が倒壊、教職員達と、 父兄たちと、消防団が救出活動を強い風雨の中で開始、阿鼻叫喚、 さながら地獄絵図の状況、倒壊した校舎の下敷きになった生徒が次 々と救出される、そして一番最後に、一番被害度がきつく、ペシャ ンコに倒壊した教室、絶望的な状況下での救助活動、遺体となった 生徒、救出されて書き叫ぶ生徒、最後の重い、太い梁をのけると、 女性の先生が両手で生徒を覆い、庇うように、うつ伏せに倒れてい て、その両脇で庇われていた生徒達は奇跡的に生きていて、大きな 声で泣き叫び無事に救出された、しかし師範学校を卒業して、間の ない若い女性教師は倒壊した梁が後頭部を直撃、髪留めの金具が延 髄に突き刺さり、即死状態だったといわれている。 このような状況下で咄嗟に取った女性教師の行為、なんとしても 生徒の命を守るという大きな、強い師弟愛、この行為をいつまでも 記憶にとどめるために、先生が両脇の生徒を庇う姿のブロンズ像が 円山公園に建立された、終戦前の１９年、当時は極端な鉄不足で鉄 の供出が行われており、このブロンズ像も取り壊される事となり、 後に有志の手によって再び建立されて、今も円山公園に残っている、 西院小学校の校長室にこのブロンズ像のレプリカ像が飾られていた、 しかし、オレも息子も娘も西院小学校、この西院の街にとって誇る べき話であるが、不思議な事にこの話を学校でキチンと聞いたこと がなかった、ブログを書き始め、この話を書くときに調べて詳しく 知るようになった、またその後、京都をこよなく愛した歌人・吉井 勇、京都に縁のある歌人というだけではなく、晩年はお茶屋の女将 の厚情で世話を受けながらも、今も愛され、慕われている粋人、そ の有名な歌碑が祇園白川に建立されている、「かにかくに 祇園は こひし 寝ているときも 枕のしたを 水のながるる」、この石 碑が友人の谷崎純一郎などの手によって建立、その日を記念して１ １月にかにかくに祭が例年催され、祇園の舞妓・芸妓が歌碑の白菊 花とお茶を献じる、このことのブログを書くときに下調べで、吉井 勇も戦前にこのブロンズを見て、そして、室戸台風の時のこの女性 教師のとった行為、この話を聞かされて、わが生涯に於いてこれほ どの強い師弟愛は初めてと涙したとあった、この歌人・粋人がより 身近な人に感じさせられた。 オレは西院の誇るべき事は、室戸台風の折のこの女性教師の命を 懸けた師弟愛と阪急電車の西院駅、日本初の地下を電車が走り、地 下の駅、この２つのように思っている。 ■「今日の言葉」■ 「 子供の我が侭に妥協していると 親も子も物事にけじめを失う 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より） お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
Last updated
Jul 14, 2009 02:44:56 PM
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