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Jul 15, 2009
カテゴリ：ボクシング
今日は昨日の長谷川穂積の９度目のＷＢＣ世界バンタム級防衛戦 の事を書く予定であった、６度目、７度目の防衛戦は２ラウンドで 終了、８度目の防衛戦は１ラウンドで終了、当然の事ながら９度目 の防衛戦も早いラウンドでのＫＯ決着の期待、希望通り１ラウンド で決着、２分２８秒でＴＫＯ勝ち、僅か１４８秒、彼のこの試合の ファイトマネーはいくらかは定かではないが、１秒当たりナンボ？、 と思う人もいるだろうが、この挑戦者が決定してから何ヶ月も、相 手を研究して、相手の得意の戦法、相手の得意のパンチ、それを研 究し尽くして、トレーナーと相談しながら、相手の得意のパンチを 食う事無く、自分の得意のパンチを如何にヒットさせるか、幾つも のバリエイションのコンビネーションを、繰り返し、繰り返し練習 をする、そのために自分に不足している身体能力の強化のトレーニ ング、その殆んどが苦しいトレーニングをしながらも、決して使わ れる可能性が極低く、実際の試合で使われない可能性のほうが高い、 そういう苦しいトレーニングをしながら、昨日の長谷川の場合は体 重を１２キロ減量、バンタム級のリミットが５３、５キロ、だから トレーニングをきちんとしていて、約６５キロの体重をその体重に まで減量、しかも試合に備えての最終の追い込みの激しいトレーニ ングをしながらのこの減量である、最近の世界タイトル戦は前日計 量であり、計量をパスした後の挑戦者アメリカのネストール・ロチ ャと向かい合っての映像、目の周りにはクマが出来、皮膚がかさつ き、空腹と喉の乾きで目がうつろで、無表情、この映像が長谷川の 減量のきつさを如実に証明していた。 強くなるため、タイトルを守り続けるために厳しいトレーニング、 筋肉が強化され身体も大きくなる、当然の事ながら体重も増加する、 バンタム級の体重のリミットは５３、５キロ、これは不動、減量し なければならない体重は自然に増加、トレーニングをすればするほ ど、減量がきつくなる、実に悩ましい問題がおきてくる、防衛回数 を重ねるごとに、減量という敵は手ごわくなってくる、長谷川は２ ８歳である、過酷な減量の後、３０時間ほどで、食事をし、睡眠を とり、３０時間ほど前とは別人のように、肌の色艶も良くなり、体 力・気力を回復、体重も計量時よりも約５キロほど増加、計量後の 約３０時間ほどの間の飲食は心強い味方であるが、これが限度を超 えた大幅な減量、体重を落とすだけではなく、脱水症状による内臓 のダメージ、ここまで過酷な減量をしてしまうと、計量にパスをし たとしても、約３０時間程の間に飲食がかえって身体にダメージ、 胃痛、下痢、嘔吐などの胃腸障害を引き起こし、大きな味方である はずの飲食が体力回復、スタミナ回復、それが敵となることもある、 何度も減量、計量パス、その後の飲食による体力とスタミナの回復、 これがある年齢を過ぎると、或いは激しい試合の連続でのダメージ の蓄積、それらによってベストコンデイションでリングに上がるこ とが出来なくなってしまう事がある、長谷川もその年齢に近づきつ つあるが、到達するにはまだ少し間がある、防衛回数の区切りの良 いところで、ノンタイトル戦でもスーパーバンタム級、フェザー級 でテスト試合を組むのも一つの方法である、上のクラスでのパンチ に対する耐久力、自分のパンチの破壊力、どのクラスまでなら今の スピードを維持できるか、よりスピードアップが出来るか、それに より日本人の最多世界タイトル防衛記録を伸ばすか、多階級制覇を 目指すか、あくまでテスト試合をしてみる必要がある。 そこで肝心の昨日の試合、１ラウンドのゴングが鳴ると長谷川は 右のジャブを軽く、早く、チョンチョンとつき、（これだけでも物 凄く速さを感じる）、まるでこれが偵察用のアンテナの役目、相手 がこれに対する反応を見ている、右ジャブに対する相手の反応、そ のパンチに合わそうとしている、むやみに打って出るよりも、もう 少しプレッシャーをかけながら、相手が打って来るのを待ち構えて いる、相手にもそれがわかり、パンチを出せば、もっと早いパンチ が待ち構えている、長谷川は最近の試合にしては珍しく立ち上がり は慎重、単に手数を出すだけではなく、幾つかの伏線を意図した攻 撃、１ラウンドの中盤過ぎに、ロチャをロープに詰めて左ストレー トのダブル、最初の左ストレートにロチャがパンチを返そうとした 時に、間髪をいれず早い２発目の左ストレート、ロープから右に移 動したロチャに左ストレート、ロチャがパンチを出そうとしたとこ ろへ、身体を沈めながら頭を左へ移動、その体制からスピードのあ る、力強い右フックが振りぬかれた、ロチャにとってこのパンチは 全く見えないところから降りぬかれた、パンチが当たるまで気がつ かなかったパンチ、長谷川にとっても見てから打ったのではなく、 思いっきり振りぬいた所にロチャの左顎があった、ダメージの強い、 前につんのめるようなダウン、一瞬、これで終わりとさえ思ったが、 カウント８で試合再開、ロチャの足はまだふらつき気味、３試合連 続で早い回でのＫＯ勝ちの長谷川、つめどころを心得ている、大き いパンチではなく、小さく、早い、高速連打、ロープに詰まってロ チャが２度目のダウン、ふらつきながらもカウント８でファイテイ ングポーズ、レフリーは止めようかどうしようかの迷いがあったの か、「こちらへ向かって歩いてみろ」、と合図、ロチャはよろめく 身体でユックリと前へ１歩、そしてもう１歩前に踏み出した時、膝 がカクンと崩れそうになる、それを見たレフリーは迷う事無く、試 合をストップ、長谷川、１ラウンド２分２８秒、ＴＫＯで９度目の タイトル防衛に成功。 リングサイドにはいつも長谷川の奥さんと２人の子供、昨日は癌 と闘病中のお母さんもリングサイドに、お母さんに闘病の勇気を与 える試合であった、長谷川が日本の連続防衛記録の達成の時にも、 お母さんの姿がリングサイドにあることを祈らずにはいられない。 ■「今日の言葉」■ 「 未来を共有するからこそ平和と 信頼関係が重要なのである 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より） お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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