2007/11/30(金)12:31
決勝で会おうぜ!
みなさん、こんにちは
今日は久しぶりに、息子ヒデキ(小4)の柔道ネタです。
今度の日曜日(12月2日)は、いよいよ塾友杯少年柔道大会です。
会場は、東京松前少年柔道塾。
ヒデキの通っている湘南松前少年柔道塾と同じ、東海大学系列の道場ですが、東京の方は全国制覇をするほどの強豪です。
試合前ということもあってか、昨日の稽古では、最後の30分間、ぶっ続けで乱取りをしていました。
全体を3つのチームに分け、各チームから持ち時間10分間で乱取りをします。
途中、1分ごとに相手を変えるのですが、その相手は、残り2チームの子を選んでも良いし、その子たちの方から進んで入っても良いので、相手さえいれば、30分間ほとんどやり続ける、というわけです。
ヒデキは、恐らく途中で休みたいと思ったのか、壁に張り付いていることもありましたが(笑)、誰かしらに声をかけられては中に入っていたので、ほとんど動きっぱなしでした。
小学生の稽古が終わると、泣きそうな顔のヒデキ。
「オレ、今日はもう疲れたよ~~
これで中学の稽古までやったら、死んじゃうよ~~」
ヒデキは、とてもヘナチョコです。
稽古中も、先輩たちの凄まじい出足払いをふくらはぎに受け続けたりすると、半べそになって、
「足が痛いよぉ~~」
ヒデキは、とても弱虫です。
先生にも、
「またお前の“イタイイタイ病”かぁ~」
と、よく笑われています。
私は、
「まぁ、確かに今日の練習はキツそうだったし、
そんなに無理しなくてもいいんじゃない?
帰りたいなら、さっさと帰ろうよ。
ご飯も早く食べられるし、宿題だってできるじゃない?」
という気持ちなんですが、ヒデキとしては、それも悔しいようです。
「ちょっと、トイレに行ってくる」
そう言ったきり、中学生の稽古が始まっても、なかなか戻ってきませんでした。
やがて戻ってきたヒデキに、
「どうしたの?
お腹、痛かったの?」
と尋ねると、
「ちょっと、悩み事をしてた」
(それを言うなら“悩んでた”か“悩み事があった”でしょ~?笑)
相変わらずの、ヒデキのちょっとおかしな日本語に笑いながらも、
「何を悩んでたの?」
「トイレで5年のI君に会ってさ~、
“オレさ~、今日はもう疲れちゃったから、今日だけは中学の稽古に残っていくのイヤだなぁ…”
って言ったらね、I君が、
“まぁ、そう言うなよ。
オレなんか、お母さんの仕事が夜になっちゃったから、これから一人で駅まで歩いて、電車で帰るんだぜ。
それに比べたら、お母さんがいてくれて、練習もできるんだから、ヒデキは幸せだと思うよ“
って。
だからね、オレ、
“確かにI君は偉いよなぁ~。
オレは一人で歩いて、電車に乗って、なんてできないもんな“
って思ってね、
“だけど、今日はやっぱり疲れちゃったしなぁ~”
って、悩んでたわけ」
「へぇ~~、そんなことがあったんだ。
I君、いい先輩じゃない?
それで?どうして戻ってきたの?」
「そしたらね、あの、山下先生を教えた“柔道の神様”って言われてた先生が通りかかってね、
“おい、どうした?
具合が悪いのか?“
って聞いてきたから、
“え?あ、いえ…”
って答えたら、
“じゃあ、戻れ!”
って言ったから、それで戻ってきたんだ」
「あはは
柔道の神様に言われちゃったら、戻るしかないよね」
そのあとヒデキは、自分でO先生に、
「今日は疲れちゃったから、一人打ち込みでいいですか?」
と聞きに行き、一人で打ち込み練習をしていました。
ところが、昨日は普段はいない大学生が2人、乱取りに入ってくれていて、ヒデキの先輩とあたることになったそのうちの一人に、T先生が
「遠慮なくやっていいから。
バンバン投げちゃって!」
と言っているのを聞き、
(こぇえええ~~~
ああ、一人練習でよかった)
と、ホッと胸を撫で下ろしていたヒデキが、後半の乱取りで突然中に入るように言われてしまったのでした。
思わず、
「え?オレ?」
と、聞き返すヒデキ。
恐らくそのときのヒデキの気持ちとしては、
(え~~っ
今日は打ち込みだけじゃなかったの?
話が違うよ~)
だと思うのですが、O先生の、
「お前以外、どこにヒデキがいるんだ?」
に、諦めて中に入ったヒデキ。
それから続けて2人の大学生のお兄さんと乱取りをしてもらったヒデキは、終わった瞬間、
「お腹が…
お腹が痛い!!!
きっと緊張しすぎたんだ」
そうです、ヒデキは胃腸もとても弱いんです。
こんな息子が、この先強い選手になっていけるとは、私には到底思えないのですが(笑)、
それでも、夢は「オリンピックで金メダル」だと言い張っていることが、とても不思議なんです。
「ママ、今日の最後にO先生がね、
“日曜日の試合に出るヤツは手をあげろ”
って言ってね、
“一言だけ言っておく。
頑張れ!“
って、ほんとに一言だけだったよ。
それからね、
“もし決勝まで残ったら、この中にいる者同士が戦うことになるかもしれない”
って言ったんだけど、その瞬間、なぜかオレとT君(ヒデキと同じ4年生)の目が合ってね、
T君がオレの顔をじーーっと見たあとで、
“うん”
って、一回頷いたんだよ。
オレ、あんまりよくわかんなかったけど、とりあえず、オレも、
“うん、うん”
って、T君の真似をして頷いておいたんだけど、後で考えてみたらあれは、
“決勝で会おうぜ!”
ってことを言ってたんじゃないかな?って思って…」
「そう?
それは、きっとそういう意味だったとママも思うよ。
日曜日の試合、楽しみだね」
そう答えておきましたが、実際は、行った先で出会う子どもたちの方が、ヒデキたちより遥かに強いような気がして、一回戦だけでも勝つことは難しいんじゃないかな?というのが本当の気持ちです。
T君とヒデキは今、同じ小学校へ通っています。
学区内の中学には柔道部がないので、小学校を卒業したら、2人で隣町の中学へ通おう、と決めているそうです。柔道が大好きなようで、いつも真剣に稽古に励んでいるT君。恐らくこれから先、2人は一緒に過ごす時間がますます長くなっていくでしょう。
日曜日に決勝で2人が対戦することは夢のような話だと思いつつ、それでもやっぱりT君とヒデキの気持ちが可愛いので、私は2人が一つでも多く勝ち進めることを祈りたいと思います。
明日の早朝稽古が終わると、次はもう試合です。
ヒデキはきっと、またお腹が痛くなると思います。
悔し涙も流すと思います。
でも、そんなたくさんの経験を通して、今は弱虫でヘナチョコのヒデキも、これからも少しずつ、少しずつ、心も身体も強くなってくれたらいいと思っています。
ひなたまさみ