カテゴリ:お山に雨が降りまして
たまゆら1/fさんのアドバイスで、生まれてはじめて千年灸を試してみた。 なかなか快適だ。昨日は、朝から滋賀の環境保全ボランティアで2度目の伊吹山の 活動。朝から、山頂を動き回った。いま伊吹の頂上付近は、タンポポだらけ。 眼には美しいのだが、これは山の固有種を駆逐している西洋外来種だというので 徹底的なボランティア動員で根からこそぎ落としてゆく。ものすごい量で咲いて いるので到底追いつかないが、それでもしばらくするとタンポポだけでも100 キロぐらいは刈り取れた。それに紫苑というのも、良くないらしい。 石川淳の「紫苑物語」を読んだ学生時代を思い出すが、紫苑というのはこんな綺麗 な花を咲かす。御馴染みなのだが、これも伊吹の高山植物を駆逐するバランス崩し の元凶だという。正確には、ハルジオンとヒメジオンという。ハルシオンなどという と薬物みたいだが、それがあの紫苑から来ているのは知らなかった。なにしろ日本に 鉄道がやってきた時に、北アメリカ産だったがたちどころに日本中に広まったらしく 鉄道花などと呼ばれていた時期もあったらしく、植物のブラックバスのように極めて 危険なのだという。繁殖力が旺盛で、花粉を撒き散らしあっという間に高山植物の 様相を変えてしまうという。ひとたび固有種、在来種を駆逐してしまうと元に戻す ことは相当難しい。伊吹にかぎらず、固有種を絶滅の危機から守ることは今回の ようなボランティア活動を営々と続けることでしか実現できないものらしい。 もっとも、問題なのは国定公園に指定されてからだという。 国定公園になったために、これまで伊吹に出入りできていた生活者が生活資材の 生産拠点としてつかっていた部分が、制限され先祖伝来続いていた伊吹の生態系 を知り尽くして手をやり、暇をやりして維持してきたシャドーワークが及ばなく なった。結果紫苑や外来種の西洋タンポポ畑みたくなってしまい、いま地域が 環境破壊のひとつとして危機感を抱くまでになっているという。国定公園などと いっても、国はなにをしているでもない。守っているのやら、壊しているのやら 訳が分からないという面がある。県の職員も困惑ぎみだ。山の上には気象庁の 使っていた観測所跡地があるが、廃屋である。ボランティア団体のために利用が できればと希望をしても、廃屋だからいつでも使って貰って結構だが、ただし 使えるようにするには3000万円だせというのが気象庁の見解だという。 伊吹は、低い山だ。 昨年も、この山のボランティアの件はこのブログで紹介した。 2005/09/10さざれ石の巖となりて 低い山ながら、日本では風速で3番目に早い。富士山、蔵王につぐというのは尋常では ない。若狭から伊勢湾にかけて日本海から太平洋に吹きすさぶ雪の激しさは、昨年末 恐ろしくなるほど体験した。逆に、この季節は太平洋から湿った空気が日本海へ向け ガスを発生させて流れてゆく。それほど低い山でありながら、まわりに一切さえぎる ものがないという素晴らしい見晴らしのため、気象の荒さは鳴り響いている。 実は、この山の底力は古代から知られていたらしい。 まず、山自体が太古の昔。赤道直下で形成されたものらしい。それは山の化石から 分かっているのだという。たしかに、化石をみると海底の生物が多い。しかも我々の 歴史年限どころではない。アンモナイト、ウミユリという原始生物のオンパレード。 赤道直下から、はるばる数億年もかけて太平洋プレートの造山活動に押し寄せられて いまの滋賀の湖北に辿り着いたというわけなのだ。 この山の自然は、特別風変わりだ。それを見抜いたのが織田信長なのだという。彼は、 安土に城を構えて、対仏教徒おそらくは真宗門徒の軍事的な実力に閉口して、密かに カトリック宗教勢力を日本国内に導きいれた。その時代に、日本にやってきた修道士 たちに、伊吹山を解放して薬種となる植物の生産拠点として解放したらしい。当時も いまも薬物というものは、ハイテク製品だ。つまり高付加価値生産品である。物量が 少なくとも、高額の交換価値を生む。また、薬物は軍事的な意味あいでも極めて有意義 な物資である。伊吹の高山植物の不思議なほどの多彩さは、時の権力者を動かすほどの ものだったのである。 実は、お灸のもぐさというものはこの伊吹山が発祥の地だという。この山のヨモギを みていると、もぐさの原料になった経緯がよくわかる。なるほどヨモギのうらをこそぎ 落としてつくるのであったか、、、この年になってもなんともやはわれとわが身の無知 を痛感する。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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