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2007.12.27
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カテゴリ:★★★★★な本
帝銀事件が世を騒がせた昭和23年。希望に満ちた安城清二の警察官人生が始まった。配属は上野警察署。戦災孤児、愚連隊、浮浪者、ヒロポン中毒。不可解な「男娼殺害事件」と「国鉄職員殺害事件」。ある夜、谷中の天王寺駐在所長だった清二は、跨線橋から転落死する。父の志を胸に、息子民雄も警察官の道を選ぶ。だが、命じられたのは北大過激派への潜入捜査だった。ブント、赤軍派、佐藤首相訪米阻止闘争、そして大菩薩峠事件。騒然たる世相と警察官人生の陰影を描く、大河小説。


<感想> ★★★★★

「このミス」1位に選ばれた本書は、上野(東京都台東区)近辺を舞台にした

警察官親子三代の物語です。 『赤朽葉家の伝説』が地方で生きる女性の戦

後史だとするなら、都市部で生きた人々の戦後史と言えます。 警察官が主

人公になっているので、時々の治安や風俗もふんだんに取り入れられています。 


本書も三部構成になっています。 昭和23年、戦後混乱期の治安を維持する

ために警視庁は警察官を大量採用しました。 そのなかのひとりである安城清

が第一部の主人公です。 当時の上野公園や浅草、鶯谷近辺を舞台にして

います。 出世を望むのではなく、地域に密着した警察官(お巡りさん)になり

たいと願う清二の真摯な思いは二代目、三代目に引き継がれていくことになり

ます。


父、清二が謎の死を遂げた数年後に警察官になる安城民雄の物語は、学生

運動が活発だった熱い時代を舞台にしています。 父に憧れて駐在所の警官

になりたいと願う民雄ですが、荒れ狂う時代に波に飲み込まれてしまいます。

警官としての葛藤というより人間として葛藤する姿を見事に描き出しています。 

第二部は秀逸です。


二部の主人公である民雄に反発しながらも警視庁警察官を拝命した安城和也

は、祖父と父の時代を総括する役割を担っています。 正直って第二部と比較

すると面白味に欠けますが、構成上いたし方ないと思います。 


警官が主人公ですが、三代に連なる父子の物語として読むことが出来ます。

読了後、街で見かけるお巡りさんを見る目がチョッとだけ変わるかもしれま

せん(笑)


こちらもシブい駐在さんのお話です。







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最終更新日  2007.12.27 12:10:13
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