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ソムリエ ラ・パッション

B/Sommelier

           ビストロ

Bistrot du Sommelier
ビストロ・デュ・ソムリエ

パリ8区にある、92年度世界最優秀ソムリエ・フィリップ・フォール・ブラック氏が経営するビストロ

星付きレストランのような豪華さや高級感はないが、とても雰囲気がよく、小奇麗で、なによりも食事を楽しむ事が出来ました。

メニュー構成は60、75、100ユーロのムニュとその他のアラカルトからなりたっている。そしてムニュはすべてアントレ、ポワソン、ヴィアンド、フロマージュ、デセールという構成になっており全てのお皿にあわせてワインが一種類づつブラインドでサービスされるスタイルである。そして一皿食べ終わるごとにソムリエがテーブルまで来てそのワインがどうだったか?どういったワインだと思うか?品種、産地、ヴィンテージについてどう思うか?と聞いてくる。
うーーん・・・ ソムリエとしてかなり遊び心の揺さぶられる設定である!!

最初にアペリティフとしてシャンパン・メゾン・アルローをアミューズと一緒にいただきメニューとワインリストに一通り目を通す。
どちらかというと、アラカルトで頼むのが好きな私だが、やっぱりここではムニュでしょ!! ということで、75ユーロのムニュを頼む。キライなものはないかと尋ねられ、無いと答える。料理内容もテーブルごとに微妙に違ってくるらしい。
せっかくブラインドテイスティングなのだからという事で、少しはソムリエらしいところを相方にもみせようとコンクールのように簡単なポイントをきめて遊んでみる♪ワインは5種類なのでそれぞれ品種、産地、ヴィンテージを1ポイントとし合計15ポイントとした。
で、どのくらいのポイントをとれば認めてくれるか?ときくと、なんと12ポイント!!と言われてしまう!!
あーー!! きびしい!! まったくのブラインド(ワールドワインでヒントなし)なのに12ポイントなんて!
全日本ソムリエコンクール・決勝大会でもそんなすごいポイント獲れる人いないよ! いや!世界コンクールでも不可能!!
という言い訳を一生懸命相方にして、どうにか10ポイントにまけてもらう・・・ (それでもとんでもなくきびしい・・・笑。)

さて、ここのお料理、ソムリエがチョイスしたワイン、そしてなによりも私のブラインドテイスティングの結果はどうだったのでしょうか??
順を追って行きたいと思いマース!♪

アントレ(前菜)
Petit ravioli au fromages,creme de champignon
チーズのはいった小さなラビオリ、キノコのクリームソース、カプチーノ仕立て、ベーコンのプリット添え
もう料理名そのまんまの一皿でした。はい!でもきのこ風味のカプチーノソースの軽い触感と、こくのあるチーズのラビオリ、それにベーコンがよいアクセントになりおいしくいただけるお料理でした。
私はというと・・・ もうブラインドに一生懸命!! ワインをテイスティング(というか、すでにシャンパン飲んでアミューズも食べてるし、もちろん試飲会場みたいに吐き器があるわけもなし・・・・。がんがん飲んでます!笑。これも言い訳の1つなんで・・・・)して、料理との相性を考えると、普通ソムリエはこういったタイプのワインを選ぶはずだ!いや、待てよ!!それを売りにしているんだから普通で考えるよりもっと遊びをきかした組み合わせもありなんじゃないのか??とか・・・ もう頭の中は一杯一杯!!
で、私の答えは・・
品種: シャルドネ
産地: ブルゴーニュ で、AOCはブルゴーニュか、コート・ド・ボーヌ・ヴィラージュ
ヴィンテージ: 2001

なんと! みごとにどんぴしゃり!! ただ、AOCはブルゴーニュだがニュイ・サン・ジョルジュの造り手だとのこと。でも、3ポイントゲット!! ソムリエさんも褒めてくれました。笑。

で、次はポワソン(魚料理)
Thon grille a la tomato. 
マグロのグリエ、トマトのピューレのクネル添え、トマト、ジュー、香草のソース
料理が出てくる前にこのお皿にあわせて赤ワインがサービスされたのでおそらくマグロかソーモンか??と思っていたらやっぱりマグロ。定番通り??赤ワインに合わせてグリエにしてある。ソースはこってり系ではなく、比較的おとなしめのトマトと香草風味のソース。ジュ―を使う事によってすこしコクをだしてある。
私、そのころもう料理をおいしく食べる余裕なんて無し!!笑!
一生懸命、もうすでにバカになってる鼻をきかせながらワインに向かっている・・・・ そして深読みしまくり!! ここまでくると半分はブラインドテイスティング、もう半分はソムリエとの心理戦である!! や!やつは一体この料理になにをあわせるのか!?!? 俺なら?? 定説なら??
ワインはオークの香が強く、しかもかなり焼きの強い樽の気配・・・ しかしワイン自体はそれほど強烈に濃厚でもなければ、酸味が欠けたワインでもない・・・トマトの酸味ともうまく相乗しあっている・・・ でも香の濃縮感もある・・・ で焼きの強いオークの香り・・・・ アフターに残るほどよいタンニン・・・
で、結局行き着いた答えは・・・
品種: カベルネ・ソーヴィニヨン
産地: スペイン(ここまで言った時点でソムリエさんにブー!って言われた)
ヴィンテージ: 1999

正解はシラー、グルナッシュでラングドック・ルーションのフォージェール2000年!!
オー・マイ・ガッ!! 自分が働いている所じゃぁありませんかぁ!!!
た・・たしかにはっきりとスパイスのフレーヴァーを感じる・・・。

気をとりなおしてヴィアンド(肉料理)へ
Cote de veau roti. Jus de deglacage
仔牛の背肉のロースト、ジュ―を煮詰めたソース
うーーん、昨日も食べたな・・・こんなの・・・。でも今日は昨日ほどお腹も一杯一杯になっておらずおいしくいただけました。はい!。
で、ここまでくるともう少しワインから逃げに走っていたりする・・・・
ワインの第1アロマは動物香・・・ どちらかというと毛皮のついた状態の野獣系です・・・ はい。
ゆっくりとスワリングすると黒い果実の香りが出てくる。(意外とおちついてやってる・・・ というか、さっき0ポイントだったのでもう落とせない・・・)日照量の多い産地か、かなり良いヴィンテージのもの・・・ 口に含んだアタックはすでに丸みを帯び、香からの想像よりもはるかに上品であり、やさしく溶け込んだタンニン、重過ぎることのないボディ・・・ うーーん・・・ 正直おいしい・・・♪ でも、なんだろ?このワイン。 まちがいなくフランス産(我輩はフランスワイン至上主義な為、エレガントなワインは絶対にフランスだと思っている。笑。)、でもどこだろう?また南フランス?いや、それにしてはアルコールからのボディが繊細な気がする・・・ ということは、このまるいタンニンはやはりメルローか??すこしカベルネ・フランが入っているから全体に繊細なイメージなのか?するとサンテミリオン??

で、結局辿り着いたのは・・・
品種: メルロ主体、フラン少々
産地: サンテミリオン
ヴィンテージ: 2000

これまた、ダメだし!! ワインのコメントをしているとソムリエさんが『そう!そう!そうだね!!』って感じなのでこっちもよぉーーし!!もらったぁ!!とか思っていたんですけど・・・笑。
正解は コート・ロティ!! あぁあ!! そうか! 私の大好きなコート・ロティじゃぁないですかぁ!!
良いつくり手のコート・ロティはスパイシィさやアニマル的フレーヴァーだけではなく、ほどよく丸みのあるボディ、そして高すぎないアルコール、まるいタンニン!! あぁあ・・・ はずしたけど満足! はずしたけど幸せ!!笑。だって、ここでこんなにおいしいコート・ロティと出会えたんですから!♪
すぐにソムリエさんを捕まえて造り手の確認をする。ドメーヌ・ジャン・ミッシェル・ジェラン!!おお!やっぱりさすがに有名所できましたか!! うーーん、日本に帰ったらまた探してみよっと!♪

ソムリエさんもこっちがあまりにも楽しくしてるので気に入ってくれたのか、チーズにはオールド・ヴィンテージでいってみよう!♪あてれるかな?むずかしいよ!とか言ってワインを持ってきてくれた。
で、チーズは・・・ カットしただけのものではなく、きちんと一皿の料理となってました。

Curee Nantais au four, pain aux fruits,miel de rose
キュレ・ナンテのオーブン焼き、ドライフルーツ入りパンとバラのはちみつのソースを添えて

いやぁ、ここの料理のなかで今回一番感激した一皿でした。キュレ・ナンテはセミ・ハードタイプのナント地方のチーズなんですけど確か表面をあらってるんですよね??違い増したっけ??で、セミ・ハードなのにすこしウォッシュチーズみたいにニュアンスがあって、焼いてあるからとろっとしてて、ドライフルーツ入りのパンと食べると甘味が相乗されて・・・ しかもバラの蜂蜜の香がお上品にマッチして・・・ (コンテチーズとかは春から夏の花をたくさん食べた牛からとったミルクのものが最高!! それとおんなじような効果か??)
で、ワインもいかにも古いぞ!これは!!って感じででてきまして・・・
あぁ、ワインも楽しみたい、チーズも楽しみたい、マリアージュも楽しみたい!でもブラインドどうしよう?まずはブラインドからやっつけるとするか・・・
で、色を見る・・・ 香をかぐ・・・ で、味わいを確かめる・・・。 これ!ぜったいボルドーのメドック!!(ちょっと説明を書くのが疲れてきました。ごめんなさい・・・笑。)、じゃぁ、あとはヴィンテージだな・・・・ 1960年代・・ いや70年代か・・・70、75、78のような比較的良いヴィンテージというわけではなさそうだ・・・ シャトーはとびきりではないにしても、それなりの評価をもらっている(4、5級か最低でもグラン・ブルジョワ・エクセプショネル←当時の規定です。)73年ほどのひどい年というわけでもなさそうだ・・・ 

と、いろいろ考えた結果
品種: カベルネ・ソーヴィニヨン主体、メルロ、フラン混醸
産地: ボルドー・オー・メドック
ヴィンテージ: 1974・・・

ソムリエさん曰く 『あー! おしいぃ!! もうちょっとだったのに!!』←けっしてこのような日本語を話したわけではありませんが・・・・ こんな感じにいってました。笑。
正解はCh.ド・カマンサック オー・メドックグランクリュ 1976年!!
いやぁ、ほんとあと少しだったっす!でも、ソムリエさんも楽しんでくれてました。もちろん私は大いに楽しんでました。

ここまできてただいまポイントは7ポイント!!
次のデザートワインを完璧に当てないと10ポイントになりません!!

でてきたワインは意外と色が薄く、シンプル、貴腐というわけでもなさそうだ・・・
色調も薄めで輝きがあり、香からもフレッシュ感を感じ取る事ができる。
で、口に含む・・・・ なにかわからない・・・ 貴腐のほとんど入っていないAOCソーテルヌクラス?それともソーテルヌの横の産地の甘口タイプ?
いや、このレベルのタイプで、バランス的にこの酸味・・・ もっと北か・・ コトー・デュ・レイヨン? アルザス・ヴァンダンジュ・タルティヴ?
いやいや、アルザスの場合、どんな年でも規定がきびしいからもっとねっとりと甘口のはずだ・・・
だとするとコトー・デュ・レイヨン? そのわりには花梨のフレーヴァーというにはちょっと・・・
ここまでこんなワインだしといて普通のソーテルヌなんてありえない・・・・・・・・

とかなんとかまたもや深読みをしていると・・・・・・ 
な!! なんと!!
世界最優秀ソムリエ、フォール・ブラック氏がテーブルの、しかも自分の隣に来ちゃってるじゃないですか!!
『こんばんわ。ボナネ♪マダム、ムッシュ! どうでしたか、お食事のほうは? このワインはどうです?ちょっと難しいですよね?』←もちろん、勝手にこんな感じって訳してます。笑
で、このデザートワインについて説明してくれて、なかなか珍しいワインなんですよ。って。自分もこの品種のこのタイプは初めて試飲しました。貴重な体験です・・・(こうやって言ったつもりですが・・・ ちゃんと伝わってたかな?緊張しちゃってたので・・・)

で、自分が答える前にフォール・ブラックさんに正解言われちゃいました!!
品種: ピノ・ブラン  ヴァンタンジュ・タルティヴ(遅摘み)
産地: オーストリア
ヴィンテージ: 2002

いやぁ、正直、まったく考えてもみなかった答えでもう完敗!!って感じでした。。

あ!そうそうデザートを書くのを忘れてました。
干しプラムとオレンジのコンポート、ミント風味でした。

この後、もっとソムリエさんと話を楽しみたかったのですが、食後に別の約束があるため、足早にお店を出てしまいました。
でも、こんなに楽しいお店、またぜひ来たいですね。
今回はおしくも7ポイント・・・・ でも、食べて飲んでだからこんなもんかな??
今度は絶対に10ポイントゲットするぞぉーー!!
(本当はコンクールでこれだけポイントゲットしたい・・・。7でもいいから・・ 笑。)

 いやぁ、ここまでこんなに長々とそしてだらだらと書いた文章を読んでくれた皆さん、ありがとうございます。
 そして、お疲れ様。
 日本にもこんな楽しいお店があるといいですね。



















PS:
ちなみに、ここでの頑張りが評価されて努力賞がもらえたのか?後日、相方に人生最大級のお願い?を承諾してもらいました。。。



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