女人禁制の山に挑戦!@奈良・大峯山寺
奈良の奥に女人禁制の山、大峯山があります。大峯山は過酷な仏門修行の地として知られ、1,300年以上前の創建以来、女性が入山することを禁じてきました。5月3日~9月22日に入山できます。この日は「戸開け」と言って、開山の日にあたります。女人禁制を貫くほどの過酷さとは何か、この目で見ることができればと思いました。山頂までの道のりなどの情報が乏しく、手探りでの挑戦です。天気はこれ以上ないほどの快晴です。大峯山の登山口は洞川温泉から奥に進んだところにあります。バス停から歩くと30分以上はかかるということで、レンタカーを借りましたが、かと言ってカーナビもガイドしてくれません。この日は開山の日でしたので、白装束の役行者や山登りスタイルの人がちらほら見受けられました。彼らの背中を見ながら道をたどっていくと、登山口に着きました。駐車場には数十台の車がありました。これだけたくさんの人が登っているなら寂しい感じにはならないだろうと、ひと安心。ちなみに、駐車料金は一日1,000円。大峯山の登山口は修験門に「女人結界」と記されます。入口にはこんな看板がありました。10時17分に女人結界を越えました。「修験門」の先に見える、森林の奥行きの深さに神秘性を感じます。この先はどんな道になるのでしょうか?前半は、松の木立の下を歩いていきます。空気が澄んで、ひんやりとして、とても気持ちいいです。ゆっくりと深呼吸をしながら登ります。他の登山者とすれ違うたびに「こんにちは」ではなく、「ようお参り」と声をかけ合います。時折、ホラ貝の音がこだまします。白装束の信者や山伏の格好をした人も多数登っていました。子供からお年寄りまで、年齢層は幅広いです。それぞれのペースで登っていきます。道はゆるやかな場所もあれば、急な階段もあります。石や木の根を足がかりにすることもありますが、そんなに大変だと言うことはありません。頂上までおよそ3時間ということなので、一歩一歩ゆっくりと進むようにしました。途中にはこういうパノラマが広がり、時々足を止めて、景色を楽しみました。登り始めて1時間20分、洞辻茶屋に到着します。休まずに登ってきたので、喉が渇き、お腹がすきました。ここでは、うどんやこんにゃくが食べられます。チョコレートも売ってました。水をぐいっと飲んで、さらに山頂を目指します。ここから先は、修験道らしい箇所にたどり着きます。「鐘掛岩」ロッククライミングのように急な岩をのぼります。岩には手がかりになるように鎖が下がっていました。最近は転落事故が増えて、先導者が必要なこと、風が強く、また自分がリュックではなく、トートバックを持っていたことから、この岩登りは回避して、横の階段を上っていきました。これは大変です。「西の覗」(にしののぞき)日本三大荒行のひとつと言われます。「健康に自信のない人や高所恐怖症の人はご遠慮ください」の看板がかかります。そう書かれたら、やってみたいと思ってしまうのですが、これがとんでもない!大変でした。鉢巻代と体験料を1,000円を支払って、ポケットに入っているものをすべて取り出します。両肩に太い縄をかけて、両手を強くあわせて拝みながら、崖から上半身を投げ出すように乗り出します。こんな感じ。本当はもっと前に出なくてはいけません。つまり、両手を放すと、肩から縄が外れた場合、崖から落ちてしまいます。視界は崖の下まっさかさま。後ろからお経が聞こえたあと「親孝行しなさい!」「悪いことするなよ!』などと声をかけられます。「はいっ!」腹の底から声が出ます。こんなところでひねくれている場合ではありません。その後、一瞬縄の緊張が緩んで、体がさらに前に出ます。ひやー!落ちる!すぐに縄が引っ張られて、元に戻ると、うっすらと涙が出てきました。あー、しんど。まさに「いっぱいいっぱい」でしたが、実は体をくの字に曲げた先に仏像があるのだそうです。それは知らなかった!でも知っていても、それを見る余裕はなかったでしょう...西の覗から10分ほど歩くと、山頂の大峯山寺に着きます。午後1時10分。やはり3時間近くかかりました。大伽藍に圧倒されます。人間しかやって来られないこの地に、このような大きな建築物があること自体がすごい。なんと平安時代からお堂があったのだそうです。現在は元禄時代のもの。しかし屋根が大きい。中に入ると、本道に大きな仏像はないものの、高さ1mくらいの仏像がいくつかありました。大伽藍のすぐ先に山頂がありますが、ここには「お花畑」が広がります。実際に花があるわけではありませんが、「臨死体験」の本に出ていたような景色が広がります。ここでしばし休憩。山頂からのパノラマも楽しみました。午後1時40分、風が少しひんやりと感じたので、下山することにしました。先ほどの難所とは別に「新道」が出来ていて、木の階段をトントンとひたすら降りていけば、洞辻茶屋に出てきます。ここでうどんをいただいて、一息。あとは一気に下りていきます。登りのときとは視界が違って、深い木立の中に、間伐した丸太が数多く横倒しされていることに気づきました。あっという間に、女人結界に戻ってきました。午後3時55分。今回は足がガクガクすることはありませんでした。やはり地上に戻ってくると、どこかホッとします。修行の地としての厳しさをひしひしと感じましたが、大自然に包まれて体は非常に楽な感じがしました。ただ、ここに滞在するのは、電気も水道もないので、大変でしょうね。下山後に聞きましたが、近くには女性登拝者用の山があるそうです。それも大変だとか。 帰りがけに「天川薬湯センター」に入って、さらにリラックス。いい一日でした。