ひつじ飼いの遊牧民的日常

2010/10/19(火)07:37

ハリルさんちの女の子

日常生活(267)

こないだ村で ハリルさんという おじいさんが 亡くなりました。 たぶん、90歳 近かったと思うんだけど 最後の数年間は かなりボケが入ってて 「こないだ病院に行ったら 脳の入れ替え手術をされた」 とか言って。 見舞客を仰天させて おったのだが。 この人、結構 不運な星の元に 生まれた人で。 2歳くらいの時に お父さんを事故でなくし お母さんも6歳くらいの時に 再婚してしまって。 実の兄弟がいない一人っ子 (異父兄弟はいるんだけど) 自分はお母さんの実家で 育てられたのだそうで。 この実家というのは 義父の家の ことなんだけど。 で、まあ義父のイトコってことで 兄弟のように育ったそうです。 でも、小さい時にかかった おたふくかぜが原因で 子供の作れない 体になってしまい 結婚したあとも 子供はできず 奥さんと二人暮らし そのうち、奥さんが ガンで亡くなってしまい。 彼はまたも 一人ぼっちになってしまった。 田舎では 配偶者に先立たれてしまった人が 再婚するのは、 男女ともに 珍しいことではなくて。 ハリルさんも身の周りの 世話をしてもらおう、と どこで知り合ったんだか アゼルバイジャンから 若い嫁さんを もらってきた。 ところがどっこい。 この嫁さん。 やってきて2週間で 家中の家財道具とともに トンズラこいた 結婚詐欺だったって わけらしい。 でも懲りないハリルさん。 どうしても再婚するぞパワー!で 方々探し回った結果 今度は 東部出身のクルド人系の お嫁さんを連れてきた。 しかも連れ子付き。 彼女は 精神的に不安定で 安定剤を常用しないと 半狂乱になって ハリルさんを オノ持って追い回したり するような人だったんだけど …何かここまで書いて つくづく 気の毒な人だったな~って 改めて思っちゃった でも、本人は 自分のことを 全然気の毒だ、とは 思ってなかったんだけどね。 この嫁さん。 料理はできない、掃除は嫌い。 身の周りの世話を してもらおう、と思った ハリルさん。 自分で料理して 皿洗いして 嫁さんのお世話をするハメに なってしまった もう80歳を超えた おじいさん それまで皿洗いなんて 当然、したこともない。 義母によれば 最初はズポンジがわからなくて ちり紙で皿洗ってた っていうんだから。 もうトコトン気の毒。 家も掃除を全然しないから そこら辺中クサくて シラミも何も 湧き放題。 ハリルさんの異父兄弟や うちの義父も これにはカンカンで そんな役にたたない嫁なんか 早く追い出してしまえ!!!と 超ブーイングの嵐だった。 でも。 ハリルさんは この嫁さんを 追い出さなかった。 この連れ子を 自分の子供みたいに かわいがった。 それまで。 家族というものを 知らなかったハリルさん。 ちょっと嫁さんが トンチンカンだったとしても 突然降ってわいたような このファミリーライフを 手放したくなかったのかな~と チラリと思ったりする。 奥さんは死ぬまでに 周囲の大反対を 押し切って 正式に婚姻届を 出したらしいけど。 連れ子の養子縁組は 間に合わなかったらしい。 この嫁さん 今までも いろんな男性と結婚しては 離婚して、を 繰り返してきてるらしく。 ハリルさんの遺産を わけてもらったら またどっかで 再婚するのかもしれない。 でも。 ハリルさんを 実の父親のように 慕ってた子供が とっても不憫でならない。 この子はそれまで 母親とともに 何人もの継父の間を 転々としてて いつもハリルさんに 「今までいろんなと~ちゃんに 会ったけど。 ハリルさんは本当の と~ちゃんみたいだ!!」って 言いながら どこに行くにも 後からついて 歩いていたのに。 ハリルさんの ず~っと灰色だった 人生の 最後にちょっとだけ ついたピンク色 いっつも男の子みたいに 髪を刈られていたけど 真っ青な目に金髪の 女の子だった。 ハリルさんには ちょこっとだけ 財産もあった。 今、ハリルさんの 親類縁者は 遺産相続ですったもんだの 大騒動の最中で 誰も彼女を 気に掛ける人なんて いないだろうけど どうか、彼女には 運命に負けずに 逞しく育ってほしいなあ~って 願わずにはいられません。 いつもお付き合いくださり ありがとうございます~! ポチッ!と1票いただけると とっても嬉しいです!! にほんブログ村 にほんブログ村

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