時の過ぎるのが速い
年を取ったからか、時の流れの速さを感じる。若い頃は、速く速くもっと速く、時よ過ぎ行け!なんて、よく思った。苦しさに耐える一年は五年にも十年にも感じられ、現にそのくらい毎日毎日色んなことがあった。私は生涯にもう一人だけ出会いたいと思う人がいるが、今は全然何事もなく、家の掃除やら、庭の手入れやら、息子の手伝いやらと、なんの変哲もない日々を送っていると、時はまたたくまに過ぎ去っていて、気がつけばはや今年も師走が近付いて来ている。はて今は秋か、冬か。やけに寒いけれども、何十年か前、母を背負って葛城山を歩いたのは11月のこの日だったように記憶する。あの日は本当に寒かったから、やっぱり昔から、今の時期は寒いのだ。そのもっと前だったか、六甲山に行った秋もやっぱり相当に寒かったから、秋というのは結構寒いってことだ。紅葉で京都はごった返しているというニュース。ここいらはさほどでもない。道が少し混んでいるのかなという程度。第一、紅葉がさほど美しくない。我が家の庭も、ここから見る景色も、台風で葉っぱがやられたからか、樹木が著しく小さく切られてしまったからか、寒暖差がまださほどでもないのか、見るほどには銀杏は黄色くなく、紅葉も楓も紅くはない。イマイチの山なみ。万博が大阪開催になった。いいことか。うっとおしいことか。何十年も前の万博には何回か行ったけれども、やたら電車が混んでいたことや、疲れ果てたことばかりしか覚えていない。少し前はマルクス・ヘーゲルの時代だったからソ連館がは人気があったのか矢鱈並んだし、見たかった月の石は実にしょうむなかった。経済効果なんて毎度毎度誰が試算するのか知らないが、馬鹿げた経済効果が一人歩きしそうだ。万博に行けば、その分、多くの人は他への観光を減らす。その周辺で昼食を食べれば、地元のレストランには入らない。この世は不増不減。あっちが膨らめばこっちが凹む。こっちが膨らめばあっちが凹む。凹む方のことはどなたも仰らない。