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カテゴリ:短歌
木蓮散りさくら杏も散り朽ちて 底ひもあらぬ春のくらがり 齋藤 史 春の盛りを待ちわびる今の気持ちと これから訪れるであろう娘の進学、就職、結婚、そして出産 ・・・・それらを待ちわびる気持ちとは 何となく似通っているように思うのだ。 白く輝くように咲く白木蓮。 薄紅の花を咲かせる桜。 可憐な杏。 やがてその花々は花開き 春の美しさを私たちの前に見せてくれる。 娘もまた成長するその姿でもって 夫と私を喜ばせてくれることと思う。 もちろん喜びの日ばかりではないと 覚悟を決めてはいるのだけれど。 ・・・輝くばかりの春の日も過ぎ 咲き誇っていた花々も次第にその姿を消し 後に待っていたのは 「底ひもあらぬ春のくらがり」だというのだ。 そのことを思うとき 娘の結婚、出産、可愛い孫の成長・・・と 私たち両親にとっては確かに喜ばしいことが多く訪れるのだろうけれど その後に待ち受けているのは 夫と私の老い、そして病、死なのではないかと。 上記掲出歌のおさめられている 「ひたくれなゐ」後記を拝読すれば 一層その感は強くなる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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