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カテゴリ:短歌
こし方はみな面影にうかび来ぬ 行く末てらせ秋の夜の月 前中納言定家 今、玉葉集を読んでいます。 その中で目にとまりましたのが上に掲げた歌です。 「月」というとまず最初に思い浮かびますのは 幼稚園の頃に見上げた月。 夜、居間でお茶を飲んでいた両親に 「お外で月を見ながらお茶を飲もう」と声をかけ 両親と私、ベランダでお茶やお菓子を頂いたことを覚えています。 その時に感じた不思議な感覚。 ちょうど私の左前には父、そして私の右前には母が座っていました。 その2人を後から眺めておりまして こう思ったのです。 不思議だな、確かずっと前には 他の人たちと一緒にお月さまを眺めていたはずなのに 今はこの人たちとこうしてお月さまを見ている。 ・・前に一緒にお月見をした人たちは 一体どこに行ったのだろうと。 それとも私だけがその人たちから離れてしまったのだろうかと。 小さな頭で記憶を辿ろうとするのですが その記憶らしきものもおぼろげで 果たして記憶と言えたのかどうか。 けれど両親の背中を見つめながら やはり思いは ずっと昔に一緒に月を眺めたであろう人たちのもとに行き着くのです。 当時5歳の私はそんな不思議な感覚に包まれながら そしてその感覚をもてあましながら 昔、誰と月を眺めていたにしても 今でも私、月を好きなままでいてよかったと そんなふうに思い、何となくほっとしたことを覚えています。 もうすぐ中秋の名月を迎えようとするこの頃 本来ならば古典の中から月に纏わる歌など書き綴り 古の人々の 月に寄せる思いを我がものとし 唱和していくべきものなのかもしれないのですが 今の私が思い浮かべますのは その幼い頃に感じた不思議な感覚 ・・・私は昔どこにいて これからどこに行こうとしているのかという まことに心許ない感覚、それだけなのです。 もしも自身が三世にわたって 生死を繰り返してきているものであるならば 昔ともに秋の月を見上げた人々は 今、どこにいるのだろうと その人々に今世において 相見ることはあるのだろうかと。 答えの返らぬ問いを繰り返しつつ 風に揺れる薄を眺めているだけです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.10.03 10:32:00
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