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ひよきちわーるど

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2013.03.08
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執刀医より この病気のことを伺って早くも1年2ヶ月。



昨日の夕刻(実に1年2ヶ月も経ってから)
ある大切なことに気付いてしまった。

遅い。
本当に遅すぎる。

こんな大切なことに今まで気付かなかったとは・・・・・



いや、大切なこととは言っても
他の人にとってはそう大きなものではないかもしれない。

少なくとも(今の私にとって)大事なもの、という意味である。



病気になるということは、
しかもそれが命に関わり、再発してしまえば死につながるという場合は

人間、その時に何歳であったとしても
心は「赤ん坊と一緒」になるということ。



生まれて初めてぶち当たる出来事に対し、丸腰状態。
動揺する。
何をどうして良いか分からない。

前に進むに当たり、どうしても他者(医療従事者)の力が必要となる。



これが仕事上でのトラブルとか 受験とか 
確かにそれらのことも非常に大きなことではあるけれど
生の根幹を揺るがすものではない。

何とか自力で解決することも可能である。



けれど、生死に関わることとなると
自力では叶わぬことばかり。

病気の原因を探りたいと思っても
自分の好きな時に好きな方法で出来るわけではない。

今すぐMRIを撮ってくださいと頼んでみても
PET検査を受けたいんですと言ってみても、すぐには叶わないのが現状であるし
「必要ない」と言われたら・・・それまでである。

セカンド、サードオピニオンを・・・と思っても
それを先生にどう切り出すか、悶々と悩むこともある。

その上、検査、治療、そして
病気そのものに関わる様々な苦痛を引き受けるのは自分ひとり。


・・・・まるで、独りこの世に生まれ落ち
光や音、様々な刺激に驚き、動揺し、不安にさいなまれる
生まれたての赤ん坊のような気持ち。




そんな毎日を過ごす患者にとって本当に必要なのは
「癒し、安らぎ、あやし」ではないかと。

励ましとか、叱咤激励などではない。



これはよく身内に言われることなのだけれど
「子どものために頑張らな!」
「負けるな!」
「弱気になるな!」

それこそ励ましを通り越して
叱咤、叱咤、叱咤の嵐である(笑)。



これでは心休まるはずもない。



癌患者に対し、どう接すればいいか分からない場合には
生まれたての赤ちゃんのことを想像してほしい。

一体どこの誰が、生まれたばかりの赤ちゃんに対し
「頑張れ!」「しっかりしろ!」「負けるな!」などと
大声で叱咤するだろうか。





私がここ最近、とみに
生まれ故郷の飫肥に帰りたいと願うのも
このあたりに原因があるように思う。

46歳のいい年をした大人に対し
まるで赤ん坊をあやすような対応をする人がいるとも思われない(笑)。





・・・だからこそ 故郷の山に空に
懐かしい故郷の風に包まれて
ほんのひととき 安らぎたいのだと。



あの道は祖母と2人、一緒にてくてく歩いた道。

この曲がり角には大きな、大きな杉の木。

この小さな溝は あの頃どうしても飛び越えられなかったもの。
お友達がひゅん、ひゅんといとも簡単に飛び越えていたけれど。


遠くに広がる山々。
夕暮れ、見上げていた夕焼け空。




どの道にも幼い頃の思い出が刻まれて

目をつむれば
あの頃 まだ20代だった若い両親、小さな弟、妹たち

近所のおじちゃん、おばちゃん





その山あいの町に戻れば

あの頃 まだ生きていく力を持っていなかった私を
みんなが守ってくれていた・・・・

そんな遠い、遠い記憶が甦り
心のどこか 温かな気持ちになってくる。




 







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Last updated  2013.03.08 10:52:45
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