引越ししてきたこの家、すべて快適で気持ちよく暮らせているのだけれど、
一つだけ気がかりなことがあった。
入居して2週間目ぐらいだったかな？
ある日曜日の夜に、人間の声とは思えないような男性のうめき声が上の部屋から聞こえてきたのだ。その声は言葉ではうまく例えられないけれど、なんというか、悪魔に憑かれたような恐ろしい声で、「う～っ、うぁ～～～っ、おぉ～っ、あ　ぁ　アゥ」みたいな感じで、これが長い時で2時間ぐらい続くので、最初聞いたときは夜も眠れない感じで、まじどうしようかと悩んでいた。時には拷問を受けていてもうこの世の終わりというような感じで叫びまくる声なども聞こえるので、これはもう絶対に階上で心霊現象が起きているに違いないと思ったこともあった。
ところが、この声はたいてい土曜日か日曜日の夜の数時間でおさまり、そのまま朝に持ち越されることはまったくなかったので、こちらも朝になると忘れてしまうというそんな感じだった。

実は夕べたこ焼きパーティーも終わり、シャワーも浴びて寝る体制に入った頃、
階上から数人の話し声と音楽のズンズンズンという音がかなり大きな音で聞こえてきた。たぶんお客が来ているのだろう。それにしても派手な音楽やなあと思っていたところ、突然あのうめき声が久しぶりに始った。お酒を飲みすぎていただんなのいびきもひどかったので、今夜のうめき声はいびきにかき消されながらもかなり派手な風に続いていた。
たぶん1ヶ月ぶりぐらいかな？最近は恐怖心も感じなくなっていた私はうめき声とともに聞こえてくる人の話し声に聞き耳を立てていた。
どうも広東語ではなく英語に聞こえる。そしてうめき声の合間に「おぅまいがっ」という言葉も聞こえてきた。それも数回…
そのうち私も寝入ってしまったので気が着いたときはもう朝だった。

そして朝ご飯を食べながら家族と、「きのうもうぉ～っのおっちゃん来てたね。」と笑って話していた。そしてお昼になったのでいつものようにマクドナルドを買うためにエレベーターを待っていた。エレベーターは１９階からおりてきてその中にはおっさん二人と彼らより少し若い香港人が乗っていた。おっさんの一人は白人で、その仕草、話し方からどう見てもゲイに見える。もう一人のおっさんはかなり日焼けしたごついがたいの丸坊主。若い香港人はヘアサロンによくいるようなちょっとおしゃれな感じのにいさんで、肌にぴったりくるシャツを着ている。
白人のおっさんはゴミ袋を持っていて、それを街市の前においてあるリサイクルビンに入れに行った。こんな繊細なことするのはやっぱりゲイ？
とか思いながら３人の後ろをあるいていて突然ひらめいた。
「ひょっとして、ひょっとして、いつものうめき声って…」なら、うめき声と共に聞こえた「おぅまいがっ」の意味もわかるし、２時間ぐらいで終わる意味も納得できる。
決して気持ちよくはないけれど、悪魔に取り憑かれた人が上にいると考えるよりも気が楽だよね。
でもさ、あれだけ声が聞こえるってことは、こちらもそういう場合は気をつけないといけないということだよね。

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