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環境教育を本気で!

2020.07.24
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塵も積もれば

 

63 塵も積もれば (51) 

 

 コロナウイルス感染症のせいで、経済活動が低迷しました。その結果、世界中の多くの大都市で、何十年ぶりかで、きれいな青空が戻りました。今日の経済活動が地球環境悪化の元凶であることを、如実に表したことになります。

 この状態が続くわけではありません。人々は、きれいな青空より経済の早急な活性化を当然のことと考え、大きく期待しています。2020.6.12.に発表された今年度の日本の環境白書では“気候危機”という言葉が出てきたにもかかわらず、より豊かな生活を引き続き享受することを当然と思っています。

 生きていくためには、必ず何らかの経済活動をします。経済活動をするためには、必ず資源を使わなくてはなりません。資源は、使った時、すべてが役立っているわけではないです。同時に、必ず人間にとって役に立たないものが発生します。これはエントロピーといわれるものです。エントロピーは増え続きます。エントロピー増大の法則といわれるものです。

 人間に役立たなかったものは、地球の大循環に乗せれば、また、何らかの資源に生まれ変わります。地球の大循環に乗せるような使い方をしないと、そのまま、人間に役立たない状態で地球上に残ります。使った資源から出てくる役に立たないものを地球の大循環に乗せることは、非常に面倒です。経済効率性から無視されることが多くなります。そして役に立たない状態で地球上に残ります。これが地球環境破壊の元凶なのです。大気汚染はその一例です。

 資源を使わなければ、人間に役立たないものは残らないですから、大気が何十年ぶりかで、きれいな青空になったのです。人間が経済活動をするときに、必ず何らかの資源を使っていることの表れなのです。科学がいくら進歩しても、資源を使わないと豊かな日常生活は維持できないのです。この事実を無視してはいけないということの表れなのです。

 今年は、経済成長が極端に低くなるようです。場合によってはマイナス成長になるかもしれません。そうなると、今年の資源の使用量は昨年より少なくなると考えられます。経済成長と資源使用量とは、連動しています。経済成長がプラスである限り、その年の資源使用量は昨年より多くなります。

 経済成長率10%の時は、経済成長率5%の時より、より多くの資源を使っていることになります。資源量を表す単位が統一されていないことと、資源の価格は人間が勝手に付けたものですから、正確に数値でもって比較することは叶いません。しかし、経済成長率10%の時の方が、5%の時より多くの資源を使ったということは、趨勢的にはいえると考えられます。

 人間の欲望は限りがないです。今日の生活が十分に豊かであると思ったとしても、決して満足しないです。禅の教えのように、“吾 唯 足るを 知る”とはいかないです。経済活動が非常に落ち込んだ今年の生活で、「生きていくのであれば、これでも十分ではないか」といった気持ちには、なかなかならないです。願わくば、来年は10%くらいの経済成長率を期待したいと願っています。

 10%の経済成長率であれば、使う資源の量は今年より10%増えると考えなければならないです。正確に10%増ではないかもしれませんが、趨勢的にはそうなると考えられます。さらに、できれば再来年の経済成長率も10%であって欲しいです。そうすると、再来年の資源消費量は、来年の資源消費量より10%多くなります。それは、今年の資源消費量より21%増になります。1.1×1.11.21だからです。

 10%の経済成長をし始めてから3年目の経済成長率も10%だったとしますと、1.1×1.1×1.11.331になります。つまり、3年目の資源消費量は今年の33.1%増になります。10%の経済成長をし始めてから4年目の経済成長率も10%になったとしますと、1.1×1.1×1.1×1.11.4641になります。つまり、今年の資源消費量の46.41%増になります。5年目も10%の経済成長率ですと、1.1×1.1×1.1×1.1×1.11.61051になります。これは1.1⁵=1.61051ということになります。つまり、ことしの資源消費量の61.051%増ということになります。

 毎年10%の経済成長率が続けば、10年目の資源消費量は1.1¹⁰ 2.59374になります。つまり、今年の2.59374倍になります。毎年10%の経済成長率が続けば、20年目の資源消費量は1.1²⁰ 6.72750になります。今年の6.72750倍になります。毎年10%の経済成長率が続けば、50年目の資源消費量は1.1⁵⁰ 117.391になります。つまり、今年の117.391倍の資源が必要であるということになります。

 10%の経済成長率を続けたいと願えば、50年目には、今年使った資源量の117倍強もの資源が必要であるのです。これだけの使える資源が地球上で手に入るのでしょうか。深海まで掘り進めばこれくらいの資源はあるのではないか、と考えている人がいるかもしれません。しかし、同様に10%の経済成長を500年間続けると、1.1⁵⁰⁰4.96983×10²⁰の資源が必要であることになります。今年使った資源のおよそ5(ガイ)倍弱の資源が必要だということになります。兆の1万倍が京で、はその1万倍の単位になります。

 500年は長いと思われる方は多いでしょう。しかし、人類の歴史、数十万年に比べれば、ほんの僅かな期間なのです。たったそれだけの期間で、5垓倍の資源が必要なのです。

 高度経済成長の時代ならまだしも、さすがに10%の経済成長を続けることは、実際問題無理でしょう。では、今日最も期待されている現実的な経済成長率であればどうでしょうか。先ほど同じように、必要な資源量を計算しますと、4%の経済成長を50年間続けますと、50年目に必要な資源量は1.04⁵⁰7.10668になります。50年目に必要な資源量は今年使った資源量のおよそ7倍強ということになります。これくらいなら何とかなるのではなかろうかと考えておられる方が多いと思います。

これを500年と考えると、1.04⁵⁰⁰3.28602×10⁸になります。およそ3億倍の資源が必要ということになります。たった4%の経済成長率を、僅か500年続けるだけなのに、今年の資源消費量の3億倍強の資源が必要になるのです。

経済成長率1%で同じように考えますと、500年で1.01⁵⁰⁰144.773になります。僅か1%の経済成長率を500年間続けるだけで500年目に必要な資源量は、今年の144倍強必要なのです。1%ぐらいでは、経済成長したという実感すらありません。それでも、500年目には、144倍強もの資源が必要なのです。まさに、“塵も積もれば”なのです。

 地球は、いくら広いといっても、広がりは有限です。未開発の深海などの資源が、まだあると考えている人もいます。しかし、今まで手に入れていなかった資源を人間が使い始めると、それまで、それなりに安定していた深海の生態系が大きく壊されることになります。そのようなことをする権利が、人間にあると、どうして考えることが出来るのでしょうか。地球は人類だけのものではないのです。

 月や火星に行って資源を手に入れてくるという計画もあります。そのためには、地球上の資源が大量に必要になります。使った地球上の資源以上の資源を、他の天体から持ってくることが容易にできると考えているのでしょうか。そこまでして、今日の快適な生活を、より快適にし続けたいのでしょうか。

 使い続ける資源はもう無いのです。早くそれに気づくことが、今、必要なのです。今こそ、知恵が必要なわけなのです。

                           理事長 荒木 光(京都教育大学名誉教授)
                            http://plaza.rakuten.co.jp/honkideeco

(2020.7.)

 

                   NPO法人 Global SOROBAN Institute(IMそろばん)
                                    Seminar Report177号所収

 

 

※ NPO法人グローバル そろばん インスティチュート(IMそろばん)が毎月発行しているセミナーレポートの巻頭言を数か月間隔で書いております。私の書いた巻頭言をここに転載しております。(稀にその巻頭言でないものもありますが)

 ※ 恩田原というのは木曽御嶽山麓にある地名です。気に入った場所なので使わせてもらいました。

 ※ 恩田原での私のつぶやきが、心地の良い高原の風に乗って皆さんのもとに届けばという思いでもって、この拙文に“恩田原の風”と名付けました。

 ※ “環境教育を本気で”と“恩田原の風”を読まれて、何かご意見ご感想があれば、是非ともお聞かせくださいますよう、お願い申し上げます。

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最終更新日  2020.07.24 09:43:29



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