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環境教育を本気で!

環境教育を本気で!

2022.07.25
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 75 ミレミアム開発目標 恩田原の風(63)

 

 人類が初めて地球環境問題に、世界的に取り組んだ、1972.6 に開催されたストックホルム会議(国連人間環境会議)からの動きを、前号で少し眺めてみました。そして2000年を迎えました。めったとない1000年の区切りなのです。人類がさらなる発展を遂げるために、大切な決心をしなければならない時です。

 2000.9.の国連総会で採択されたミレミアム宣言で述べられている、ミレニアム開発目標(MDGs Millennium Development Goals)は8項目の目標が書かれていました。

 

 目標1 極度の貧困と飢餓の撲滅

 目標2 初等教育の完全普及の達成

 目標3 ジェンダー平等の推進と女性の地位向上

 目標4 児童死亡率の削減

 目標5 妊産婦の健康の改善

 目標6 HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止

 目標7 環境の持続可能性の確保

 目標8 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

 

 2000年を迎えた節目に、今後も人類が発展し続けるために果たさねばならない目標が書かれているのです。今日よく言われているSDGsに似てはいますが、違いも結構あります。経済的により豊かになることを目指していることに関連していることが多いです。発展とは、経済的発展を意味しているといえます。唯一、目標7で環境のことが触れられています。環境問題は人類にとって最重要課題ではなく、経済発展を妨げていることの一つとして認識されていた程度といえます。

 これらのMDGsをより具体的に推進していこうとした矢先の2001.9にニューヨークの世界貿易センタービルにテロの航空機が激突するなどの世界同時多発事件が発生しました。テロは絶対に許されないことだが、貧しさ故に起こった事件であるという認識が多かったです。

 2002.8.に持続可能な開発に関する世界首脳会議が、南アフリカのヨハネスブルグで開催されました。ストックホルムから30年、リオ・デ・ジャネイロから10年を記念して開催されました。ストックホルム会議は、国連による初めての地球環境に関する会議、国連人間環境会議のことです。それから20年経ったときにリオ・デ・ジャネイロで開催されたのが、地球サミットと呼ばれた、国連環境開発会議です。それぞれからの節目の年に開催されたのが、ヨハネスブルグで開催された会議でした。

 同時多発テロ発生の根源を絶つには、MDGsの理念が有効であると考えられました。ですから、理念だけに止まらずに、実態のあるものにすることが急務であると考えられました。そのためのプロジェクト・リストのようなものがつくられました。言葉の上の合意ではなく、実体を伴う行動を目指したものです。これがSDGsへとつながっていったのです。

 持続可能な開発は、経済・社会・環境という3つの側面から考えられ始めたことは、ヨハネスブルグ会議の成果といえます。しかしながら、3側面は、並立的にとらえ始めたという程度で、お互いが関連し影響しあうという考えはあまりなかったです。世界の直面している諸問題の根源は、経済問題であるという認識が当たり前だったからでしょう。経済活動をすればするほど地球環境が悪化するという認識はなかったのです。つまり、経済的により豊かな生活をすればするほど、地球環境は悪化するものだという認識がなかったのです。

 自然科学を専攻する方々は、以前より地球環境の悪化に警鐘を鳴らしていました。例えば、60年以上前に、人間の作った化学薬品のせいで、地球生態系は破壊されている現実を、“沈黙の春”という書で、米国の生物学者レイチェルカーソンさんが述べていました。当時も、より快適な生活を追い求める人々は、注意を払おうとはしませんでした。

 物理学を専攻する人の中には、エネルギーの法則から、人類の経済活動の結果、このままでは地球環境は駄目になると述べている人はいました。人類の経済活動も自然界の法則から逃れることはできないのです。エネルギー第一法則(エネルギー保存の法則)では、エネルギーを加えないと動かないということです。当たり前のことです。ですから、人間が経済活動をすることで動けば、絶対に何らかの資源を使ってエネルギーを使わなくてはならないのです。

 エネルギー第二法則(エントロピー増大の法則)は、資源を使ってエネルギーを使えば必ず廃棄物や廃熱などの廃物を出し、それは増えていくということです。資源を100%使い切ることは絶対にできないということです。人間はエネルギーを得るために食事をします。摂った食物などを、全部使いきることはできないです。必ず排泄物を出さなくてはならないです。当たり前のことです。

 つまり、すべての生物はエネルギーを使い続け、廃物を出し続けながら生きているのです。増え続ける廃物の多くは、他の生物が摂取するなりして処分してくれます。これがすべての動植物による地球生態系で保たれている姿なのです。

 どの動植物も処理しきれなかったものは、廃熱として水に流され、海に注がれます。それが蒸発して宇宙空間に接するところまで上昇し、廃熱を宇宙空間に放出します。これが大雑把にいった、地球による大循環なのです。そして、放出された廃熱と同量のエネルギーが太陽からもたらされるので、地球は寒くもならず熱くもならないのです。

 このような地球の能力が、人間の経済活動のせいで、限界を超えてしまっているものが出てきているという考えが、2009年ころから言われ始めました。具体的には気候変動・成層圏オゾン層の破壊と海洋の酸性化です。

気候変動は、人間が経済活動のために化石燃料を使った結果、古代のCO2が現代に放出され、それが地球の大循環に乗らない結果おこった地球温暖化です。

成層圏オゾン層破壊は人間が通常は無害な安定した物質であるフロンを、スプレー缶やエアコン・冷蔵庫の冷媒に使った結果、大気中に拡散し、成層圏のオゾン層を破壊し、人類に有害な紫外線が地表に届くという問題です。

 海洋の酸性化は、空気中の炭酸ガス濃度が上昇した結果、海洋に炭酸ガスが大量に溶け、その結果、海洋が酸性化し、海洋の生態系が乱されたのです。

そのような指摘が自然科学の研究者たちから世界的に、言われていたこのころに、気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)2000.9にデンマークのコペンハーゲンで開催されたのです。気候変動が待ったなしの状況なので、法的拘束力を持つ排出削減目標の設定を目指していました。従来は各国とも環境大臣クラスの出席でしたが、アメリカやフランスの大統領やドイツの首相などの首脳が出席して目標の設定に意気込んでいました。しかし、結果は失敗に終わりました。各国とも最終的には自国中心主義を譲れなかったのでしょう。人類が生き続けるためには、地球環境より、国の経済を優先させたのです。

今の自分さえ良ければよいという多くの国民の声のなせる業なのでしょう。昔、ネイティブアメリカンのある種族が、新しい決定をするときには、今から7代先の子孫にどのような影響が出るかを考えたというのとは、大きな違いです。

地球は限りあるのです。その地球が人類の経済活動のせいで、多くの点で限界値を超えてしまっているのです。今すぐに何とかしなければならないのです。それでも一致した目標設定ができなかったのです。この結果、ルールによる管理法から、目標ベースによる合意管理法が目指され始めました。これが今日のSDGsに直接につながっていったのです。

SDGsは極端に言えば、妥協の産物なのです。SDGsを達成することで、急務ですが、その達成で地球環境がすっかり良くなるということではないのです。それだけで安心というものではないのです。そのあたりをしっかりと自覚して、SDGsの達成に取り組もうではありませんか。日本の未来を担ってくれる子供たちが、自分の力だけで考えることができるようにそろばん教育に取り組んでいる大人として、決心を新たにしなければならないです。

理事長 荒木 光(京都教育大学名誉教授)

http://plaza.rakuten.co.jp/honkideeco/

NPO法人 Global SOROBAN Institute(IMそろばん)
                                     (2022.7.)



                                Seminar Report
201号所収

 

参考文献  “SDGs(持続可能な開発目標)”  蟹江憲史    中央公論新社刊

 今後もSDGsに触れたときには、この文献を参考にさせていただいていることがあります。

 

※ NPO法人グローバル そろばん インスティチュート(IMそろばん)が毎月発行しているセミナーレポートの巻頭言を数か月間隔で書いております。私の書いた巻頭言をここに転載しております。(稀にその巻頭言でないものもありますが)

 ※ 恩田原というのは木曽御嶽山麓にある地名です。気に入った場所なので使わせてもらいました。

 ※ 恩田原での私のつぶやきが、心地の良い高原の風に乗って皆さんのもとに届けばという思いでもって、この拙文に“恩田原の風”と名付けました。

 ※ “環境教育を本気で”と“恩田原の風”を読まれて、何かご意見ご感想があれば、是非ともお聞かせくださいますよう、お願い申し上げます。

 ※ arakihikaru2010yahoo.co.jp(☆を@マークに変えて頂きますようお願いします。)でお待ちいたしております。

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最終更新日  2022.07.25 05:32:14



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