そぞろある記

2004/04/24(土)18:24

プリズンホテル

昨日の休みは、浅田次郎の「プリズンホテル」を読んで過ごした。 以前「壬生義士伝」の事を書いた時「けろけろ6986」さんに教えて頂いた本だ。 「夏」「秋」「冬」「春」と四部有り、2冊目の「秋」をとうとう最後まで読んでしまった。零細企業のオヤジである私は、休みの日に事務仕事をまとめて済ましたりするのだが、かろうじて給与の銀行振込の書類を銀行に持って行った以外は、読み終わるまで他に手が着かなかった。 奥湯元あじさいホテル、通称「プリズンホテル」という名のホテルが実は任侠団体の親分が経営していて、ヤクザ御用達のホテルという奇想天外の設定である。 オーナーの木戸仲蔵、番頭の黒田、堅気のホテルマン花沢支配人、木戸仲蔵の甥で、「仁義の黄昏」シリーズで人気の作家木戸孝之介、そして左遷でやってきた一流シェフやそのシェフが尊敬してしまう板長などがいろんな事件に遭いながら、いわくある人達だらけのホテルの客を、それなりの道を歩ませるというお話だ。 「ナニワの金融道」や「ミナミの帝王」が大好きで、ビデオも全部見てしまったくらいなので、違和感なく本の世界に入って行けた。 なにしろホテルの注意書きに「不慮のガサイレ、突然のカチコミ・・・」「破門・絶縁者、代紋ちがい・・・」「館内ロビー・廊下での仁義の交換はご遠慮下さい。」などと書いてある所から笑わせる。 でもまっとうな人間と思われている人より、一途な生き方をしてきた人の方が、実は真摯な人生を送ってきたのではないかと、ホロリとさせられてしまうお話である。 たまたま家内がある団体の関東大会で箱根湯本に今日から一泊で出かける。馬鹿だなと思いながら、「泊まるホテルは奥湯元あじさいホテル?」なんて一応お約束で聞いてしまった。 もう「冬」を読み始めているが、冬来たりなば春遠からじ、という気分である。

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