夜明けには

昨日、自分が担当していた馬が栗東のトレセンに帰厩していった。2ヶ月前に


うちの牧場に放牧に来てから乗り続けていたので、いなくなるとやっぱり少


し寂しいものがある。いや、でもこれからはレースに出て休んでた分も頑張


ってもらわんとね。


名前とかあんまり出さない方がいいんだろうけど、


頑張れワンダーゼネラス号！


調教してた手応えとしては結構良かったんだけどなあ。


イレ込む癖が出なければ500万下条件やし、いい勝負が出来るはず！




そして代わりに今日から担当になったのが、アグネスプロトンという馬。


この馬、実は超良血で、なんとアグネスタキオンやアグネスフライトという


馬の弟にあたる（競馬の世界では母馬が同じだった場合、兄弟と呼ぶ）。


競馬が好きな人だったら知ってると思うけど、フライトはダービー、タキオ


ンは皐月賞と、2頭ともがそれぞれG1を勝ってる。（G1を勝つってのはかなり


すごいこと）


こいつらのお母さんのアグネスフローラもすごくて、現役時代には無敗で桜


花賞というG1を制している名牝。


で、肝心のプロトンはというと、、、ぜんぜん走らない苦笑


6歳にもなってまだ2勝しか上げてない。


2勝すれば十分やん、って思うかもしれないけど、この馬の場合は、デビュー


前からの期待に比べれば、全然走ってない。関係者はかなり期待外れでがっ


かりしてるんじゃないだろうか。


今は下から2番目のクラスで走ってる。それなりに頑張ってんのにね。



人間も馬も、偉大な兄を持つと苦労するもんだ。



父親がこいつだけ違うってのもなんだかなあ。


２頭の兄は両方サンデーサイレンスという一流種牡馬の産駒で、プロトンは


前評判がすごかった割には産駒が全然走ってないエリシオ産駒。仕方ないと


いえば仕方ないか。



しかも厄介なことにこの馬、「喘鳴症（ぜんめい）」を患っているらしい。


喘鳴症っていうのは、喉が呼吸に伴って鳴る病気で、通称「喉鳴り」と言わ


れている。この病気は喉の気道の変形が原因で、呼吸をするとヒュー、ヒュ


ーとかゼイゼイのような音をだすようになって呼吸が苦しいことを表し、運


動能力に大きな問題が生じてくる。


完全に治癒するのは、約半分ほどのやっかいな病気の一つで、この馬も完全


には治らないみたい。




で、この末っ子甘えん坊のプロトン君、今日初乗りやったんやけど、乗り味


は悪くなかった。むしろ柔らかく体を使っていて乗りやすい。やっぱりポテ


ンシャルは持ってるんだろうな。キャンター（駆歩）なんていいフットワー


クで、乗ってて楽しかったもん。


喉鳴りさえ治ればもっともっといいレースができるんだろうけど。。。


こういうハンデを持った馬を担当すると、どうにかして結果を残せるように


してあげたいと燃えてくる。


これから1ヶ月～数ヶ月、自分に出来るだけのことはしっかりとやってあげ


て、いい状態でトレセンに帰したい。


がんばろうな、プロトン。





かなりマニアックな話になってしまったけど、このアグネスプロトンがレースに出た際には応援してやってください