「きらりの旅日記」

2022/09/27(火)00:10

ラファエロ・サンティ キリストの変容 最晩年 未完の遺作 1518年〜1520年 ヴァティカン宮殿 絵画館

美術館・博物館(1927)

ラファエロの遺作として有名な『キリストの変容』と彼の人生を振り返ってみましょう。 ラファエロ・サンティ ​Raffaello Santi​ ラファエロ・サンティ ​Raffaello Santi​ (左=キリストに似た容姿/最晩年の自画像) 1483年4月6日〜1520年4月6日(37歳没) イタリアのウルビーノ公国に生まれる。 盛期ルネサンスを代表する画家・建築家。 レオナルド・ダ・ヴィンチと、 ミケランジェロとともに 盛期ルネサンス三大巨匠のひとり。 八頭身の長身でイケメン、 誰にも好かれた人柄で、 甘さと簡潔性に満ちていて 控えめで柔軟な面持ちの若い画家は、 多くの仕事と弟子に囲まれ、 重責に誇りと苦労を秘めた、 孤高の芸術家・監督者であり、 創造的刺激に満ち、 けっして優柔不断や 苛立ちを経験したことがなく、 すぐれた調和と 均衡を保ちながら熟考し、 探究に没頭して、 情熱的な短い生涯を送った芸術家である。 【代表作】 『アテネの学堂』 ​​ 『システィーナの聖母』 ​​ 【最晩年のラファエロ】 ラファエロの健康状態は、 尽きることのない活動と、 度を過ぎた私生活、 (ヴァザーリが伝えるところによれば) によって触まれ、 急速に終焉に近づいていた。 ​『キリストの変容』​1518年〜​1520年​ 板に油彩 405.0cmx278cm (ローマ時代:未完となった遺作) ヴァティカン・ヴァティカン宮殿「ヴァチカン絵画館」所蔵。 そのころのラファエロは、 『キリストの変容』の 板絵を完成させることもままならないほどであった。 この作品は1517年に、 ラファエロが、 ジュリオ・デ・メディチ枢機卿からフランスの ナルボンヌの大聖堂のために依頼されたものである。 しかし、1523年にローマの サン・ピエトロ・イン・モントリオ聖堂に置かれ、 1797年パリに運ばれ、 1815年から、現在のヴァティカン絵画館に所蔵されている この作品の構想は壮大な合唱のようである。 構図は・・・ はっきりと二分されている。 下の部分には、 てんかん 癲癇病の少年の治療の物語が描かれ、 その背景をなす上の部分には、 タボール山での『キリストの変容』が描かれている。 山の頂きの上に、 モーセとエリアをともなった キリストが空中に浮かび、 その足元には弟子たちがいる。 彼らは栄光の光に圧倒されているかのように、 あるいは祈っているかのように見える。 二つの部分は、 奇蹟に立ち会う群衆の身振りによって結び付けられている。 この目撃者たちがふり上げる腕は 実際キリストの方に集中している。 この「壮大な」構図においてラファエロは、 けっして古代の作品を無視していないが、 同時代のもっともすぐれた作品、 すなわち、 レオナルド (ラファエロがフィレンツェ滞在中に受けた影響の確かな記憶) のモティーフと、 そして自己陶酔的な意識で、 自分の絵のモティーフのすべてを要約している。 したがってこの作品は、 (ミケランジェロの円型画『ドニー家の聖家族』と同じく) ​​ きたるべきマニエリスム様式の 先駆を成すものである。 この作品の構図がどれほど熟慮され、 単純化されたものであるかは、 人物たちのための多くの素描 (ラファエロ自身のものと弟子たちのもの)や、 1977年に行われた修復によって明らかになった さまざまな最初の下絵から、 推定することができる。 修復はまた、 この作品が、 ラファエロの自筆であるかどうかという疑いを晴らし、 修正や加筆も、 完全な一致を見たわけではないが、 すべてがラファエロの手になるものと考えることができる。 創造的刺激に満ち、 けっして優柔不断や 苛立ちを経験したことがなく、 すぐれた調和と 均衡を保ちながら熟考し、 探究に没頭して、 情熱的な短い生涯を送った 芸術家の最後の遺作。 これは、 当時の芸術を代弁するのにもっともふさわしく、 数世紀にわたって称賛され 研究されたモティーフの一つであった。 古典的な精神が、 完璧さという普遍的な価値として、 そして芸術表現の もっとも高い象徴として探究されるたびごとに、 ラファエロの芸術は研究され、模倣された。 あらゆる「古典」への回帰は、 彼をモデルとし、 いつの時代の芸術家たちも ラファエロにインスピレーションを求めてきた。 ラファエロは、 かつて何世紀にもわたって 放棄さ衰退していたローマを、 文化と芸術の一大中心地とすることに大きく貢献した。 そして、 1520年4月6日、 ウルビーノで生まれたのと同月同日に、 ローマでその生涯を終えた。 37歳であった。 (写真撮影:ほしのきらり) (参考文献:東京書籍・RAFFAELOラファエロ/ブルーノ・サンティ著より) ​ ​​世界遺産にぽち​​​​​​​​​

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