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2014/09/18(木)19:35

炸裂するオネエ言葉 これでもかと現れる壁 エンタメ性に重点を置いた分人間ドラマが希薄に ~半沢直樹シリーズ第四弾『銀翼のイカロス』

その他のジャンルの日本の小説(58)

今日は『花子とアン』の蓮サマこと仲間由紀江さんと田中哲司さんの結婚発表と、楽天星野監督の今季限りの勇退というニュースがあり、帰ってきてびっくりしました。 原作本が次から次へとドラマ化されている池井戸さんの、半沢直樹シリーズ最新刊を読みました。 ただこのシリーズ、続編ドラマ化が暗礁に乗り上げてるようなんですよね…。 銀翼のイカロス 池井戸潤 『ロスジェネの逆襲』で子会社出向先で大逆転を成し遂げ、まさかの往復切符を手に入れた半沢が頭取命令で言い渡されたのは、巨額の赤字を垂れ流して迷走するナショナルフラッグ、帝国航空の立て直しだった。ところが、自主再建が可能な案が了承された矢先に政権交代が起こり、人気大臣肝入りのタスクフォースチームは500億円もの債権放棄を突きつける。政権交代、組合がいくつもありリストラが難しい航空会社の再建といえば、つい先ごろ本当に起こった出来事のあれこれを想起する向きも多いはずだ。また、かつての与党を飛びだして新政党を作った政治家、アナウンサー出身の大臣など、登場人物のモデルもすぐに浮かぶ。再建途上の航空会社の行く末については、あの頃随分新聞を騒がせたものだ。人々の記憶に強く残っているこの素材を取り上げ、半沢に料理させようと考えたアイデアは素晴らしい。  ちょうど連載時に『半沢直樹』がTBSで放送されており、片岡愛之助さん演じる黒崎にあまりにも強烈な印象を受けた池井戸さんが、本作に登場させてしまったという曰くつきの作品だ。脳内で黒崎=片岡愛之助と変換しながら書いていた池井戸さんは、オネエ言葉とネチネチと半沢に迫る嫌らしさを倍加させており、さぞや楽しんで書いたことが窺える。かく言う私も読んでいるそばから服部隆之さんのテーマ曲が頭の中をぐるぐるかけ巡っていた。いやはや、テレビ効果は凄まじい。  半沢の前に立ちはだかる者達の心根の汚さ、自己中心的な態度、保身に走るせせこましさなどは、読者の悪意を煽るに充分であり、誰もが半沢に彼等を倒して欲しいと思うはずだ。彼等との対決、その決着にもっていくまでの盛り上げ方はうまく、こうなって欲しいという満足感にひたることが出来る。但し、銀行内部や半沢の壁となる存在の描写が主となり、半沢の味方となり得る外部の人―例えばサッチャーと称される開投銀の谷川や、航空会社内部における山久など、銀行以外の人々に関する描写が薄味だったのが惜しまれる。特に、債権放棄をすべきか谷川が一人で考えていたり、山久が半沢と敵対する行員からの願いを撥ねつけたりするシーンが挿入されるので、彼ら自身の戦いも見たかった 【楽天ブックスならいつでも送料無料】銀翼のイカロス [ 池井戸潤 ]楽天ブックス

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