2016/09/14(水)00:05
1959年 メンフィスの夏 新聞を届けて ぼくはみんなから いろいろなものを貰った~YA小説『ペーパーボーイ』
みなさん、こんばんは。また台風が来ているようですね。今日は雨が降りませんでしたが蒸し暑かったです。パラリンピックでもメダルラッシュですね。素晴らしい。
さて、今日は1960年代のアメリカが舞台の小説を紹介します。
ペーパーボーイ
Paper Boy
ヴィンス・ヴォーター
岩波書店
1959年、メンフィス。ヴィクターは夏休みのあいだ、祖母の家に行く友達ラットの代わりに新聞配達をすることになった。すぐどもるせいで人と話すのは緊張する。でもその夏は、思いもよらない個性的な人たちとの出会いと、そして事件が待っていた。
配達する度にヴィクターにちぎれた紙幣と一つずつ言葉を贈るスピロさんからは、自分で考えることの大切さを。いつも悲しそうな顔をしている綺麗な人妻ワーシントンさんからは、複雑な人間性を。家で働くメイドのマームから「近づくんじゃない」と言われているRTからは、底知れぬ人の悪意と恐怖を。いつもヴィクターを「リトル・マン」と呼んでくれる、強くて優しいマームからは、無償の愛を。ヴィクターは彼等から、書物からだけでは得られないことを教わる。吃音がネックになって人とのコミュニケーションがうまく取れない事にコンプレックスを抱いていたヴィクターが、彼等との出会いを通じて、大切な人を守るために大胆な行動を取ったり、知ってしまった秘密とどう向き合うかなど、シリアスな問題と対峙していく、ひと夏の成長物語。
エアメールのように海外から作品が届けられるという意味で「STAMP BOOKS」と名付けられている岩波書店のYAシリーズ。吃音だった著者の自伝的要素が含まれているフィクション。ちょうど公民権運動の渦中にあった1960年代のメンフィスが舞台。訳者の持ち込みで日本での出版が実現した本書は、続編執筆中。
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