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ツイ・ハ―ク監督といえばワイヤーアクションというイメージが浮かぶのですが本格的な武侠映画は初めてとか。こういう単純な勧善懲悪ものは見ててスカッとします。とにかく悪役がこれでもか！というくらい悪いんですよ。

映画「セブンソード」
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セブンソード
SEVEN SWORDS
出演ドニー・イェン　レオン・ライ
監督＆脚本ツイ・ハーク

1660年代。満州人の清朝は漢族の明朝の滅亡を測り、【禁武令】を出して反抗勢力を出してつぶしてゆく。強力な反清組織・天地会の危機を知った明王朝の軍人だった風火連城（フォンフォリェンチョン）は、この混乱に乗じて私腹を肥やそうとたくらみ、不満分子の排除に手を貸す。強欲で冷酷非情な風火連城は中国の北西部一帯で略奪を繰り返し、明王朝の残党を次々と抹殺。風火連城にとって最大のターゲットは、反清王朝の強硬派が住む寒村、武荘という集落だった。明王朝時代に処刑人を務めていた傅青主ことフーは良心の呵責から、風火連城の蛮行に歯止めをかけ、武荘を守ろうと決意する。フーは同村の村娘、武元英と韓志邦を連れて、遠方の神秘の山“天山”へ出向き、そこで隠遁生活を送る晦明大師に協力を依頼する。刀匠である大師は優秀な剣士の一団を率いていた。フーの頼みを聞き入れた大師は、腕のいい4人の弟子を武荘へ派遣することに同意。こうして、楚昭南、楊雲、穆郎、辛龍子を加えた7名の剣士が集結し、“セブンソード（七剣）”と呼ばれるようになる。

ヴェネチア国際映画祭のオープニングを飾るなど、世界中からの注目度も高かった作品。ツイ・ハ―クはリアリティを追求するために俳優達に寝る時も衣装を着て剣も常に持っているよう要求したそうだ。“村人を助ける七人の剣士”という設定から、てっきり『七人の侍』のリメイクでは？と思ったくらい筋が似ていた。本作を「黒沢明へのオマージュ」だと公言する監督であるから、意識して似せたところもあるのだろう。ただし、原作は香港の梁羽生の小説『七剣下村山』。『七人の侍』が守る村は非力な農民ばかりだったのに対し、今回は村そのものが反清組織で武術に覚えのある者が幾人かいる。

かつて明の手先となって彼等を殺す側に回ったことを悔いているフ―、村娘武元英と韓志邦の婚約者を間に置いた微妙な関係、風火連城の所から逃げてきた高麗出身の女と、同じく高麗出身の剣士との恋、天地会を恨みながらも剣士として彼等を守る剣士と、剣士それぞれにドラマがあり、葛藤を経て最大の敵・風火連城に挑んでゆく様が最高のカタルシスをもたらす。こういう映画では悪役は殺してもあきたりない程のワルが求められるが、スン・ホンレイは期待に応えて、残虐の限りを尽くしても後悔するそぶりも見せず、倒しても死ななそうなめっぽう強い悪役を怪演。これくらいワルを極めてくれないと、倒される時の爽快感がない。